トヨタさんの好意で試乗機会を与えられた新型クラウンですが、
さすが「クラウン」の名前を持つ高級車だけに全体的な印象はとても良かったです。
今回はクロスオーバーGアドバンストレザーパッケージに試乗できたのですが、
良かったところと気になったところをまとめてみました。
購入検討されている方の参考になれば幸いです。
試乗して良かったところ
短時間の試乗ではありましたが、全体的な印象はとても良かったです。
まず良かった点を挙げてみたいと思います。
静粛性に優れている
とにかく静かなクルマでした。
外見からイメージする雰囲気と実際の走行感にギャップがあって、
乗っている印象は典型的な高級セダンみたいです。
とくにエンジンの始動と停止の切り替え音が見事に抑えられていて、
初めてハイブリッド車に乗った人でも変な違和感を感じないと思います。
とてもシームレス感に優れた印象です。
ロードノイズや風切り音のほうが大きく感じられるくらいに静かなクルマだと思います。
内外装は必要十分なクォリティ
クラウンとしてどうかという意味ではちょっと感じ方も違ってしまいますが、
高級なクルマらしく作られていて、所有感も高いと思います。
クラウンとして考えると「もうちょっと…」と思ってしまうところは確かにありますが、
随所が高級に設えられた質感の高いクルマになっています。
但し、今回は高級なレザーパッケージ車でしたが、
このレザーパッケージを選択していないと装備も貧弱になってしまいます。
シートヒーターなど、もっと安価なトヨタ車でも装備してるものが選べないのです。
このあたりはちょっと勘弁して欲しいグレード展開とは思いました。
クラウンとして見るとやや貧相に見えてしまいますし、
レクサスなんかと比べるのもちょっと無理があります。
下級クラスのトヨタ車より劣っているところもあります。
ただ、レザーパッケージの中にあるフロマージュはとても綺麗だと思います。
ハンドリングの剛性感が高い
これは乗った人すべてに好印象を与えるんじゃないかと思います。
剛性感というかステアリングから伝わる感覚がカチっとしていて欧州車みたいです。
似た感覚はベンツとかBMW、アウディが持ってますが、
少なくともレクサスも含めてこれまでのトヨタ車にはない感覚です。
トヨタ車はレクサスでも基本的にフワっとしたちょっと柔らかい感触がありますが、
それがもっと硬質な感触になっています。
(レクサスが悪いというわけでありません。)
これはグレードアップしたというより、方向性を変えて来たんだと思います。
個人的には極めて好印象でした。
バッテリー走行時の出力特性が良好
このあたりをインプレッションしている方が少ない気がしますが、
乗ってすぐに従来のリチウムイオンバッテリーとの違いを感じます。
新型クラウンは新開発されたバイポーラ型ニッケル水素電池を使ってますが、
これの特徴なんだと思います。
リチウムイオン電池は特性として瞬間的な電圧の立ち上がりがやや遅いですが、
これが解消されているように思います。
(これはリチウムイオン電池の弱点ですが、もちろん年々改良されています。)
バッテリー走行時のキビキビ感が体感できるくらい良くなっています。
シートポジションが絶妙で好印象
新型クラウンクロスオーバーは全体的に車高が高いわけですが、
シート座面の高さも含め、運転に直結するところに違和感はまったくありません。
乗り降りもしやすいですし、座った感覚もとても快適です。
肝心の視界も良好で、クルマの外見から受ける腰高な印象はまったくありません。
自分がどんなタイプのクルマに乗っているのかわからなくなるくらい不思議な感覚です。
少なくとも純粋なSUV車みたいな視界の高さは感じないクルマになっています。
セダンなどにお乗りの方だとシートポジションが高そうで敬遠したくなりそうですが、
意外にもそういう心配はなさそうです。
ドライブレコーダー標準装備
最近はドラレコを標準装備する動きが加速してますが、
新型クラウンのG系グレードには標準でドラレコが装備されています。
ちなみになぜか上位グレードのRS系はオプションのようです。
ただ、お気に入りメーカーのドラレコを装備したい方には余計なお世話かも知れません。
追加で装備するしかないでしょうね。
パノラミックビューモニター標準装備
新型クラウンの優秀装備の一つだといえるのがパノラミックビューモニターですが、
G系グレードはこれが標準装備されてました。
高価なオプションだと思っていたのでこれは嬉しい誤算です。
ちなみになぜかこれもRS系はオプションです。
その理由はRS系では絶対選択が必要な高額オプションの中に含まれているからで、
RS系の高額オプションの販売を促進するための戦略的措置だと思います。
(これはドライバーサポートパッケージ2という高額オプションで、
RS系でこれを選ばないとG系以下の運転支援システムになってしまいます。)
デジタルインナーミラーは世界最高品質かも
オプションとして用意されるデジタルインナーミラーの解像感が素晴らしいです。
肉眼でサイドミラーを見るより美しいかも知れません。
このオプションは是非選んだほうがいいと思います。
G系の2.5Lハイブリッドエンジンはレギュラーガソリン仕様です。
2.4Lターボデュアルブーストハイブリッドエンジンを積むRS系はハイオクガソリンです。
これはG系の大きなメリットですね。
WLTCモードの燃費も22.4Km/Lと15.7km/Lと大差をつけてG系が有利です。
試乗して気になったところ
少々FF感が強いかも
新型クラウンはFFベースのAWD(4WD)で、
機械的な4WD車と違って後輪はモーター駆動となっています。
従来の似た構造のハイブリッド車に比べると後輪への駆動力が高められてはいますが、
それでもフル加速でもしないと基本的には前輪駆動に近いトルク配分です。
いわゆるFF車特有のトルクステア傾向が顔を出すことがあり、
純粋な後輪駆動車や機械的な4WD車みたいな挙動ではありません。
普通に走る分にはまったく関係ない話しだと思いますが、
やっぱり後ろからグイグイ押し出すような感覚は薄いです。
決して「後輪駆動車=高級車」、「前輪駆動車=大衆車」とは思いませんが、
やはり高級車の多くは後ろから押し出される感覚が強いため、
そういう意味ではちょっと高級車らしくないかなと感じました。
はっきりいうとFF車に乗ってるような感じです。
ただ、これはクロスオーバーGの話しで、
クロスオーバーRSはまったく標準設定が異なるそうです。
クロスオーバーGは前80:後20くらいのトルク配分がベースらしいですが、
2.4LパワーブーストHVのクロスオーバーRSでは前20:後80くらいがベースになるそうです。
(トヨタの方から聞きました。同じ新型クラウンでも全然違いますね。)
ちなみに最近の若い人だとFF車やFFベースのAWD車に乗り慣れており、
私のような感覚は受けないかも知れませんが、
従来のクラウンやレクサスのFR車に乗っている方だとFF車っぽく感じるように思います。
レザーパッケージ以外のグレードが貧相?
今回の新型クラウンはオプションの設定が巧妙に上位グレード誘導な感じになってます。
もちろんどんなクルマでもその傾向はあるんですが、
新型クラウンはとくにそれが強い気がします。
G系グレードのオプション選びの注意点は下記別項にまとめますが、
レザーパッケージがあるとないとでは別のクルマと思えるくらい装備に差が出てしまいます。
本革シートにするかファブリックシートにするかという単純な問題ではありません。
シートベンチレーションなんかもレザーパッケージ車以外は選べないですし、
これほどの差があるのはちょっとどうなの?と感じてしまいました。
G系グレードのオプションは要注意
新型クラウンの売りの一つがアドバンストドライブやアドバンストパークだと思いますが、
残念ながら今回試乗したG系モデルは選ぶことができないようです。
これはRS系グレードのみの装備なので注意しましょう。
クラウンより下位車種であるVOXYなどには設定があるのに、
なんと新型クラウンでもG系には設定がないのです。
これを知ったときはカタログの誤記ではないかと思ったくらいです。
さらにクラウンといえば後席の快適性も重要だと思いますが、
G系はリアシートヒーターやリアコンソールを装備することもできません。
これもRS系グレードのみなので注意しましょう。
まだまだあります。
G系はサンルーフを選ぶこともできません。
やはりRS系だけのオプションなんです。
(海外仕様にあるパノラマルーフも国内仕様にはないようです。)
パドルシフトがない
これもちょっと驚いた点でした。
今や多くのクルマに装備されているパドルシフトがG系にはありません。
RS系のみの装備となってますのでご注意ください。
ブレーキランプが小さいかも
光量は十分あるので決して危ないわけではありませんが、
ブレーキランプのサイズ自体が小さいのでちょっと見難く感じました。
具体的にいうと真後ろにバイクなどが入り込むと、
ライダーの影に隠れてしまいそうです。
もちろんブレーキランプは左右にありますし、
両方が隠れるわけではないので完全に見えなくなることはないと思いますが、
見やすいブレーキランプではない気がします。
まとめ
今回は一般ユーザー向けの試乗会ではなく、
マスコミや自動車業界の関係者向け試乗会で機会をいただきました。
そのため見積りなど、購入費用に関する実戦的な商談はできなかったのですが、
トヨタディーラー関係者の方に伺ったところ、
値引きに関しては片手くらいが精いっぱいとのことでした。
多少、強気な発言なのかも知れませんし、
交渉次第なのかも知れませんが、
大きな値引きは難しいのではないかという印象を受けました。
また、現在の受注は基本的に最高グレードが中心で、
G系など、下位グレードのクルマについては生産自体が後回しというのが現実だそうです。
(カタログにも生産時期の記載がされてますが、あれは本当のようです。)
素早く入手したい方は最高グレードを選ばざるを得ないようですのでご注意ください。
それから提供されていた試乗車はまだプロトタイプとのことで、
生産車ではないそうですので仕様が異なる可能性があります。
その点、ご承知置きくださいますようお願い申し上げます。
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