W205系Cクラスの一部車種に搭載されているエアサスはなかなか怖い存在です。
優れた高級装備であることは間違いないのですが、壊れたときの修理代が高額で、
多くのオーナーが戦々恐々としているのではないでしょうか?
今回、CクラスとEクラス、GLCの該当29車種に対してメーカーがリコールを発表しました。
尚、リコール対象はエアバッグやバルブブロックではなくエアコンプレッサーとなっています。
ベンツ リコール対策番号 「外-3231」
これが令和4年12月13日に発表されたリコール番号になります。
詳細はメルセデスベンツ日本の公式ホームページをご確認いただきたいですが、
不具合の内容としては以下になります。
エアサスペンションのエアコンプレッサにおいて、減圧バルブの材質が不適切なため、錆が発生して作動不良を起こすことがある。そのため警告灯点灯と共に車高調整ができず、最悪の場合、走行中に車高が低下するおそれがある。
今回はエアサス関連パーツの中のエアコンプレッサーが対象となります。
もともとエアサスというのはやや壊れやすいパーツと言われてますが、
その構造上、どうしても一定距離を走行したり、
一定時間が経過すると劣化して故障する可能性も高くなってしまいます。
今回のリコールは壊れやすいからという理由ではなく、
品質上の理由でリコールが発動されたと解釈したほうが良さそうです。
該当する車種にお乗りの方は作業開始のアナウンスを待ちましょう。
ベンツ エアサス故障の恐怖
私はかつてW205系のベンツを二台所有していました。
一台はバネサスのC63sでしたので関係ありませんでしたが、
もう一台のC200AMGラインはエアサスを搭載していました。
だからエアサス故障の恐怖は感じていましたし、
現オーナーの方々の心配も理解できるつもりです。
幸い私のC200は故障しませんでしたし、このクルマを譲渡した友人も故障は経験していませんが、
身の回りを見ると何台かのW205が実際に故障を経験しています。
壊れるとどんな症状が出るでしょうか。
まず、次のような症状はあまり気にしなくても大丈夫だと思います。
一週間くらい乗らないと車高短になってしまう
数日乗らないとクルマが少し傾いてしまう
このような症状はときどき発生しますので頻発しなければそう心配しなくてもいいと思います。
エアサスは空気圧を使ったサスペンションなのでどうしてもエア抜けは発生してしまいます。
ただ、次のような症状が現れたときは点検してもらったほうがいいと思います。
エンジンをかけても正常な車高に戻らなかったり戻るのが遅い
エンジンをかけても傾きが直らない
このような症状が現れたらどこかからエア漏れが起きている可能性が高いです。
そして次のような症状が現れたら故障の可能性大です。
エアコンプレッサーが常に全開で作動している
エンジンをかけても車高が上がらない
エンジンをかけても極端にクルマが傾いたままで直らない
この状態になったクルマはおそらくどこかからエア漏れしています。
ちなみにエア漏れはどこから起きる可能性が高いでしょうか。
これは実際に空気を溜めているエアバッグ故障の可能性もありますが、
圧縮空気を送るエアチューブのどこかから漏れている可能性もあります。
このチューブの交換だけならそれほど高額な修理にはなりません。
不幸中の幸いという状態です。
しかし、そうではない故障もあります。
エアサス故障が起きる可能性のあるパーツは以下になります。
エアバッグ故障
(バネやショックアブソーバーに相当するパーツ)
エアコンプレッサーの故障
(圧縮空気を生み出しているパーツ)
バルブブロックの故障
(圧縮空気を4本のエアバッグに分配するパーツ)
エアサス制御コンピュータの故障
(エアサス全般を制御しているパーツ)
これらは基本的に高額修理が発生すると思っていい厄介なパーツたちです。
今回のリコールはこの中のエアコンプレッサーに関するものとなります。
このリコールの懸念点
このリコールは歓迎すべきものではありますが、
次のような懸念点があります。
現時点でメーカーからは次のようなケースが救済されるのか発表されてません。
過去に正規ディーラーでコンプレッサー交換修理をしている
一般整備工場にて純正パーツを使って交換修理している
社外品のパーツを使って修理したケースはどうしようもありませんが、
正規ディーラーまたは純正パーツを用いて専門店などで修理したクルマがどうなるかです。
過去のリコールではメーカーは次のような対応をしてくれました。
(すべてのリコールがそうだったわけではありません。)
正規ディーラーで有償修理した方は返金された
専門店で修理した場合も返金された(正規純正パーツ使用に限る)
残念ながら今回はどのように対応されるのかわからないため、
修理経験のある方は正規ディーラーに問合せするしかないと思います。
個人的な予想ですが、おそらく正規ディーラーで有償修理された方は返金されると思います。
問題は街の整備工場で修理された方でしょうか…
もちろん社外品のパーツを使って修理したクルマはどうしようもないですが、
正規ディーラーから正規の純正パーツを購入して修理されたケースもあります。
こういうクルマに対しては何らか救済して欲しいですよね。
また、いずれにしても「対策品に交換」とあるので、
仮に正規ディーラーで交換修理を経験した方であっても、
該当するクルマにお乗りの方は正規ディーラーへ連絡しましょう。
対策パーツが使われていなければ新しい対策パーツに交換されることになると思います。
そもそもリコールとは
今回のリコールはかねてより指摘の多かったパーツが対象ですが、
エアサスの故障には複数の原因があり、
すべてのケースが対象になるわけではありませんので注意が必要です。
また、一部リコールを勘違いされている方がいますが、
リコールというのは壊れやすいパーツが対象になるわけではなく、
安全上、保安基準に対して問題になりそうなパーツが対象になるものです。
「よく壊れるパーツなんだからリコールしろよ」
と叫ばれる方がいますが、本来リコールはそういうものではありません。
しかし、昨今は故障の多いパーツをメーカーが無償修理・交換するというリコールが増えているのも事実で、
そういう解釈をしてしまう気持ちもわかります。
今回のこのリコールに関して言えば、
コンプレッサー同様に壊れやすいと思われるエアバッグなどは対象ではないので、
仮にエアサスの不具合を感じているとしても、
必ずしもリコールで修理されるかどうかはわからないので注意しましょう。
まとめ
エアサスのコンプレッサーを交換すると約12~15万円くらいの修理費用でしょうか。
このパーツは社外品だと5万円前後、OEM品だと8万円前後で購入できると思いますが、
残念ながら社外品パーツなどを使って修理されたクルマはおそらく何も救済されないと思います。
しかし、今回のリコールで純正対策パーツに交換されるので安心度は高まるのではないでしょうか?
これは対象車のオーナーにとっては朗報だと思いますし、
これから購入しようと検討している人にとっても嬉しい話しだと思います。
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コメント
自分のw205は一般整備工場で社外のコンプレッサーに交換しました。今回リコールとなれば自分の車は車検に通らないのでは?と思います。
コメントありがとうございます。
社外コンプレッサーへの交換費用は完全な持ち出しになってしまうと思いますが、
リコール案内が届いたら対策コンプレッサーへ再度交換されたほうがいいと思います。
ちなみにリコール未対応だとしても車検は問題ないはずです。
また、W205は台数も多いことからリコール完遂までにはかなりの時間がかかりそうみたいです。
これはヤナセもシュテルンも同じ見解でした。