FIAT 500には長らくPOP(ポップ)とLounge(ラウンジ)という二つのグレードが存在しました。
現在は新しいCULT(カルト)とDolcevita(ドルチェヴィータ)というグレードに変わりましたが、
何か大きな変更があったのでしょうか?
今回はPOPとCULTの違い、そして装備の特徴を紹介してみたいと思います。
POPから新グレードのCULTへ
FIAT 500は2021年モデルからCULTとDolcevitaという新グレードに生まれ変わりました。
これは従来のPOP、Loungeに置き換わるグレードになりますが、
単に名前が変わったとか、設定カラーが変わっただけではありません。
両グレードともかなりの変更を受けています。
今回はベースグレードと呼べるPOPとCULTについて変更点を整理してみたいと思います。
ただ、POPは長期間に渡って販売されましたので、
製造時期によって装備内容がかなり違っています。
そのため今回は最近まで販売されていたPOPと新型のCULTを比較してみたいと思います。
まずPOPとCULTの違いを一覧表にしてみましょう。
![フィアット500 カルト](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-cult-2004.jpg)
![フィアット500 POP](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-pop-2000.jpg)
POPとCULTの違い
POPとCULTの主な違いは以下のとおりです。
項 目 | POP | CULT |
---|---|---|
サイドミラーカバー | ボディ同色 | ブラック |
ボディカラー (最終POPと現行CULT) | ボサノバホワイト パソドブレレッド ミントグリーン | ボサノバホワイト パソドブレレッド シチリアオレンジ ポンペイグレー |
クルーズコントロール | なし | あり |
スピードリミッター | なし | あり |
リアシート分割可倒 | 可能 | 不可能 |
パドルシフト | なし | あり |
0.9Lターボエンジンモデル | あり | あり |
1.2L自然吸気エンジンモデル | あり | あり |
メーカーや正規ディーラーが公式に明かした主な変更点は上記のとおりです。
見た目の変更はほとんどありませんが、
装備面はかなり変更されていることがわかります。
次に各変更点を詳しく見てみましょう。
![フィアット500 POP Lunge](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat500-pop-2000.jpg)
ミラーカバー変更
新しいCULTはボディカラーに関係なくミラーカバーがブラックに統一されました。
POPはボディカラーと同色で、ホワイトならホワイト、レッドならレッドでしたね。
上の写真のようにボディがミントグリーンならサイドミラーもミントグリーンに塗られています。
これ、正規ディーラーなどは「黒いミラーでオシャレになりました」なんていってますが、
はっきりいってコストダウンだと思います。
すべて黒一色で統一するほうがコスト的に有利ですからね。
ちなみにDolcevitaも黒に統一されています。
ただ、イタリア車あるあるの話しなんですが、
実際には旧来のようにボディ同色のクルマもあるようです。
おそらく過渡期なので旧仕様のものと新仕様のものが混ざっているんだと思います。
なにしろ公式サイトの写真までボディ同色に塗られています。
もし、ミラーカバーの色にこだわりがあるなら、
どっちが入荷するのか確認したほうが安全だと思います。
![フィアット500 カルト](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-cult-2003.png)
これは公式サイトのCULTですが、
ミラーカバーがボディ同色なので外見はPOPとまったく同じですね。
発表されたCULTの特徴を見せていません。
ボディカラーバリエーション変更
CULTはボディカラーのバリエーションが変更されましたが、
昔からFIAT 500は販売時期によってカラーバリエーションが違いますし、
数多く販売された限定車にもさまざまなカラーがありました。
現行のCULTもいつオプションカラーが変わるかわかりません。
そのためPOPはこの色、CULTはこの色という説明は無理というか無意味な気がします。
ちなみに現在販売中の現行CULTはボサノバホワイトが基本カラーで、
オプションでシチリアオレンジとポンペイグレー、パソドブレレッドが用意されています。
POP最終モデルにあったミントグリーンの消滅を惜しむファンは多いですね。
このミントグリーン欲しさにCULTではなく旧型のPOPを買った人もいます。
FIAT 500というのはそういうクルマだと思います。
(2022年9月現在、ミントグリーンのPOPはまだ少数ながら在庫がありますね。)
![フィアット500 カルト](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-cult-2001.jpg)
欧州仕様のFIAT 500(日本仕様とはバリエーションが異なります)
クルーズコントロール装備
CULTにはクルーズコントロールが標準装備されました。
現代のクルマならクルコンくらいついてて当たり前と思うかも知れませんが、
それは日本車の話しで、ヨーロッパの大衆車だとまだ珍しい装備です。
ただ、勘違いされるといけないので特記したいと思いますが、
FIAT 500に装備されたクルーズコントロールは定速走行する機能しかついていません。
レーダーなどを用いて前車に自動追従するアダプティブクルーズコントロールではありませんのでご注意ください。
![フィアット500 クルーズコントロール](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-2000.png)
スピードリミッター装備
今回、CULTだけに装備されたのがスピードリミッターです。
(Dolcevitaには装備されてません。)
これは読んで字の如く、速度の上限値を設定して走行するための装置です。
例えば時速100kmに設定したらどれだけアクセルを踏んでもそれ以上のスピードは出ません。
こんな装備って意味あるの?
と思われるかも知れませんが、高速道路などで80kmくらいに設定してアクセルオンし、
後はハンドル操作に全神経を集中するというドライブができるので意外と便利です。
安全な速度で(自分でアクセルを踏み)延々と走りたいという方には便利な機能だと思います。
クルーズコントロールはアクセル操作なしでも勝手に走る機能なので、
似てるようで別物といえます。
混んでる高速道路だと定速走行のクルコンは意外と不便です。
余談ですが、POPも最終生産モデルだけはスピードリミッターが装備されています。
もしPOPにお乗りで、これがついていたら最終ロットに近い車両だと思って間違いないと思います。
パドルシフト装備
CULTにはステアリングにパドルシフトが装備されました。
私の記憶違いでなければかつて限定モデルには装備されてましたが、
カタログモデルへの搭載は初だと思います。
これはあまり使う人がいないかも知れませんが、
使い方に慣れれば坂道なんかでエンブレ効かせたいときに便利ですし、
ワインディングロードなんかをちょっと元気に走りたいときも有効です。
![フィアット500 パドル](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat500-cult-2000.png)
シート・ドアトリムカバー変更
FIAT 500のシートはちょくちょく変更されてますが、
CULTはブルーのシートとドアトリムカバーに変わりました。
POPはやさしい雰囲気のアイボリーベースでしたね。
ブルーは締まって見えてカッコいいと思いますが、
女性はPOPのシートのほうが好きなんじゃないですかね?
また、早くもDolcevitaは製造時期によってシートデザインが変わっていますので、
クルマが届いたらカタログと違っていた…なんてことはあり得ます。
これはイタリア車あるあるの話しなのでお約束です。
![フィアット500 カルト シート](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-cult-2005.png)
![フィアット500 pop](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-pop-2001.jpg)
ステアリング素材変更
CULTとDolcevitaになってステアリングの素材(質感)が若干変更されています。
これは正規ディーラーのスタッフでも気づいてない人がいるくらいで、
余程詳しい人じゃないと知らない変更です。
改悪はされていないと思いますが、個人的には旧素材のほうが触った感触は良かったと思います。
Uconnect起動画面の変更
![フィアット500 カルト](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-cult-2002.jpg)
最近のFIAT 500はパネルタッチ式の7インチモニターナビが搭載されており、
このモニターからさまざまな情報を受け取ることができるようになっています。
それがUconnectなんですが、その起動と終了時の画面デザインが変更されました。
カッコ良くなっていると思います。
リアシート可倒方式の変更
![フィアット500 CULT](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-cult-2000.png)
これは地味に使いにくいかも知れません。
POPは50:50(真ん中)で分割して可倒可能でしたが、
CULTは一枚のリアシート形状となり、
可倒も写真のように一括可倒しかできなくなってしまいました。
ちなみにDolcevitaは従来と変わらず分割可倒することが可能です。
FIATは生産時期によって仕様が違う
POPも生産時期によってかなり仕様に違いがあり、
最初期のモデルと最末期のモデルでは別のクルマといえるくらい違っています。
同じ年式でも使っているパーツが違うこともありますし、
納車されたらカタログと違っていたということも珍しくないクルマです。
CULTについても同様で、すでに現段階で車両によって違いがあるようです。
したがって単純に仕様内容を比較してもあまり意味がなく、
一覧表で比較しましたが、実際は「私のCULTは表と違う」なんてこともあり得ます。
現に私のTwinAir Loungeも納車されたらカタログと一部仕様が違っていました。
(後に販売される後期型のパーツが部分的に使われていました。)
FIAT 500というのはそんなクルマなので、
「届いてからのお楽しみ」くらいに構えていたほうが幸せだと思います。
まとめ
POPとCULTを比較してみましたが、
あきらかに新型CULTのほうが装備が充実していることがわかります。
ただ、これは個人的な意見ではありますが、
日本車などと比較したらオソマツなほど質素な内容です。
正直、「装備がいいからCULTを選ぶ」なんて発想にはならないです。
それほどの差は感じません。
それより好きなボディカラーとか、好きなデザインで選ぶほうがきっと楽しいと思います。
どうしても新車が良いというような強いこだわりがあれば別ですが、
そうでないのなら自分好みのPOPを探して買うのもいいんじゃないでしょうか?
少なくとも比較にならないほどCULTに劣るなんてことは絶対にないと思います。
少しでもPOPとCULTで迷われている方の参考になれば幸いです。
次回はLoungeとDolcevitaの違いに迫ってみたいと思います。
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