BMW4シリーズグランクーペの購入を検討している方が増えてますね。
3シリーズセダンとは一味違う4ドアモデルということで人気を集めているようです。
そんなグランクーペにはいくつかのグレードが存在しますが、
今回は主に前期型の各グレードを比較してみたいと思います。
にほんブログ村F36 グランクーペとは
BMWのF系から登場した4シリーズは2ドアクーペに始まり、オープンのカブリオレが続き、
そして最後に4ドアクーペのグランクーペが登場しました。
このグランクーペは予想以上に好評で、瞬く間に世界中で人気車となっています。
やはりBMWのようなクルマはスポーティーなモデルの人気が高く、
セダンとは違った雰囲気を持つクルマには人気が集まりますね。
また、ハンドルを握ったことがある方ならおわかりだと思いますが、
総じて3シリーズより4シリーズのほうがハンドリングがクイックです。
3シリーズセダンと4シリーズグランクーペにもそれは当てはまり、
4シリーズグランクーペのほうがスポーティーなハンドリングをしています。
ただ、実用的な3シリーズや5シリーズのセダンモデルを上回る人気があるかといえば、
さすがにそこまでの人気モデルとは言えないかも知れません。
スポーティーだから売れるなんてものでもありません。
単純な販売台数で比較するならまったく競争相手にもなっていません。
しかし、注文が少なく販売台数が少ないから人気で劣るということでもなさそうです。
つまりメーカーも販売台数を稼ぐ目的で開発したクルマではなさそうですね。
他メーカー同様、表向き4ドアと2ドアモデルの車台は共通とされていますが、
実際は違うシャシをわざわざ設計製作して使っています。
これはBMWが前後重量配分などで50：50にこだわっていて、
共通シャシではそれが実現できなかったり、
ハンドリングが違ってしまうので別物を作っていると言われています。
3シリーズと4シリーズも例外ではなく、
こういう部分においてBMWは妥協しないクルマ作りを徹底してますね。
ドイツメーカーでこれほど徹底してるのは他ではポルシェくらいだと思います。
ライバルはアウディA5スポーツバック？
BMWが4ドアクーペモデルを市場に投入した主な理由はアウディ対策だったと言われています。
アウディの人気車であるセダンのA4から派生したクーペモデルのA5が大人気車となっており、
BMWはこれに真っ向から勝負を挑んだようです。
なんとなくBMWのライバルというとすぐベンツが思い浮かびますが、
こと、このクラスの4ドアクーペモデルとなるとベンツには該当車がありませんね。
420i、428i、435iの簡単比較
前期型4シリーズグランクーペには三種のエンジンが用意されますが、
この中で420iと428iは基本的に同じ4気筒2Lターボエンジンが搭載され、
435iだけは伝統の6気筒3Lターボエンジンが搭載されています。
人気のMスポーツモデル同士で簡単に諸元比較をしてみましょう。
| 420i | 428i | 435i | |
| 全長 | 4,670 | 4,670 | 4,670 |
| 全幅 | 1,825 | 1,825 | 1,825 |
| 全高 | 1,395 | 1,395 | 1,395 |
| ホイールベース | 2,810 | 2,810 | 2,810 |
| 車重 | 1,610Kg | 1,630Kg | 1,690Kg |
| エンジン | N20B20B型 L4/2Lターボ | N20B20A型 L4/2Lターボ | N55B30A型 L6/3Lターボ |
| 最高出力 | 184PS /5000rpm | 245PS /5000rpm | 306PS /5800rpm |
| 最大トルク | 27.5Kg・ｍ /1250～4500rpm | 35.7Kg・m /1250～4800rpm | 40.8Kg・m /1200～5000rpm |
| 販売価格（2014年） | 563万円～ | 674万円～ | 809万円～ |
主にこの3グレードで異なるのはエンジン関係ということになります。
必要なパワーでモデルを選べばいいという感じですね。
販売価格もエンジンパワーもバランスが取れていると思います。
各モデルのメリットとデメリット
自動車カタログ的な比較なら公式サイトなどを参照すればいくらでも情報があるので、
ここでは現実的な視点で各グレードの特徴を紹介したいと思います。
420iのメリット
◆ 燃費がいい
◆ 価格が安い
◆ コンディションのいいクルマが多い
◆ 維持費が安い
◆ リセールがいい
燃費がいい
4シリーズの中でもっともアンダーパワーなモデルではありますが、
実際にアクセルを踏み込むとそこそこ速く走れます。
そして実戦的な燃費性能でもっとも優れているのが420iの特徴です。
余程パワー重視の方でなければ420iで困る人はまずいないと思います。
日本にはアウトバーンのような道路はないので、
435iが買える予算がある人でも420iを選ぶ人はいます。
平均的には高速燃費で約11～13km、市街地燃費で8～9kmくらいでしょうか。
カタログ燃費と違って市街地オンリーを走った場合は8kmを切ることもあります。
比較的燃費性能に優れたモデルではありますが、
1.6ｔ以上ある重いクルマなので小型車のような燃費性能を期待するのは無理だと思います。
コンディションのいいクルマが多い
420iは普通に乗られているクルマが多いので中古車の状態も良好なクルマが多い印象です。
パワフルな435iなどは元気に乗られたクルマが多そうで、
購入するとなるとかなり注意してコンディションチェックが必要ですが、
こちらは比較的安全に良質な中古車が探しやすそうです。
前期型でもまだ認定中古車の扱いがあるクルマなので、
探せばかなり上質な中古車を購入することも可能だと思います。
正規ディーラーや専門店でも一番安心して売りやすいグレードだと言っています。
裏を返せば435iなどは要注意なポイントが多いということでしょうね。
維持費が安い
前期型でも後期型でも間違いなく420iは一番維持費がリーズナブルです。
確かに428iもほとんど同じような整備費用で維持できると思いますが、
細かく調べると一部の部品が少し高かったりします。
そういう意味でやはり420iが一番有利でしょうね。
ちなみに420iと428iはエンジン設定が違うだけで中身は一緒という情報が散見されますが、
これは違いますので気をつけましょう。
あくまでもエンジンの基本ベースが同じという意味であって、
厳密に比較するとエンジンパーツなども異なっています。
リセールがいい
4シリーズは台数が少ないことから比較的リセールは好調なようです。
おそらく同じくらいの状態のクルマ同士で比較したら320iより高値で査定されると思います。
単純に珍しいクルマだからです。
もちろんこの傾向が永遠に続くわけはないので、
一定数のクルマが中古車市場に現れたら価格は下落し始めると思います。
ただ、435iなどは調子が悪いと査定が渋くなりやすいですが、
ベーシックなエンジンを搭載する420iはその点で有利です。
販売店が商品化するための整備費用を抑えられるからのようですね。
どうしても435iは整備費用が嵩むので査定で叩かれやすいようです。
（これは135iや235i、335iなどでも同じです。）
昔は5ナンバーで乗れる320の人気が高く、
3ナンバーになる323や325は不人気になる傾向がありました。
現在はそんな問題はないんですが、なぜか今でも似たような傾向があります。
パワーある上位モデルは整備代がかかるという事情があるからかも知れませんね。
420iのデメリット
◆ 期待したほどパワーがない
◆ 思ったほど燃費が良くない
◆ 320iより重たい
期待したほどパワーがない
メリットのほうで必要十分なパワーがあると書きましたが、
中には過度にパワーがあると期待される方がいます。
当然ながらそんなのは無理です。
他社の200馬力くらいのクルマと比べたら確実にBMWのほうが速いです。
それは間違いありませんが、さすがにノーマル420iに過度な期待は酷です。
普通に速いですが、めちゃくちゃ速いなんてことはありません。
思ったほど燃費が良くない
320iも420iも乗ると運転が楽しく感じられると思います。
そしてついついアクセルを踏んでしまいます。
そうなると燃費もそれなりの数値になってしまいます。
ドライバー自身の走らせ方の問題ではありますが、
BMWってなぜか誰でもアクセル踏んでしまう傾向がありますね。
余談ですが、オーナーレポートなどを読んでみると燃費に関してかなりブレがありますね。
私の身近なBMW乗りたちを見ると、やや踏み込んで走る人とそうでない人が一定数います。
ベンツ乗りだとここまで人による違いや差はない気がしますので、
これはBMWというクルマの特徴の一つなんだと思います。
このブログの持ち主であるsskobaは約30年ほどポルシェ歴のある男ですが、
現在はBMWに乗っています。
彼なんかはやや踏み込む系のBMW乗りで、あまり燃費も良くないですね。
同じクルマに乗っても常に私のほうがリッター1kmくらい燃費がいいです。
よくベンツC200などの同クラスライバル車と比較されますが、
燃費に関してはBMWのほうが少々厳しい印象です。
私は過去に両社の同クラス車を所有してますが、
総じてベンツのほうが燃費では優れていたように思います。
理由は二つあって、BMWのほうがアクセルを踏みやすい傾向があることと、
同クラス比だとBMWエンジンのほうがややパワーが出ています。
これはベンツエンジンが劣っているという話しではなく、
そのパワーを出すためにBMWは燃料を使ってるんだと思います。
320iより重たい
私は320iも420iもよく知っているつもりですが、
実車に乗ってこの両車で一番違いを感じたのは重さです。
あきらかに4シリーズのほうが重たいです。
（実際の車重も重いので当たり前ですが、走行感が重いんです。）
よく言えばどっしり感があるとも言えますが…
ただ、ややこしいのはなぜかハンドリングは420iのほうが軽快でスポーティーなんです。
だからデメリットとは言えませんが、320iより重さを感じるのは間違いないです。
428iのメリット
◆ 希少性が高い
◆ スペック以上に速い
◆ 維持費が比較的安い
◆ リセールがいい
希少性が高い
とにかく台数が少ないです。
それでなくとも3シリーズとは比較にならないくらい数の少ない4シリーズですが、
428iともなると下手なスポーツカーより珍しいかも知れません。
おそらく都市部を一日走っても遭遇しないんじゃないでしょうか？
私個人の印象だと、428iはM4やM3より珍しいと思います。
スペック以上に速い
420iでも必要十分な速さはありますが、
428iになるとさらに一段階速くなります。
同クラスの他社製ライバル車より確実に速いので、
インゴルシュタットやシュツットガルトのクルマに負けたくないならこれはベストバイです。
腕があれば重たい435iを追いかけ回すのも可能だと思います。
以前、借りたクルマで428iを435iだと思って運転していたことがあります。
一時間くらい気がつかなかったでしょうか…
よくよく考えればエンジン音やトルクの出方が違うので全然違うんですが、
それくらい428iにパワーを感じたものです。
維持費が比較的安い
420iとほぼ同等くらいの維持費で乗れると思います。
厳密に言えばこちらのほうが多少はお金がかかりそうですが、
大きな差はないと思います。
ただ、420iより燃費が悪いのでガソリン代は少しかかるでしょうね。
私は428iを愛車として所有した経験はありませんが、
320iと両方所有した経験のある方の話しだとリッターあたりで約1Kmくらい差が生じるみたいです。
リセールがいい
428iは販売台数が少ないため、綺麗に乗っていればそこそこの査定額がつくようです。
このあたりは4シリーズ全体の傾向ではありますが、
台数が少ないというのは一定のセールスポイントになってますね。
428iのデメリット
◆ やや中途半端
◆ 420iよりオプションが貧弱なクルマが多い？
◆ 知名度が低い
やや中途半端
428i最大の弱点は性能も価格も存在感も中途半端かも知れません。
動力性能重視の方は435iを選びますし、コスト重視の方は420iを選びます。
中古車市場でも台数の少ない428iを無理して探して買う人は少ないようです。
さすがに435iのような人気はないということですね。
420iよりオプションの貧弱なクルマが多い？
これはBMW正規ディーラーや専門店からよく聞く話しですが、
新車販売当時、この428iという中間グレードを選ぶ人は少なく、
予算のある方は435iを、その他の方々はベースモデルの420iを選ぶ方が多かったようです。
その420iに好みのオプションを充実させて買ったようですね。
確かに420iをオプション満載にすると428iが買えるくらいの価格になります。
素の428iに乗るなら豪華装備の420iのほうが…という方が多かったんでしょうね。
もちろんお金のある方はオプション満載して435iを買ってますね。
私も2015年に320iをオプション満載して新車購入してますが、
正直、328iはまったく考えませんでした。
決して328iの悪口ではないのですが、
何もかも中途半端に感じてしまって…
（328i、428iのオーナー様…申し訳ありません。）
知名度が低い
これはデメリットではありませんが、
クルマのタマ数が少ないので428i自体を知らない人が多いです。
下手すると意味不明なエンブレムチューン車と勘違いされるようで、
3シリーズでも似たような現象はあるようです。
確かに街中を走っていてもまず見かけませんね。
あまりBMWを知らない人だと「そんなグレードあるの？」と真顔で言って来ます。
435iのメリット
◆ 非常にパワーがあって速い
◆ 豪華装備のクルマが多い
◆ 台数が少なく希少性が高い
非常にパワーがあって速い
435iが搭載するエンジンは306馬力もあるのでパワー不足を感じる方は少ないと思います。
2Lターボエンジンを積む420iや428iとは次元が違い比較にもなりません。
今でも十分以上に速く、速さ重視なら435i一択でしょうね。
豪華装備のクルマが多い
当時のF系BMWの中でも435iは高性能で高価なモデルでしたが、
5シリーズや6シリーズなどと比べれば安価でした。
ただ435iを購入するような客の多くはお金持ちが多かったので、
上級グレードのクルマに負けないくらいオプション満載にして買う人が多かったようです。
結果、中古車もそんな豪華なクルマが多く、
あまり素の状態の中古車は見かけない印象です。
ほとんどの435iがレザー内装のオプション付きなんじゃないですかね？
台数が少なく希少性が高い
435iはコンディションのいい中古車を買うのが難しいかも知れません。
とくにグランクーペは少ない気がしますね。
根拠のある数字ではありませんが、中古車市場ではF32クーペのほうが台数が多い気がします。
こういうクルマは極上車が通常の中古車市場に出て来ないことが多いです。
購入したい場合は時間をかけて良い売り物が出て来るのを待つ必要がありそうです。
435iのデメリット
◆ やや故障が多い
◆ 維持費が高い
◆ Mモデルになれなかった
◆ 燃費が悪い
やや故障が多い
435iに限った話しではありませんが、この3Lエンジンはトラブルが多いと思います。
私の身近にあるこのエンジン搭載車で故障歴ゼロというクルマは一台もありません。
このエンジンは数多くのモデルに搭載されてますが、
全般にお金がかかる傾向にあるようで、少々財布に余裕がないと維持するのは困難なようです。
予算ギリギリという方は絶対に手を出さないほうが安全だと思います。
素晴らしいエンジンなんですが、メンテナンス費用は覚悟したほうが良さそうです。
維持費が高い
これはやや故障が多いということに繋がってますが、
故障修理でなくともガソリン代なども420iや428iよりかかります。
そこそこ距離を走る人はランニングコストにも目を向けたほうが良さそうです。
Mモデルになれなかった
抜群の性能を誇る435iですが、残念ながらMモデルにはなれませんでした。
今のBMWだったら販促効果狙いもあってM435iなんて名前で売っていたかも知れませんが、
当時のBMWはそういうモデル展開をしてなかったですね。
高性能なBMWには違いありませんが、あくまでも普通のカタログモデルです。
燃費が悪い
これはパワフルな大排気量ターボエンジンなので仕方ないです。
やはり3Lターボエンジンを積むM3とかM4のエンジンほど悪くはありませんが、
それでも街乗りだとリッター5～6km台なんて数字になることも珍しくありません。
つまり満タンでの走行可能な距離（航続距離）が短いんです。
これは長距離走行が多い私のような人間にはかなりのマイナスポイントになります。
ここでデメリットとしたのは後継モデルの同クラス車よりかなり悪い気がするからです。
私の友人が現行M440iに乗ってますが、あれは高速ならリッター14km以上走ります。
この時代の435iだとがんばってもそこまでは伸びない印象ですね。
もちろんひたすら80km巡行走行にでも徹すればそれくらいはクリアできそうですが、
現在のM440iなどはそんな我慢運転しなくても14kmくらいは走破できそうです。
後期型はバリエーションが変更される
今回は前期型を取り上げてますので後期型には触れませんが、
後期型はエンジンが一新されてグレードバリエーションも変更されます。
3シリーズ同様のマイナーチェンジとなってますね。
ラインナップは420i、430i、440iとなり、428iや435iという数字のモデルは消滅しました。
後期型では全体的に運転支援機能が強化されてLEDライト化されるなど、
当時のクルマ業界でトレンドとなっていた方向に各部がリファインされます。
後期型で大きく変更されたのはエンジンです。
これは性能アップというよりモジュール共通化によるコストダウンが主目的で、
カタログに謳われたほど燃費性能が向上したとか、
スタビリティ性が向上したと感じている人は少ないと思います。
4シリーズではありませんが、私は前期型320iと後期型320iを所有した経験があります。
一番エンジンに違いを感じたのは静粛性ですね。
前期型のN20型エンジンは直噴エンジン特有の大音が付き物でした。
また、3シリーズにはなってしまいますが、
前期型と後期型の比較をまとめた記事を公開しています。
4シリーズでも参考になりますのでご参照ください。
まとめ
私はこれまで数多くのBMWやベンツの新車、中古車を購入した経験がありますが、
実用車として中古車を購入するならベーシックなモデルを選んだほうが失敗は少ない気がします。
4シリーズに関しても435iなどを買ってしまうと大きな整備費用を伴いますし、
故障なんてしようものなら高額修理確定です。
現在、同型エンジンを積んだ135iクーペにて高額修理に見舞われてる友人がいます。
まだ診断中ではありますが、おそらく70万円くらいの修理費用になりそうです。
もちろん420iとか320iはお金のかからないクルマだなんて言いませんが、
高額修理のリスクが少ないのは間違いないと思います。
ついついパワフルなグレードに乗りたくなってしまいますが、
慎重にグレード選びをしたほうが幸せなカーライフを送れることは間違いないと思います。
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