クルマやバイクの盗難事件は年々増加傾向にあって腹立たしい限りです。
とくに最近は希少なクルマやバイクが高値で売れることから犯行は増加しています。
今回はプロ窃盗犯グループの常套手段について検証してみました。
効果的な対策を講じるためには相手の手口を知っておかねばなりません。
プロ窃盗犯の手口
かつて私は住んでいる地域の自治会役員をしていたことがあり、
ちょうどその頃に自動車窃盗が多発したことがあって、
地元警察からプロの窃盗犯がよく用いる手口についてレクチャーを受けたことがあります。
そこで聞かされた話しの中で、とくに印象深かったことを記してみます。
クルマやバイク好きを装って近づきGPS発信器を装着
クルマやバイクの好きな人は同好の仲間と交流を持っています。
主にツーリングやオフ会などを通じて新しい仲間と知り合いますが、
そこにクルマやバイク好きを装って不審な人物もやって来ます。
そういう人物は愛好者の如く振る舞って堂々と車両に近づき、
隙を見てGPS発信器などを仕掛けます。
中にはオーナーの許可をもらって運転席に座って仕掛けることもあり、
オーナーもまさかオフ会参加者が窃盗犯の一味だとは思いもしないものです。
GPSデータを収集しオーナーの行動を分析
GPS発信器が仕掛けられるともう行動は筒抜けになってしまいます。
車両の保管場所も知られてしまいます。
犯行グループはしばらく車両の動きを観察し、犯行のチャンスを伺います。
車両が人目のない場所に保管してあればすぐ犯行に移されてしまう恐れもあります。
必ず事前に下見して犯行に必要な道具を準備
プロの窃盗犯グループはそれぞれの役割に応じて必要な道具をしっかり準備します。
相手は組織的に行動しているのでオーナー一人で対処するのは困難です。
中には車両を運搬する積載車のようなトラックまで用意しており、
たった一日で何百キロも離れた遠い場所に運ばれてしまうこともあります。
雨天時に犯行決行
プロの窃盗犯は意外にも天候の悪い日に犯行を決行することが多いです。
例えば雨が激しく降っている日などは不審な物音もかき消されてしまいます。
闇や雨音に紛れて犯行を行うので、仮に自宅駐車場であったとしても危険です。
ペット対策もしている
これは空き巣犯なども同じですが、窃盗犯はペット対策として餌を用意しています。
どんなに優秀な番犬でも食べ物を与えられると警戒度が低下しちゃうものです。
用意周到な犯行グループだと対ペット専用の人員まで用意するようです。
そんな対ペット対策メンバーが遊び相手をするわけですね。
もうここまで来るとオーナーに忠実な番犬であっても手懐けられてしまいます。
手慣れた窃盗グループは指揮系統まで確立されている
本格的な窃盗犯グループは大規模な人員で構成されています。
それぞれが専門分野を持ち、例えば盗難防止装置や防犯カメラに詳しい者がいたり、
本物の販売店スタッフ並みに車両の運搬スキルが高い者もいます。
(本職のクルマ屋やバイク屋が盗んでいた事件もありましたね。)
そして常に組織的に行動しており、指揮を執るリーダーも存在します。
烏合の衆ではないのです。
完全な盗難対策は困難
非常に厳しい話しになりますが、窃盗のプロからターゲットにされてしまうと対策は困難です。
相手は百戦錬磨のプロ集団であり、しかも厄介なことに犯行後の動きが素早いです。
単にクルマやバイクが好きな素人窃盗犯なら行動に隙もありますし、
犯行後にクルマやバイクを盗んだままの状態でどこかに隠していることもあります。
オーナーが防犯用に装着したGPS発信器などから車両の隠し場所を特定し、
取り返すこともできますし、実際に取り返せたケースもあります。
しかし、プロ窃盗犯の場合は盗んだ数時間後にはバラバラに解体するなど、
事後処理の早さが半端ではありません。
車両を徹底的にクリーニング…つまり防犯用GPS発信器などを除去したり、
足が付くような物的証拠も素早く消し去ってしまいます。
こんなプロ集団に盗まれてしまったら綺麗な状態で取り返すのはほぼ不可能です。
よく被害者から「警察が動いてくれない…」と不満の声が挙がりますが、
残念ながら盗まれないよう自己防衛するしかないのが現実で、
警察が大挙人員を動員して被害車両の捜索などしてくれないものです。
人命のかかった誘拐事件と同じような機動捜査を期待するのは難しいですね。
自力救済禁止!(警察より)
窃盗犯から自分のクルマを無断で取り返すと窃盗罪(刑法第235条)になってしまうことがあります。
一旦、盗まれてしまうと窃盗犯が占有権(民法第180条)を持ってしまうので、
無断で取り返すと今度は自分が刑法上の窃盗に当たってしまう恐れがあるのです。
クルマやバイクが盗まれた場合、自分で取り返すのではなく、
必ず警察に連絡し、適切に法に則って取り返す必要があります。
なお、犯行時にその場で取り返す行為は正当防衛(刑法第36条)であり適法です。
刑法第235条:他人の財物を窃取した者は,窃盗の罪とし,10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
民法第180条:占有権は,自己のためにする意思をもって物を所持することによって取得する。
まとめ
今回は組織的に犯行を行うクルマやバイクのプロ窃盗犯の手口に触れてみました。
私の身近にも盗難の被害者がいますが、あっけないくらい簡単に盗まれてしまっています。
そして、被害者の多くが泣き寝入りを強いられています。
現代のプロ窃盗犯は一般人が想像するより遥かに計画的に犯行を行っており、
その構図は完全に「組織VS個人」で、普通の一般人が的確に対処するのは厳しそうです。
盗まれやすい人気車種にお乗りの方はケチらず車両保険に加入したり、
防犯効果のありそうな装備を施すなど、最低限の自己防衛は必要ですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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