FIAT 500にはデュアロジックという少し厄介なトランスミッションが搭載されています。
独特の味があるとか良い雰囲気があるといった意見もあるわけですが、
実際は壊れやすい困ったトランスミッションというのが現実の姿かも知れません。
今回は過去に故障経験のある私が修理について思っていることを書いてみます。
デュアロジックについて
一般に優良なフィアット販売店でデュアロジックを壊れないと言ってるお店はないと思います。
まずこれを第一に押さえておかないと痛い目に遭ってしまいます。
正規ディーラーも専門店も「壊れるので覚悟してください」というようなことを言ってます。
(もちろんキチンと整備すればそうそう壊れないとも言ってます。)
複数のFIAT 500に乗り慣れた人だとなんとなくデュアロジックの状態はわかるものです。
中古車を買う場合はたくさん試乗して状態の良いクルマを体験することが重要です。
できれば正規ディーラーなどが用意している新しい試乗車を経験するのがベストと思います。
粗悪な中古車に10台乗ってもデュアロジックの状態を見極めるのは困難です。
また、良好なデュアロジックを知ってないと自分のクルマの状態もよくわからないと思います。
デュアロジックをよく知らない人だと新品でも「これで正常?」なんて言う人もいます。
それくらいクセがあるのがデュアロジックです。
故障時のコンディション見極めが重要
私は過去にデュアロジックの部分修理と新品交換の両方を経験しています。
最初のトラブルは約55,000km走行した頃に発生しました。
このとき整備でお世話になっていた正規ディーラーからは新品交換を勧められています。
というより正規ディーラーは基本的に新品交換修理を勧めて来ます。
諸々合わせて約28万円もの修理見積でしたね。
しかし、このときはポルシェ専門店の親しい整備士が詳しくチェックしてくれて、
まだ新品交換の必要はなさそうと診断してくれました。
フィアット(デュアロジック)の専門家ではありませんでしたが、
部分的なパーツ交換でまだ使えるという判断を下してくれたのです。
しかし、要注意なのは「おそらくまだ3~4万kmくらいは走れそう」という診断であって、
部分的なパーツ交換で100%蘇るとは言われてないところです。
当たり前の話しですが、距離を走ればデュアロジックの内部はそれなりに傷みが進みます。
もしこの段階で他の部分も傷みが進行していたら部分修理しても無意味です。
すぐに他のパーツが壊れて走行困難に陥ります。
私はまだ3~4万km走れそうでしたので新品交換を先送りしました。
そして新品交換修理を要したのはそれから約3.1万km走行後になります。
8万円の修理代で3.1万km走れたわけですが、今も妥当な修理金額だったと思ってます。
私の経験上、部分修理を売りにしてる整備工場でも中身を見てから判断しないところは危険です。
デュアロジックをしっかり調べて部分修理可能と判断されたケース以外は要注意です。
実際、7万円くらいで部分修理したものの、3,500kmほど走ってすぐ壊れたクルマも知ってます。
このFIAT 500はその再度の故障時に約25万円かけて新品交換となりました。
7万円で修理してからたった4ヵ月後くらいだったと思います。
つまりその7万円はドブに捨てたも同然だったわけです。
これなら最初の段階で新品交換したほうが良かったですよね。
しっかり見極めのできる整備工場を知ってるかどうかで維持費はかなり違って来るものです。
正規ディーラーは新品交換一択?
フィアットのデュアロジックに限らず、現在のセミATミッションの多くは部分修理ではなく、
修理の基本方針としてはユニット全体の新品交換のようです。
そのため正規ディーラーなどは部分的な修理を行ってくれません。
(実際は部分的な修理をしてくれるところもあります。)
ただ近年はユニット全体の交換は省資源化といった世界的な潮流に逆行してることもあって、
なんでもかんでも新品交換という基本方針も変化しつつあるようです。
再利用できるパーツはできるだけ使うという考え方に変わりつつあるといったところでしょうか。
もしお乗りのクルマのデュアロジックが不調となり、
正規ディーラーから新品交換要と診断された高額見積書が提示された場合、
一度、他のフィアット専門店などにセカンドオピニオンを受けることをおすすめします。
状態によっては部分修理でまだしばらく走れる可能性もあります。
確かにデュアロジックのような機械は新品交換したほうが気持ち良く走れます。
これは間違いないです。
ただ、それが20万円以上もするとなると躊躇するのも当然です。
しかもデュアロジックを新品交換するとなると同時にクラッチも交換したくなるものです。
デュアロジックの新品交換を実施する場合、同時にクラッチ関係も交換することが多く、
実際には20~25万円では済まないことのほうが多いと思います。
合わせて考えたいクラッチの摩耗
デュアロジックの修理となるとクラッチも降ろすことになります。
クラッチの摩耗状態は開けて中身を確認しないとよくわからないのですが、
普通はデュアロジックを修理するときには工賃や入庫に要する時間の問題もあって、
クラッチも新品交換してしまうことが多いです。
しかし、デュアロジックは人間の扱ったクラッチより状態が良好なことが多いです。
つまりデュアロジックが部分修理でまだ走れるような状態なら、
クラッチもまだ数万kmくらい走れそうなことが多いです。
それならとりあえずデュアロジックは悪いところだけを交換する部分修理とし、
数年後に訪れるであろう新品交換時まではそのクラッチを使うほうが経済的です。
デュアロジックやMTAを新品交換すればまず5~6年くらいは大丈夫です。
丁寧に扱って条件が良ければ10年くらいはノントラブルかも知れません。
しかし、中途半端に摩耗したクラッチを継続使用する判断は難しいです。
私がデュアロジックを新品交換したのは8.6万kmを超えた段階でしたが、
その時点でもクラッチはまだ3万kmくらいは使えそうな状態でした。
意外とFIAT 500のクラッチって長持ちする気がします。
(都市部の渋滞路ばかり走ってるクルマは短命になりやすいです。)
不慣れな整備工場に注意
フィアットのことをよくわかっておらず適当な整備や修理をする整備工場があります。
例え接客態度が良くて友好関係を築けていたとしてもそういう整備工場はやめたほうがいいです。
もちろん客引きしたいから「安く直します!」を前面に出してるようなところは論外です。
これはフィアットに限った話しではありませんが、
どんなクルマでもキチンと調べて的確に診断してくれるところのほうが余計な出費がありません。
また、仮に優良な整備工場であっても誤診から高額修理に見舞われるケースもあります。
現代のクルマは設計が複雑で機械としての組成もシステムも昔のクルマとは大違いです。
エラー情報だけで正しく故障個所を掴めないことも珍しくありません。
だからクルマの整備でもセカンドオピニオンという考え方は重要だと思います。
デュアロジックの状態も専門家である整備士だって見誤ることはあります。
どんな優秀な整備士でも降ろしてしっかり確認しないと正確なことはわからないものです。
もし高額修理の診断が出たなら多少の費用がかかっても別の整備士の意見も聞いてみましょう。
その上で「もう新品交換の時期です」と言われれば納得度も高まるように思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。
デュアロジックの不調に悩まされている方の参考になっていれば幸いです。
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