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ポルシェ純正指定という勲章 世界中のタイヤメーカーが目指すその栄誉

ポルシェカレラRSインポートカー関連
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ポルシェのOEM認定試験が物凄く厳しいのは有名な話しですが、
タイヤも例外ではなく、現在も世界中の自動車メーカーで一番厳しい試験を課しています。
そのためポルシェの純正指定を勝ち取るということは、
すなわち世界一のタイヤメーカーとして認められることを意味しており、
世界中のタイヤメーカーがその栄誉を欲して全力でポルシェの認定試験を受けています。

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高性能スポーツタイヤの登場

1970年代、イタリアンスーパーカーは最高速度300kmを標榜していましたが、
実際には210~240kmくらいしか性能保証されない70%扁平のタイヤを履いており、
300kmという最高速度がカタログ上の賑やかしに過ぎなかったことがわかります。
ところがポルシェは非常に厳しいドイツ工業規格の元で製造されるクルマであるため、
カタログに謳う最高速度に対応できる高性能タイヤを必要としました。

当時、ポルシェは世界で初めて250km以上の巡行に耐えられる新型タイヤの開発を目指します。
こうしてポルシェがピレリと共同で開発したのがピレリP7というタイヤで、
これは世界初のロープロファイルタイヤでもありました。
このタイヤ以降、各メーカーから本格的なスポーツタイヤが続々と登場することになります。

ピレリがP7を販売した当時、
異常に多くの注文が日本から殺到しました。
当時のP7は完全にポルシェターボ用という認識であったため、
ピレリの会長が「日本にはそんなにたくさんのポルシェターボが走っているのか?」
と日本のマスコミに尋ねたのは有名な話しです。
もちろんそんなわけはなく、
この薄くてカッコ良いP7は多くの国産チューニングカーに履かれました。
50代以上の方だと当時の国産GTカーが揃ったようにP7を履いていたのが懐かしいと思います。

ポルシェ
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ポルシェ959登場の意味

本当の意味で300kmという速度を実現してくれたクルマは間違いなく959です。
それまでにも最高速度300km以上を誇るクルマは存在しましたが、
それらはカタログ上の一瞬のパフォーマンスとしてであり、
959のように巡行速度として300kmを謳ったクルマはありませんでした。
そのため959は開発段階から平行して超高性能タイヤの開発にも着手しています。

この959用の超高性能タイヤが後年のスポーツタイヤに与えた影響は大きく、
雪崩を打ったように世界中の高性能車が同じようなタイヤを求めることになります。
こうして続々と誕生した超高性能タイヤはフェラーリやランボルギーニなど、
世界中の高性能車にも採用されて行きます。

ポルシェ959
出典:ポルシェジャパン  ポルシェ959

ブリヂストンのポルシェOEM採用

今でこそ世界に冠たるタイヤメーカーとなった日本のブリヂストンですが、
1980年代はまだ世界的には知られていない一つのアジアメーカーに過ぎませんでした。

そんなブリヂストンは独自にRE91というポルシェ用タイヤを開発・販売していましたが、
これはあくまでもサードパーティー製品であり、
ポルシェから公式に認められた製品ではありませんでした。
しかし、このRE91の性能はポルシェ純正指定タイヤに負けないくらい素晴らしく、
このタイヤの評判を知ったポルシェから日本メーカーとして初めて技術照会の招聘を受けることになります。

そんなブリヂストンにポルシェ純正指定獲得の名誉がどれほど凄いことかを熱く語り、
チャレンジを促したのは同業者のピレリだったと言われてますが、
当時はまだヨーロッパの自動車工業界からは「日本のメーカー?」などと思われていた時代で、
多くの日本の自動車関連メーカーが屈辱的な対応を取られることも珍しくない時代でした。

ブリヂストン社内でもポルシェが「アジアのタイヤなんか使わんよ」という姿勢ならば、
OEM認定試験なんて受けるべきではないと考える誇り高きサムライのような社員もいたそうです。
しかし、多少の心配を抱ながらポルシェと接触を持ったブリヂストンでしたが、
変な心配はまったくの杞憂だったことがわかります。
ポルシェはブリヂストンに対し、
「我々は本当に優れた製品を世界中から探している。
そのような変な心配は無用なので是非とも自信作を見せて欲しい」
という反応だったそうです。

当時、既存のRE91でもポルシェ認定試験をクリアできると見込まれてましたが、
より性能アップを果たした新型のRE71というタイヤを開発しポルシェに披露しています。
そしてブリヂストンはこのRE71によって日本メーカー初のポルシェの純正指定を勝ち取ります。
さらにブリヂストンはより高性能な959用の純正指定タイヤの栄誉も獲得し、
一気にその名を世界中に轟かせることになります。

このポテンザRE71はREタイヤ市場でも大人気となりますが、
ポルシェにOEM供給されたタイヤには「POTENZA」のロゴが入っていませんでした。
ポルシェ用のOEMタイヤは一般にブリヂストンRE71と呼ばれていました。
このRE71は他の高性能車メーカーも着目し、すぐにフェラーリが純正採用します。

ポルシェのNタイヤ

ポルシェの純正指定タイヤにはNの文字が刻まれており、一般にNタイヤと呼ばれています。
正確に書くと「N1」とか「N2」などという感じにNと数字が刻まれており、
この数字は承認何世代目の製品なのかを表しています。初代は「N0」となります。
「N」はドイツ語のNORMの頭文字で、意味は「規格」です。
そして多くの方がポルシェのテストでは一番速く走れるタイヤが選ばれていると考えますが、
実際にはラップタイムなどはテスト項目に入っていません。
ポルシェがOEMタイヤに求めているのは常に信頼性と安全性です。
それを審査する認定基準は非常に厳しく、
過酷なテストコースを何周も走行してハンドリングに変化が出ないとか、
その過酷なコースを全速走行してもまったく安定性が損なわれないかどうかがチェックされます。
そういうタイヤなので結果的にラップタイムも良いのですが、
あくまでもテストの目的が安全性の確認に終始されるところがいかにもポルシェらしいと思います。

また、一般にタイヤは製造素材として化学製品であるナイロン・ポリエステルが使われますが、
ポルシェ用タイヤには高価な自然素材のレーヨンが使用されています。
レーヨンは耐熱性に優れ、高速走行を連続しても性能破綻が起きません。
ポルシェというクルマが一瞬のパフォーマンスだけでなく、
その速度で巡行できる性能と安定性を追求していることがここからもわかります。
ポルシェの純正指定「N」タイヤが高価なのにはそういう理由もあります。

ポルシェ911
「N1」と刻まれたメーカー承認タイヤを履くポルシェ

ポルシェ用リプレイスタイヤ

一方でNマークが刻まれていないポルシェ用のタイヤも存在します。
かつてのブリヂストンRE91と同様に、ポルシェ公認ではないが、
十分高性能なタイヤと認知されているタイヤ群です。
こういうタイヤを多くのタイヤメーカーが製品ラインナップに揃えています。
「ポルシェ用=高性能モデル用」の代名詞となっており、
さまざまなハイパフォーマンスカー用タイヤとして広く普及していると言えます。

さらにポルシェNタイヤとまったく同じブランド製品ながらNのついてないタイヤも存在します。
いわゆるREタイヤ(リプレイスタイヤ)です。
例えばピレリP-ZEROには同じタイヤながら「N」の付くタイヤと付いていないタイヤが存在します。
こういうタイヤを使用するかどうかは個人の考え方次第だと思いますが、
一般にポルシェの世界ではNタイヤ以外はあまりおすすめしないという評価が多いと思います。

これは個人的な意見ですが、Nタイヤと同じブランドの非承認製品より、
返ってポルシェ用非公認タイヤのほうが高性能な場合もあるような気がします。
理由は簡単で、まだポルシェの承認は取得できていないものの、
こういうタイヤはポルシェの求める仕様に沿って設計製造されたタイヤだからです。
つまり、現時点ではポルシェ非公認のタイヤではあるが、
もしかしたら来年には公認タイヤになっているかも知れないタイヤなのです。
事実、韓国のハンコックタイヤにそういう実例が発生しています。

ポルシェタイカン
ポルシェ・タイカンに純正採用されたハンコックタイヤ


ポルシェは一度OEM認定したタイヤでもその認定は半永久的ではありません。
何か変更があると再び認定試験を受けないとOEM認定されません。
まったく同じ製品のタイヤなのに「N0」と「N1」があるのはそういう理由によります。
中にはモデルチェンジで落選してしまうタイヤもあるようです。
当然ながら「N1」のほうが新型ということになります。
少しでも懐にやさしいタイヤを求める方が「N1」ではなく、
旧型となり気持ち安くなっている「N0」を買うというのはよく見られる光景です。

まとめ

ポルシェが世界で一番厳しいタイヤテストを行っているのは911のような特殊なリアエンジン車があるからだと言われますが、
実際には70年代の924や928のようなFR車の認定試験も同様に過酷だったことが知られています。
もちろん現在のリアエンジン車以外のタイヤについても同様です。

ポルシェ928
70年代の928用純正タイヤの選定も非常に厳しかったのは有名な話しです。

決してポルシェはタイヤメーカーをいじめているのではなく、
究極の安全性を確保するため妥協していないというのが正しい見方なんだと思います。

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