FIAT 500エンジンに使われている重要パーツの中で壊れやすいのがサーモスタットです。
このサーモスタット…純正品は冷却水の配管接続部がなぜか樹脂製でできており、
異常な圧力が加わったりするとこれがよく破損します。
今回はこの壊れやすいことで有名なサーモスタットについて考えてみます。
純正パーツはなぜか樹脂製
FIAT 500のサーモスタットは冷却水の配管接続部が樹脂でできており、
経年劣化や整備時に雑に扱ったりするとこれが破損します。
樹脂製なので配管接続している根本で破損(破断)してしまうんです。
ここを破損すると冷却水が漏れ出してオーバーヒートの原因となりますが、
この破損を防ぐために配管接続部を丈夫な金属で作った社外製パーツが流通しています。
しかし、熱や水圧に晒されるパーツなのになぜ樹脂で作ってあるんでしょうか?
これは不思議なことにフィアットだけじゃなくアルファロメオなど、
多くのイタリアメーカーがこのパーツを樹脂で作っています。
多くのイタリア製工業製品は日本製やドイツ製みたいに強固な作りはされてませんが、
それにしても「なんじゃこりゃ?」と思ってしまうところがあります。
FIAT 500だとこのサーモスタットはその代表選手でしょうか。
実際は環境保護に熱心なドイツメーカーも樹脂製パーツを多用しています。
多くは再生プラスチックを原材料に使用しています。
もちろんサーモスタットにも樹脂が使われていますね。
社外製パーツは入手も容易で安価
この破損しやすい樹脂部を金属で製作した社外製パーツが流通してますが、
決して高価で希少な入手困難なパーツというわけではありません。
普通にパーツ店で売ってますし、販売価格も純正パーツとほぼ同等です。
まず入手に困ることはないパーツの一つです。
つまり社外製の強化パーツにありがちな高額な特製パーツというわけではありません。
社外製のパーツに交換する?
耐久性が高そうで価格も同等となれば純正パーツにこだわる必要はなく、
みんな金属製の社外製パーツに交換すればいいと思いますが、
なぜか交換する人と交換しない人(樹脂製の純正パーツを使う人)がいます。
これは一体どういうことなんでしょうか?
クルマによっては壊れやすかろうが性能が劣っていようが純正パーツにこだわります。
例えばメーカー公認のクラシケ取得を目指すようなフェラーリは純正パーツで固めてますし、
多少不便だろうがなんだろうがそれが当たり前になっています。
しかし、普通の実用車であるフィアットでそのように仰々しく考える方はほとんどいません。
機能的に優れたパーツなら使うのが建設的ですよね?
整備士も見解が分かれている?
実はこの金属製の社外製サーモスタット…
整備士の中にはなんらか異常な圧力が発生したときに金属製だと問題があると考える人がいます。
つまり金属で破損(破断)しないということは、他のところにその負荷がかかるわけです。
実はこれには一理あり、フィアットの開発者もその意図で樹脂製を採用してる可能性があります。
そのため現場の整備士でもこの部分は見解が分かれています。
私がお世話になっているフィアット整備士でも考え方が分かれてしまってますね。
果たしてどっちが正しいというか適切な考え方なんでしょうか?
次に一台の事例をご紹介します。
正規ディーラーの整備士も意見が分かれてますね。
もちろん正規ディーラーは社外製の金属パーツは使いませんが、
かつて私に社外製パーツへの交換を推奨してくれたのはディーラー整備士でした。
ラジエーターが壊れたフィアット
2019年晩夏、フィアット仲間のご夫婦が静岡県の日本平までドライブに出かけた際、
帰り道でオーバーヒートを経験します。
オーバーヒートすると冷却水が沸騰して異常な圧力が発生するわけですが、
この圧力に負けてラジエーターの一部が破損してしまいました。
このご夫婦のフィアットには金属製の社外製サーモスタットが装着してあったんですが、
もし、このサーモスタットが純正の樹脂製であったならば、
破損したのはラジエーターではなく、サーモスタット配管接続部であった可能性が高く、
ラジエーター一式交換というやや高額修理に見舞われることはなかったかも知れません。
少なくともこのクルマに関しては、修理した整備士がそう見立てていました。
このように樹脂製の純正パーツは万一のときに負荷の受け皿となってくれる可能性があり、
頑丈に作った社外製の金属パーツにはそういうヒュース的要素はないと考えられています。
こういった事情から安易に金属製の社外品を推奨しない整備士もいるわけです。
(サーモスタットが破損するほうが修理代が安いです。)
このケースで社外製のサーモスタットが原因だと考えない整備士もいます。
実際、純正の樹脂製を使っていても他箇所が破損した事例はあります。
現在は純正パーツを装着中
私がお世話になっているフィアット整備士も真っ二つに意見が分かれていますが、
そうなるとどちらの考えが正しいのか判断に迷ってしまいます。
かつては私も頑丈そうな社外製サーモスタットを装着していました。
しかし現在は樹脂製の純正パーツに戻しています。
サーモスタットを樹脂製の純正パーツに戻したのには理由があって、
それは身の回りに社外製パーツの使用で問題に見舞われたクルマが多発したからです。
上記したオーバーヒートでラジエーター破損したフィアットもその一台ですが、
そのクルマ以外にも同様な理由で故障したフィアットが何台かいました。
こう立て続けに問題が起きると社外製パーツを組んでいるのは危ないと感じてしまいます。
だから私は純正パーツに戻しました。
ただ、私は社外製サーモスタットを今も保管してますし、また装着する可能性はあります。
決して金属製の社外製サーモスタットを完全否定したわけではありません。
樹脂製の純正サーモスタットの耐久性を心配される方がいますが、
基本的にそうそう壊れるものではないようです。
経年劣化で破損する可能性があると言っても5年や6年は大丈夫そうです。
10年以上交換してないフィアットだって珍しくはありません。
結局どっちがいいのか?
結局のところ樹脂製と金属製はどっちがおすすめなんでしょうか?
誰もがそこを知りたいですよね?
しかし、残念ながら両パーツを比較して結論を出すのは難しそうです。
ただ、私個人の見解では樹脂製の純正パーツのほうが安心な気はしてます。
その理由はクルマの冷却系統に致命的なトラブル…例えばウォーターポンプが壊れたとか、
冷却用の電動ファンが動いてないといった故障が起きた場合、
冷却水はどんどん温度が上昇し圧力もグングン上がっていきます。
社外製サーモスタットの金属パーツだとその負荷を引き受けることなく、
ラジエーターや冷却水の配管などにその大きな負荷を向かわせてしまいます。
そうなるととても厄介なところを破損させてしまう恐れがあります。
しかし、純正サーモスタットなら樹脂製の配管接続部が(おそらく)真っ先に破損します。
そのおかげで冷却系統の広域にダメージが及ばずに済むかも知れないのです。
安易に結論は出せませんが、そういう可能性があることは頭に入れておきたいものです。
まとめ
フィアットのサーモスタット破損…厄介ですよね。
確かにサーモスタット単体で考えたら同等価格ながら丈夫な金属製パーツは魅力なんですが、
その頑丈さが災いして?他の箇所にトラブルを誘発する可能性があるなら微妙です。
少なくとも身近でそういうトラブルを見てしまった私にはそう思えてしまいます。
ただ、整備士の中には保護機能的な一面はほとんどないのではと考える人もいます。
実際、純正の樹脂製パーツが負荷を引き受けてくれてるという明確な証拠はありません。
これもまた事実なんですよね。
一つ確実に言えることは樹脂部自体が破損してオーバーヒートしたクルマもあるということと、
こういうケースでは電動ファンなど、その他のパーツに異常は起きてないということでしょうか…
つまり社外製の金属パーツを使っていればトラブらなかったということですよね。
こっちを経験した人は樹脂製の純正パーツなんか見たくもないでしょうし、
修理した整備士も速攻で社外製の金属製パーツへの交換を提案するはずです。
これも決して間違った考えではないですよね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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