BMWの主力エンジンの一つであるB48エンジンは確実に優秀なエンジンですが、
N20エンジンに比べてやや壊れやすいのでは?という噂が絶えないですね。
今回はこのあまり触れてはいけない雰囲気のある噂話しに踏み込んでみます。
N20エンジンからB48エンジンへ
2011年に登場したN20エンジンが短期間でB48エンジンに切り替わりましたが、
それはBMWが主要エンジンの共通モジュール化を進めるためだったことは有名な話しです。
こうして3気筒、4気筒、6気筒の各B型系統の新エンジン群が誕生しますが、
登場当初からBMWが言うほど進化したエンジンではないのでは?と言われてました。
私は3シリーズでN20エンジン車とB48エンジン車の両方を経験してますが、
基本的にこの両モデルに大きな違いや変化を感じることはなく、
率直にいって私も「進化した新エンジン」というBMWの宣伝文句には疑問を感じてました。
もちろん退化したとか劣っていると感じたわけではありませんが、
それほど進化したとは思えなかったです。
それどころか共通モジュール化によってロングストローク化されたことで、
N20エンジンにあった気持ち良い回転フィールなどが損なわれたと感じましたし、
アピールされた燃費性能の向上なんかもとくに感じられませんでした。
それどころかどっちかと言えば悪くなってましたね…
エンジンが発する機械音などは確かに静かになってましたが、
同時に「もしかして壊れやすい?」という不名誉な噂も囁かれてました。
B48エンジン搭載車に乗り換えて燃費が悪くなったと報告してる人は多いです。
酷い人だとリッター1Kmくらい悪化してる人もいますね。
B48エンジンに関する噂
このように当初あまり評判の良くなかったB48エンジンですが、
次第に数多くのBMW各モデルに搭載されてスタンダードエンジンと化し、
いつしか多くの方もN型エンジンを忘れていったように思います。
しかし、同時に「この新しいエンジン…ちょっと壊れやすいかも」とか、
「N型のほうが良かったかな…」などと整備士界隈では言われるようになりました。
実際のところB48型はじめ、B型系統のエンジンブロックは工作精度が向上しており、
旧型のN型エンジンよりしっかり作られてるところもあるんですが、
つまらない故障が多く、一部の整備士からの評価は低いように思います。
どんな故障報告が多いんでしょうか?
オイル漏れが激しい
クーラント漏れが多い
電気系統の故障が多い
中には「いやいや、オイル漏れが少ないのがB48型だよ」と思った方がいるかも…
そういう意見も間違いなくありますからね。
でもそうなんです、ネットなどで情報を集めるとB48エンジンは真逆の話しが多いんです。
どっちが本当なんでしょうか?
噂は本当なのか?
オイル漏れが多いは本当か?
私が過去に所有していたB48エンジン搭載車に関しては皆無でしたが、
このエンジンのオイル漏れで苦しんでるオーナーさんは多そうです。
もう定番なのがクランクプーリー前後にあるサービスキャップからのオイル漏れですね。
このキャップ…樹脂製でできてるので経年でほぼオイル漏れが起きます。
簡単に交換できればいいんですが、周辺をバラさないと手が入らないので厄介です。
しかも前側はまだいいんですが、後ろはクランクプーリー脱着が必要なので更に厄介です。
B48エンジンの場合、100%漏れるとまでは言いませんが、
80%くらいのエンジンがここからオイル漏れを起こす印象です。
それくらい多いですね。
だから「漏れない」と言ってる方はかなり少ないと思います。
ちなみにどんなエンジンだって機械である以上はオイル漏れは避けられないです。
今回比較しているN20エンジンだってガスケット歪からのオイル漏れはありますが、
これはどんなエンジンにも起きる現象です。
B48エンジンの場合は「なんでそんな素材??」ってパーツからの漏れが多いですね。
このサービスキャップだって金属製のボルトねじ込み式ならまず漏れないでしょう。
ご存知ない方も多いですが、欧州の環境規制は日本人が考えてる以上に厳しいです。
耐久性に難点がありそうなパーツでも環境性能重視で採用されたりします。
これはBMWだけの問題ではありませんが、B48エンジンにもその影を感じますね。
クーラント漏れが多いは本当か?
クーラント漏れ…まあ、水漏れですね。
これが多いのは本当です。
ミニもB48エンジンを搭載してますが、修理入庫の大半が水漏れなんて言われるくらいです。
もう有名なトラブルですが、エキスパンションタンクとエンジンを繋ぐパイプが折れて漏れます。
LLCリザーバタンクとエンジンを繋ぐパイプと書かれていることのほうが多いでしょうか…
これがまたプラスチック(樹脂製)なんですよね…
私が知る限りでは三回ほど対策パーツに変更されたようですが、素材はすべてプラ…
このプラパーツはエンジンの振動によって破断や亀裂が起きやすいです。
樹脂製なので振動を吸収できるような柔軟性がないんですよね。
それでも経年劣化してなければそんな簡単に破損はしないでしょうが、
エンジン熱に晒され続け5~6年くらい経つと危険ですね。
このトラブルの恐ろしいところは突然なんの前触れもなく破断し、
一気に冷却水がドバーっと漏れ出すところでしょうか。
私の身近にも何人かこれに遭遇した不幸な人がいますが、
血の気が引く恐怖を感じるようです。
対策は定期的な交換かシリコンなどでできた社外製パーツへの交換でしょうね。
電気系統の故障が多いは本当か?
B48エンジンは電気系統の故障が多い…という話しをたまに聞きますが、
私の身近でこの手のトラブルに見舞われた人は一人もいません。
強いて言えば春頃にバッテリー上がりを起こして立往生した友人がいますが、
これはバッテリー劣化が原因だったので別の問題ですね。
私個人は「電気系のトラブルが多い」と聞いてもあまりピンと来ないですが、
私が親しくしてる整備士さんたちはちょっと見解が違うようです。
私は自分のBMW整備に関しては経営会社の違う正規ディーラー二社と、
BMWやベンツなどを扱うドイツ車専門の整備工場のお世話になってますが、
そこの整備士さんたちは口を揃えて点火系の弱さを指摘してますね。
これは前型のN20エンジンと比較してトラブルが多いということのようで、
致命的にB48エンジンの点火系が脆弱というわけではなさそうです。
おそらくトラブルに見舞われた不運な後期型オーナーの叫び声が目立ってるんでしょうね。
B48エンジンは故障が多いのか?
B48エンジンに故障が多いかどうかは誰にも断言などできないと思いますが、
少なくともN20エンジンに比べると壊れやすい傾向にあるのは間違いないように思います。
これは感覚的な話しではなく、使われているパーツの材料や品質だったり、
なによりBMW整備にあたっている多くの整備士が苦言を呈してます。
一人や二人の整備士が言ってるわけではない事実は無視できないですよね。
パーツの材質問題はコストダウンが関係してるのか環境問題なのかは不明ですが、
トラブル報告が多いのに改善されないのは不思議ですね。
ただ、N20エンジンが全然壊れないエンジンというわけでもありません。
壊れるときは壊れますし、整備状況や個体差で印象も変わります。
だからB48エンジン車のオーナーさんが過度に悲観する必要はないですし、
問題があるなら必要な整備を施すだけの話しです。
それに報告の多い故障個所は致命的なものは少なく、
キチンと整備していれば避けられるものがほとんどで、
設計上の問題や構造的な欠陥みたいなものとは違いますね。
他メーカーにはそういう厄介で厳しいエンジンもありますが、
B48エンジンはそんな危険なエンジンではありません。
前期型と後期型 どっちがおすすめ?
私は過去にF30前期型の320iと後期型の320iを所有した経験がありますが、
別の記事でこれからF30のBMWを買い戻すなら前期型を選ぶと書きました。
その理由はエンジン特性から前期型の320iのほうが運転して楽しかったからですが、
もう一つの理由はエンジンの信頼性でした。
後期型の現役オーナーさんやB48エンジン搭載車のオーナーさんには申し訳ないですが、
壊れたとか修理に追われたという話しの少ないN20エンジンに対して、
B48エンジン搭載車の修理入庫の話しは多いです。
もちろん一台や二台の話しならたまたま起きた不運な故障だとも思えますが、
残念ながらそうではなさそうなんですよね…
あきらかにN20エンジン車より多いです。
とくにオイル漏れはほとんどのB48エンジンで発生してるように思います。
保証付きの新車で買って保証終了とともに乗り換えるなら問題ないですが、
中古車で買って数年乗るとなるとちょっとしたトラブルも怖いものです。
BMWやベンツ、アウディなどは軽微な故障や整備でも10万円くらいのお金はかかるので、
そのリスクが低そうなN20エンジンのほうが安心かな?というのが偽らざる本音です。
F30系統の中古車も最近は買いやすい価格になってますが、
もともと新車で500万とか600万はしてたクルマです。
中古車の販売価格が安くなっても修理に使うパーツ代などは安くないので、
修理や整備に要する維持費も見越して慎重に判断する必要はあります。
キチンと整備されていれば世間で思われてるほど壊れたりはしませんが、
その観点でいうとややB48のほうがサイフに厳しい印象です。
最後に…
今回は「B48エンジンは壊れやすいのか?」をテーマにしたんですが、
機械である以上はどうしても個体差があるので壊れるエンジンもあれば、
10万km以上走ってもまったく壊れないエンジンだってあります。
決して後期型が買っちゃいけないダメなクルマなんてわけではありません。
とくにエンジン以外については後期型のほうが何かと洗練されていて、
クルマが新しいこともあって所有欲なんかも高そうです。
それに私見ながら見た目が後期型のほうが精悍な感じでカッコいいですね。
ただ、これから中古車で買うならN20エンジンを積む前期型のほうが無難そうで、
おそらくお金はかからないんじゃないかという気はします。
もちろん「コンディションの良いクルマ」という絶対条件は当たり前ですけどね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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