前回の記事でMモデルのブレーキを320iや420iに移植する大変さについて軽く触れたんですが、
何人かの方からもう少し具体的な注意点を知りたいというお話しをいただきました。
今回はこの点についてもう少し掘り下げてみます。

基本的に移植は難しい?
まず大前提として移植は不可能ではないです。
問題は結構な費用がかかるということと、移植作業が簡単ではないというところですね。
少なくとも一部の情報にあるような「簡単にポン着けできます」は確実に間違ってます。
流用できるパーツとできないパーツ
フロントキャリパーの移植は比較的簡単
同じF型同士なので物理的な問題点は少なく、フロントキャリパーに関しては移植可能です。
Mモデル標準ブレンボキャリパーは320i用のMパフォブレーキと同じ品番なので当然ですね。
少し注意が必要なのはMモデル用の380mmローターをそのまま使い回したいときでしょうか。
残念ながら320iにポン着けしようとするとキャリパーの位置が合わず装着できません。
そのためキャリパー位置をオフセットさせるブラケットが販売されてるのでこれを使います。
その点だけ注意すればMモデルのフロントブレーキ一式を移植できます。
リアキャリパーの移植は要注意
フロントと違ってリアキャリパーの移植はやや難しいです。
正確には使用するローター選びに注意が必要です。
M3などのMモデルはリアローター径が370mmもあって320iなどのMパフォブレーキより巨大です。
320iや420iなどに用意されるMスポ及びMパフォブレーキのリアローター径は345mmなので、
難しく考えなくてもサイズが合わないです。
同じF型同士なのでリアキャリパー自体の装着はできますが、
370mm径中古ローターの使い回し的な移植は実質的に不可能と思ったほうがいいです。
ちなみに320iや420i用のMスポやMパフォブレーキ用345mmローターはそのまま装着可能です。
370mmローターより小さくなるので何らかの加工が必要になりそうなイメージですが、
Mモデルとはキャリパーを固定するポイントが異なるので問題なく使えます。
(逆にいうとMモデル用370mmローターを使うのは難しいです。)
それとMモデル用リアキャリパーのほうがピストン径が大きく強力なので、
フロントブレーキとのバランスを適切に取らないといけないです。
Mスポ及びMパフォブレーキ用のコーディングは必ず当てたほうがいいですね。
Mモデル用の大径ローターは実質使えない
M3やM4の標準ブレンボブレーキが使うローター径はフロント380mm、リア370mmです。
この巨大なローターを320iなどに移植するには何点かのパーツ交換を要するので、
それなりに費用がかかってしまいます。
そのお金で320iMパフォブレーキ用の370/345mmの新品ローターを買うほうがいいです。
それと現実的に擦り減った中古ローターを無理して移植して使う必要はないですよね。
あるとすればMモデル用の巨大ローターによる派手な見た目が得られるというところでしょうか…
ただ、個人的な感想にはなりますが、あの巨大ローターは普通の320iだとバランスが悪いかと…
それにいつかローター交換する日がやって来ますが、Mモデル用ローターはかなり高額です。
そういった点から移植時にMパフォブレーキ用ローターを用意したほうがいいでしょうね。
E型やG型のMブレーキは移植不可能?
稀にE型やG型のブレンボキャリパーを移植するケースを見かけますが、
これは装着に要するさまざまなパーツを個別に製作したり加工をする必要があるなど、
とても現実的な選択とは思えません。
私の身近にはE型の335iから外したブレンボGTキットをF型の435iに移植した人がいますが、
装着用に多くの別パーツを要したり、装着後も正確に作動させるために調整をしたり、
かなりのお金と時間がかかってました。
そんなことをするくらいなら最初からMパフォブレーキを買って装着したほうが簡単です。
もっとも移植したGTキットはフロント6POT、リア4POTのより強力なブレーキなので、
がんばって移植する価値はありますし、見た目も派手でカッコいいですね。
大金出して買ったブレーキキットなので必死に移植したようです。
尚、F型用のGTキットを新規で購入して装着するとなると少なくとも80万くらいはかかります。
それよりは安く仕上がったので意味はあったんでしょう。
一番要注意なのはリアローター
どのブレーキキットにも共通して注意すべき点があるのがリアローターです。
とくに前期型320iや420iはリアのインナー径が161mmなので要注意です。
後期型はインナー径が185mm化されるので多くの中古パーツを合わせやすいですが、
前期型に使うインナー径161mmのローターはあまり売ってません。
もちろん標準ブレーキ用の300mm径のローターならいくらでも入手可能ですが、
直径345mmのMスポやMパフォブレーキ対応のインナー径161mmローターは少ないんです。
BMW純正を筆頭に製造メーカー自体はいくつかありますが、生産数が少ないんでしょうね。
新品ならそれほど入手に困ることはないですが、中古はまず見かけませんね。
ちなみにこのリアインナー径ですが、前期型でも185mm仕様車があるという情報を見かけます。
これは製造時期が関係してるようで、2015年3月から後期型の生産が始まっているため、
2015年8月まで販売された前期型の中にも185mm仕様車があるとなってしまっているようです。
また、435iがフロントに搭載していたブレーキはMスポブレーキと同じブレンボキャリパーで、
これの中古を320iなどに移植する改造も盛んです。
このキャリパーにはMの文字はなく単にBMWと書かれてます。
色も「無塗装キャリパー」なんて言われているように青色に塗られてません。
フロントはMスポブレーキ用の340mmローターと組み合わせればいいですが、
リアの標準片押しキャリパーは前期型320iには使えません(後期型は流用可能です)。
(435iの直径330mm径リアローターにインナー161mm径の製品は存在しません。)
リアのサイドブレーキシューを185mm仕様に拡張する改造も可能ですが、
およそ3万円くらいかかることと、キチンと作動させるための調整も技術を要します。
一般の整備工場ではやってくれないのでなかなかに難しいでしょうね。
435iのブレーキ移植はMモデルブレーキとは関係ない話しですが、ご参考までに…
バックプレート問題はあまり心配いらない
Mモデル用の巨大ローターを使うとなると避けて通れないのがバックプレートの問題です。
BMWからMスポ、Mパフォブレーキ用の専用バックプレートが販売されてますが、
F型は足回りを大きくバラさないとバックプレートの交換が難しい構造になってます。
(リアに比べてフロントはそこまで大変ではないですが…)
工具の乏しい環境で交換するのはかなり困難で、素人がセルフ交換するのはほぼ無理ですね。
とくにリアはごっそりバラさないと交換できず、かなり大変だと思ったほうがいいです。
ハブベアリングの脱着なんて自宅ガレージで軽く行えるような軽作業ではないです。
ではどうするか…
実はバックプレートはグラインダーなどで少し削れば大丈夫です。
がんばってペンチで曲げて(当たりを)回避した人もいます。
リアも同様に削り加工で対応するのが一般的で、バックプレート交換しない人のほうが多いです。
尚、Mスポブレーキ用の340mmローターだとギリギリ干渉を回避できるケースもあるようです。
(Mパフォブレーキ用の370mmローターだと加工しないと無理です。)
今回はM3やM4などのブレーキ移植がテーマなので、「少しの加工で使える」というところですね。
大径ローター用のバックプレートを前後買い揃えると安くても5~6万くらいかかりますが、
用意しなくてもいいと思いますし、プロショップでも曲げ加工などで対応してますね。
もちろんキッチリ綺麗に装着したいならバックプレートも交換したほうが気持ちは晴れます。
格安中古ブレンボキャリパーは危ない?
フリマなどには10万円くらいでブレンボ製のMブレーキキャリパーセットが売られてますが、
稼働車から取り外されたばかりのキャリパー以外は危ないです。
数年も放置されてたキャリパーは確実に点検必須です。
M用のブレンボキャリパーのピストンシールなどのOHパーツはそれほど高くありませんが、
キチンとしたプロにキャリパーOHしてもらうと少なくとも4~5万くらいはかかります。
もっとかかる可能性もあり、格安キャリパーを買っても結局15万くらいにはなってしまいます。
さらにローターを買い揃えたり、交換工賃などを払ったら確実に20~25万くらいにはなります。
価格は高くても整備済み中古パーツ一式を20万くらいで買うほうが安上がりかも知れませんね。
保管状態やコンディションが不明なキャリパーを一般人から買うのはリスクが高いです。
まとめ
M3やM4から外したブレンボ製のブレーキを移植するならキャリパーだけを流用し、
ローターなどは320i用に販売されてるMパフォブレーキ用パーツを使うのが正道ですね。
結果的にそれが一番お金がかからない気はします。
できればパッドも一新したほうがいいです。
M3やM4の標準ブレンボキャリパーやローターはMモデルユーザーには無用なことが多いので、
必死に探せば意外と安く手に入ります。
最初は価格も強気ですが、あまり需要のないパーツなので最終的には投げ売りされてますね。
これを上手くゲットして移植できたらラッキーでしょうね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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