FIAT 500には多くのライバルが存在します。
すぐ思い浮かぶのは歴史と伝統あるビートルやMINIではないでしょうか?
そのフォルクスワーゲンビートルといえば名車中の名車ですが、
1998年に復活した新型ビートルは車体の大きなGolfベースで作られました。
もし、これがもっと小型のPOLOベースで作られていたらどうなっていたでしょうか?
今回は各車のサイズ感を中心に比較してみたいと思います。
![フィアット500 ラウンジ](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/09/fiat-500-lunge-2000.jpg)
「ニュービートル」登場
![ニュービートル](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/wagen-2001.jpg)
1998年、4代目ゴルフのA4プラットフォームをベースとして、
FF駆動の新しいコンセプトカーの市販が決定しました。
これが歴史的な名車であるフォルクスワーゲンタイプ1の後継車となる「ニュービートル」でした。
当初は一種のコンセプトカーとして展示目的で作られたクルマでしたが、
世界中から販売を望む声が殺到し、その声に押される形で市販化が決定します。
このニュービートル…ノスタルジックな世界を再現した結果、
ベースとなったゴルフよりあきらかに使い勝手が悪く、
合理主義を徹底しているドイツのマイスターの作品とは思えないクルマとなりましたが、
それでもこのクルマを求めるファンは世界中にいて、
その市販化決定には大喝采を浴びせたものでした。
ただ、無理やりゴルフベースで作ったため、イメージするよりやや大きなクルマとなり、
タイプ1を知る世代からは「ちょっと大きい」という声も囁かれました。
![ビートル](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/wagen-2004.jpg)
後継車「ザ・ビートル」も登場
![ザ・ビートル](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/wagen-2003.jpg)
2011年になるとフルモデルチェンジ版として更に大きなジェッタをベースとした新型が登場します。
これが「ザ・ビートル」と名付けられたクルマで、
外観はノスタルジックな往年のビートルをオマージュしていたものの、
その中身は当時最新だったテクノロジーを満載した現代的なモダンカーで、
中にはゴルフGTIの強力な211㎰エンジンを搭載するモデルまでラインナップされており、
かわいらしい小型車というより完全に現代的な高性能カーでもありました。
ただ、ジェッタをベースにしたことで絶対的なサイズは大きくなったものの、
フォルムはむしろタイプ1をよりオマージュしたものとなり、
世界中で好意的に迎えられたようには思います。
ただ、これはこれで素晴らしいクルマではありましたが、
何となく多くの方が求める往年のビートルとは違う印象で、
徐々にその存在意義を失っていったような気がします。
「そういうクルマならゴルフやジェッタでいいんじゃない?」
と感じた方も多かったようです。
また、晩年は毎年のように限定モデルが販売されるようになり、
それはそれで人気を博したものの、比例してグランドモデルの存在感は薄くなり、
フォルクスワーゲン社にとっても「絶対にないと困るクルマ」ではなくなっていったように思います。
そんな背景もあったからなのか販売台数も下り坂となり、2019年7月に生産終了となりました。
名車「タイプ1」の登場から約80年目の出来事でした。
![](https://sskoba.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/woman.png)
ザ・ビートルの全幅1.8m超えはさすがに大き過ぎて買う気にならなかった…
もっと小柄でかわいければ良かったのに…
![](https://sskoba.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/man.png)
毎年6,000~9,000台以上の販売を続けていたザ・ビートルでしたが、
2015年頃から急激に販売台数を落としてしまいます。
代わって台頭したのがBMW傘下で登場していた新型MINIで、
こちらはビートルとは比較にならないくらい販売好調でした。
新型MINIは3ドアモデルだけでなく5ドアモデルを登場させるなど、
さまざまな用途に合ったタイプのモデルを巧みにデザインし、
シリーズ合計で年間2万台以上もの販売台数を誇っていました。
各車サイズ比較
FIAT 500は小型サイズのクルマですが、
ニュービートルやザ・ビートルはそれほど小さなクルマではありません。
どれくらいサイズが違うんでしょうか?
参考までに人気のBMW MINIも加えて比較してみました。
FIAT 500 | ニュービートル | ザ・ビートル | BMW MINI (第三世代) | |
全長 | 3,545mm | 4,090mm 4,130mm(MC) | 4,270mm | 3,865mm |
全幅 | 1,625mm | 1,730mm 1,735mm(MC) | 1,815mm | 1,725mm |
全高 | 1,515mm | 1,500mm | 1,485~ 1,495mm | 1,430mm |
ホイールベース | 2,300mm | 2,515mm | 2,535mm | 2,495mm |
車両重量 | 1,010~ 1,050kg | 1,250~ 1,390kg | 1,300~ 1,380kg | 1,210Kg |
こうして比較してみるとFIAT 500だけがかなり小さいことがわかります。
1998年当時のフォルクスワーゲン ポロ(3代目)のサイズは以下になります。
全長3,715mm×全幅1,660mm×全高1,435mm/ホイールベース2,410mm
もし、ニュービートルがこのサイズで登場していたら、
直撃するライバルになっていたように思います。
コレクターズアイテム化
![ザ・ビートル](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/wagen2004.jpg)
ビートルというクルマは初代も二代目も三代目も遊び心のあるクルマではありましたが、
それでいて本当の中身はドイツ車らしく実用車でもありました。
その実用面で足かせとなる部分が目立ち始めると販売も苦戦し、
徐々にオワコン化していったように思います。
似たようなコンセプトで登場していた新型MINIと比較した場合、
独特なフォルムが邪魔してモデルラインナップを拡充できなかったという弱点が見えて来ます。
おそらくビートルが販売終了となった理由の一つがこれであったことは間違いなく、
奇妙な姿カタチをしたクルマに変貌しなかったことはビートルにとって幸せだったような気もします。
その点、新型MINIは違和感なくさまざまなボディバリエーションを展開できており、
販売面でも各モデルが爆発的に売れました。
そんな新型ビートルは生産終了と同時に愛好家たちのコレクターズアイテムと化し、
現在は初代だけでなく、二代目も三代目もエンスー度のあるクルマとして市場に認識され、
コンディションの良いクルマはそれなりに高値で取引されています。
ライバルの新型MINIがノスタルジックカーというより、
完全に現代の小型実用車としてその地位を確立したのに対し、
不遇な運命を辿ったように思えてしまうのは私だけでしょうか?
逆に言うと新型MINIは現代的なクルマとして多くの難題をクリアして生き延びたとも言えます。
![BMW MINI](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/MINI-2000.jpg)
![BMW MINI](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/MINI-2001.jpg)
![](https://sskoba.com/wp-content/themes/cocoon-master/images/b-man.png)
新しいビートルのベースとなったゴルフやジェッタは新型に移行し、
ザ・ビートルは旧プラットフォームで作るあまり売れないクルマと化していました。
ビートルも新プラットフォームで新型になるのではという噂はありましたが、
それが実現することはありませんでした。
![ニュービートル カブリオレ](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/wagen-2002.jpg)
FIAT 500とは違う世界観だった
![フィアット500](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/fiat-500-2004.jpg)
新型ビートルより遅れてFIAT 500も現代的にリニューアルされて登場しますが、
こちらはニュービートルよりずっと小型でかわいらしさを持ったクルマとなっていました。
実際には旧型500より遥かに巨大化したボディを持ち、
エンジンパワーなども相当に強化されたモデルとして登場しますが、
それでも現代車の感覚からすれば小型でかわいいクルマだったと言えます。
現代版ビートルが徐々に販売台数を低下させていったのに対し、
新型500は世界中で大人気となって販売台数を年々伸ばしていきます。
もちろんニュービートルと新型500はまったく異なるコンセプトのクルマで、
販売市場的にも直接的なライバルではありませんが、
その趨勢は正に真逆の運命を辿ったと言っても過言ではないと思います。
もしPOLOベースだったら
フォルクスワーゲンにはゴルフよりサイズの小さなポロというモデルがあります。
実は新型ビートルが登場したとき大歓迎の声が挙がったものの、
中には「もっと小さなポロベースで作って欲しかった」という声は多かったものです。
販売的にも新型ビートルは登場当初からゴルフと市場で食い合う関係にあり、
同じパイを奪い合ってるという批判はありました。
もちろんポロベースで作ればポロと市場で競合していたかも知れませんが、
少なくともフォルクスワーゲン社のメインモデルとの競合にはならなかったと思います。
もし新型ビートルがポロベースで作られていたらどうなっていたでしょうか?
もしかしたらFIAT 500と市場でまともにぶつかり合うライバルになっていたかも知れません。
![フォルクスワーゲン ポロ](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/wagen-2005.jpg)
FIAT 500にとっては幸いだった?
2007年に登場して以来、世界中で快進撃を続ける新型FIAT 500ですが、
その成功要因の一つは新型ビートルが「巨大なサイズ」で登場したからだと言われています。
これは一部の業界関係者だけが言っているのではなく、
一般のユーザーからもそういう声は多く挙がっていました。
そして、実際に500を所有する私でも新型ビートルがポロくらいのサイズのクルマであったならば、
どちらを買っていたかわかりません。
これは単なる想像に過ぎませんが、
もし新型ビートルが実用性を犠牲にしてでももっと小型のかわいいクルマで登場していたら、
新型FIAT 500ユーザーの一定数は新型ビートルに流れていたような気がします。
それくらいビートルというクルマはネームバリューある歴史的名車で、
熱狂的なファンも多いです。
そのブランドパワーはFIAT 500を上回っていたかも知れません。
まとめ
![フィアット500](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/12/FIAT500-2031.jpg)
歴史に「もし」はないですが、もし新型ビートルがもっと小型のかわいいクルマであったならば、
改良を受け続けて、今でも販売好調なまま生産が継続されていたかも知れません。
ひょっとしたら今頃は電気自動車モデルまで派生させてた可能性もあります。
新型MINIのような現代的な小型車は他のクルマに関係なく売れていたと思いますが、
FIAT 500のようなクルマは似たコンセプトの強敵がいたらどうなっていたかわかりません。
もちろんビートルに人気でまったく及ばないなんてことはないと思いますが、
ひょっとしたらパイを食い合って共倒れになっていたんじゃないかという気はします。
そういう意味で新型ビートルがクラス違いの大きなクルマで登場してくれたことは、
後年登場したFIAT 500にとっては幸いだったんじゃないかという気がします。
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