FIAT 500とジムニー、ジムニーシエラを比較するなんて本来はないでしょうが、
両車はサイズ感が近いこともあって街乗り車としてなら競合しそうです。
完全に異種格闘技の一戦みたいな戦いですが、意外にも販売価格なんかも近いです。
今回はちょっと強引ながら無茶で無謀な比較をしてみます。
人気のジムニーとジムニーシエラ
昔からジムニーは人気あって新車も中古車も入手困難なクルマですね。
とくに新車は一年から一年半くらい待たないと納車されない状態が続いていて、
ピカピカな新古車や中古車だと新車より高値で取引されてます。
ちなみにフィアット好きな人だとジムニーとシエラの違いを知らない人もいるので、
まず最初にジムニーとシエラの違いに触れておきましょうか…
違いは簡単でジムニーは軽自動車でシエラは普通車ですね。
ジムニー乗りからしたら「そんなことも知らんのか?」って話しですが、
ジムニーに興味ない人は知らないですね。
ジムニーの納期は世間で言われる話しが本当かどうかはわからないです。
実際、私のご近所さんはたった四ヶ月でシエラ新車が納車されてます。
購入時は一年待ちと言われていたようですが、いきなり電話がかかって来たそうです。
ちなみにミッションは納期が早いと言われるMTではなく人気のATです。
おそらく同仕様車のキャンセルなどがあったんでしょうね。
フィアットとサイズ感を比較
そんなジムニーとジムニーシエラですが、車両のサイズはどうでしょうか?
比較のために数字を並べてみます。
FIAT 500 ツインエア | FIAT 500 1.2 | ジムニー | ジムニー シエラ | |
---|---|---|---|---|
全長 | 3570 | 3570 | 3395 | 3550 |
全幅 | 1625 | 1625 | 1475 | 1645 |
全高 | 1515 | 1515 | 1725 | 1730 |
車重 | 1040Kg | 990Kg | 1040Kg | 1080Kg |
ホイールベース | 2300 | 2300 | 2250 | 2250 |
最小回転半径 | 4.7m | 4.7m | 4.8m | 4.9m |
エンジン | 875㏄ターボ | 1240㏄ | 658㏄ターボ | 1460㏄ |
出力 | 85㎰/5500 | 69㎰/5500 | 64㎰/6000 | 102㎰/6000 |
トルク | 14.8Kgm/1900 | 10.4Kgm/3000 | 9.8Kgm/3500 | 13.3Kgm/4000 |
JC08モード燃費 | 24km/L | 19.4km/L | 17.1km/L | 16.4km/L |
燃料タンク容量 | 35L | 35L | 40L | 40L |
使用ガソリン | ハイオク | ハイオク | レギュラー | レギュラー |
さすがに軽自動車であるジムニーのボディサイズは小さいですが、
それを除けば全体的にカタログスペックは接近した数値ですね。
ボディのサイズはもちろんですが、運転して感じる取り回しなんかも似てそうです。
例えば最小回転半径などでしょうか。
ただ、車室内は高さを除きフィアットのほうが広いです。
フィアット500室内寸 | 室内長2300×室内幅1415×室内高980 |
ジムニー・ジムニーシエラ室内寸 | 室内長1795×室内幅1300×室内高1200 |
実際に乗った印象
私は上の表に掲げたすべての車両に乗ったことがありますが、
私個人の感覚では街乗りの容易さは互角という印象です。
ただ、フィアットは普通乗用車でジムニーはクロスカントリー4WDなので走行感は違います。
当たり前ですよね。
その当たり前の違いを踏まえた上で印象を書いてみます。
乗り心地
イタリア車のフィアットはやや硬い足回りをしてますが、
乗り心地については確実にフィアットのほうが優れています。
普通に街乗りする乗用車なので当然です。
ただ、舗装の荒れた郊外道路なんかを走るとジムニーのほうが快適です。
ちょっとやそっとの荒れなんか吸収してくれるんでしょうね。
加速性能の比較
ジムニーシエラとフィアットのツインエアはかなりスペックが接近しています。
市街地のゴーストップではシエラのほうが気持ち速く、
高速道路だとツインエアのほうがやや速そうです。
例えば街乗りでの0~50mくらいの加速はシエラのほうが俊足で、
高速道路で70~80kmくらいから追い越しするならツインエアのほうが伸びます。
イタリア車のフィアットは高速走行向けの最終減速比なので、
一般的な国産小型車などより高速走行は有利ですね。
ちなみに同じフィアットでも1.2はツインエアほどスピードは伸びません。
軽のジムニーと良い勝負じゃないでしょうか。
フィアットの最終減速比はモデルによって多少の違いはありますが、
約3.5~3.8(500スポーツ)です。
同じくらいの排気量の国産小型車だと約5.5くらいなので全体に高めです。
つまり発進加速より速度が上がってからの伸びに振ってますね。
余談ながらジムニーシエラはMTが約3.8、ATは約5.4ですが、
MTは5速でATは4速なので最終ギアでの総合減速比は接近し、
ともに約3.7~3.8になります。
ATは発進時にMTより40%以上エンジンを回す必要があるので、
理論的にもATモデルの燃費はキツくなりますね。
多くのジムニーオーナーが乗り方で燃費は変わると言ってますが、
同じ人が乗ったらMTのほうが燃費は良くなりそうです。
日常的な使い勝手
取り回しは軽自動車のジムニーが一番優れてますが、他の三台も悪くないです。
ただ、フィアットはデュアロジックの使い勝手にクセがあるので、
普通に走ったときの乗りやすさを比較するならジムニーやシエラのほうが有利です。
もちろんフィアットオーナーはそのデュアロジックに慣れてるので、
荷室の大きさとか後席の使いやすさでフィアットを推すでしょうね。
ジムニーは荷室が小さくて後席を畳まないと荷物を積むのは困難です。
ボディサイズは似てますが、フィアットはそこまで狭くないです。
燃費の比較
維持費全般はジムニーに分がありそうですが、燃費はフィアットのほうが良好です。
一般にジムニーは燃費に難があると言われますが、確かに実燃費は悪いですね。
四駆走行するかどうかはともかく、ラダーフレームを持つ重いクロカン4WD車ですからね…
おそらくリッター12kmくらい走れば良いほうじゃないでしょうか?
友人のJB74シエラ(AT)なんか10km走らないことも普通にありますし、
従弟が所有するJB64ジムニー(MT)も軽自動車なのに平均11km台のようです。
ただ、レギュラーガソリンで走れるジムニーやシエラはサイフにやさしいです。
単純に満タンで走れる航続距離はフィアットが有利ですが、
サイフへのやさしさなども考慮すると互角でしょうか。
ちなみにフィアットもドライバーや走行路によって燃費に差はありますが、
街乗りで12~13km、郊外なら15~16kmくらいは走れます。
ハイオクガソリンが必要ですが…
最近、横浜都心部に住む友人がツインエアを買いましたが、
横浜や東京の都心部ばかり走ってリッター11km前後のようです。
一般道での走行比較
一般道での走行は乗用車のフィアットが有利ですが、
取り回しなども含めた使い勝手となるとジムニーもかなり優秀です。
とにかく小回りが利きますし、街乗りする速度ならそれほど乗り心地も気になりません。
自宅から10~15分程度の買い物に行くような使い方なら軽のジムニーは最強かも…
私がジムニーやシエラに乗って感じる一番の安心感は駐車場に入る段差とか、
路面の荒れなんかまったく気にせず走れるところです。
フィアットは5cmくらいの段差でも注意しないといけませんが、
悪路に強いジムニーやシエラなら5cmの段差なんて平面と同じですね。
高速道路
高速道路や自動車専用道では圧倒的にフィアットのほうが走りやすいです。
比較にならないくらい安定感が違います。
そりゃそうですよね…
高速道路ばかり走る人がジムニーやシエラを買うとは思えないですが、
さすがにクロカン4WDに高速道路は向かないですね。
とくに派手にオフロード向けに改造されたジムニーは走りがグネグネしてて怖いですね。
街乗りするジムニーは純正サイズくらいのノーマルタイヤを履いてると思いますが、
人気タイヤのオールテレーンなどは高速走行に使う人もいますね。
中には平気でマッドテレーンで走ってる人もいます。
こういうタイヤは走り難いので、ちょっと気合いが要りそうです。
高速道を走るなら猛者のジムニー乗り以外は手を出さないほうが無難です。
未舗装や舗装状態の悪い道路
私は釣りの趣味があるのでオフ車所有の友人と悪路に向かうことが多いですが、
こういうクルマは多少の荒れや段差なんか関係なく普通に走れます。
轍なんかも関係ないですね。
ノーマルに近いジムニーであってもその高い走行性能は変わらないです。
私は一人で釣りに行くときはツインエアに乗って行きますが、
さすがにジムニーをはじめとするオフ車のようなわけにはいきません。
川や湖岸なんかの悪路はかなり慎重に走ってます。
このレベルの道路くらいからフィアットは限界が見えて来ますね。
完全な悪路
完全な悪路になると比較どころかフィアットは走れません。
普通の乗用車はLSDでも組んでなければちょっとした荒れでも走れなくなります。
タイヤが一本でも空転すると動力が伝わらずまったく動けないですね。
多くの一般ドライバーはそれを知らないのですぐスタックしてしまいますが、
ジムニーならそんな道でも普通に走れてしまいます。
フィアットは小型FF車なので多少の悪路なら走れないことはないですが、
実は意外とフロント下回りなんかは低いです。
ここを打ちつけたり擦ってしまう恐れがありますね。
生活四駆と呼ばれる4WD車と悪路走行用の4WD車ではまったく中身が違います。
街乗り用のSUVだと4WDであってもあまり悪路走行性能は高くないですね。
ジムニーもデフロックなしの簡易四駆と言えばそうなんですが、
対角線が短い車体なので多少の悪路なら問題なく走れてしまいます。
ただ、ジムニー乗りでも知らない人がいますが、
極端な悪路で対角する車輪が浮いてしまうとタイヤは空転し走行不能になります。
これを対角線スタックといいますが、ジムニーでも発生する危険な状態です。
ちなみにガチ勢のジムニー乗りだとLSDを溶接で固定してたりしますね。
エアコンの効き具合
フィアットは窓が大きくて夏場は暑い傾向にありますが、
逆に冬は日差しが入って暖かみを感じやすいです。
決して空調が快適なクルマではないですが、大きな不満もありません。
対してジムニーはどうでしょうか?
ジムニーは限られたボディサイズでできるだけ広い車内空間を生み出そうとしてるので、
内装パネルなども含めたボディ部材は薄くてペラペラですね。
クルマとしての防暑、防寒性能は低そうです。
しかし、車内空間の狭いジムニーは小型のエアコンでも不満ないレベルに効いてくれます。
流行りの軽ワゴン車などより遥かに快適で、暑さ寒さで苦しむ人は少なそうです。
この辺は個人差があるでしょうが、同等レベルと考えていいんじゃないでしょうか。
比較のまとめ
私はFIAT 500とジムニーやジムニーシエラの比較なんて考えたこともなかったんですが、
実はフィアットのツインエアとジムニーシエラで迷っている友人が現れたんです。
最初は何を血迷ったのかと思いましたが、話しを聞いてみるとなるほどと思えたりもしました。
確かに街乗り車としてなら購入費用やサイズ感などは似ています。
ともにカスタムパーツが豊富なクルマでもありますし、
街乗り中心で悪路を走らないのならライバル?になるのかも知れません。
それに自動車販売店でもフィアットの1.2POPあたりとジムニーで迷う人はいるようです。
中古車価格がかなり接近してるのも理由の一つだそうです。
私の身近には約3インチリフトアップしてるガチ勢のジムニー乗りが何人かいますが、
大半のジムニー乗りはそこまで悪路走行に全振りせず、
ノーマルかせいぜい1インチアップくらいの車高で街乗りに使ってますよね。
そういう使い方ならFIAT 500も競合車になるのかも知れません。
あとがき
FIAT 500もジムニー、ジムニーシエラも熱心なファンのいるクルマだと思いますが、
普通に考えれば競合はしないですよね。
でも思い返してみると5年くらい前に友人がBMW118iとシエラで迷ってましたね…
軽のジムニーは独自のキャラを持ってるように思いますが、
普通車のシエラだと小型普通車を検討してる人なら候補に挙げるのかも知れません。
それとジムニー乗りの人は意外に思うかも知れませんが、
実はFIAT 500は雪道に(かなり)強いクルマです。
このクルマにはESP(エレクトロニック スタビリティ プログラム)や、
ASR(アンチスリップレギュレーション)という優秀な電子制御システムが搭載されていて、
適切なタイヤを履いていれば10~20cmくらいの積雪路でも先頭を駆け抜けれるくらい俊敏です。
さすがにジムニーには敵わないですが、完全敗北するほど弱くもないんですよね。
つまりジムニーのライバルになれる可能性くらいは持ってるということでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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