購入しやすい価格になったF30系のBMW320iと320ⅾですが、
これから中古車で購入するならどちらがおすすめでしょうか?
車両の販売価格や維持費、故障の発生頻度なども考慮する必要がありますが、
クルマの性格の違いも考えたほうが良さそうです。
今回は両車を多角的に比較してみたいと思います。
ご検討中の方の参考になれば幸いです。
F30系BMW320iと320dの比較
新車販売時も中古車としても人気のある両車ですが、
実は似ているのは外見だけで、中身はまったく別のクルマといえます。
現在、中古車販売の中心は前期型なので、
ここでは前期型同士の基本スペックを比較してみます。
BMW320i Mスポーツ | BMW320d Mスポーツ | |
全長 | 4,625 | 4,625 |
全幅 | 1,800 | 1,800 |
全高 | 1,430 | 1,430 |
車重 | 1,540Kg | 1,550Kg |
ホイールベース | 2,810 | 2,810 |
最小回転半径 | 5.4m | 5.4m |
タイヤ(前) | 225/45R18 | 225/45R18 |
タイヤ(後) | 255/40R18 | 255/40R18 |
エンジン | N20B20B 直列4気筒ガソリン | N47D20C 直列4気筒ディーゼル |
排気量 | 1,997㏄ ガソリンターボ | 1,995㏄ ディーゼルターボ |
最高出力 | 184ps/5,000rpm | 184ps/4,000rpm |
最大トルク | 27.5Kgm/ 1,250~4,500rpm | 38.7Kgm/ 1,750~2,750rpm |
燃費(JC08モード) | 16.4km/l | 19.4km/l |
トランスミッション | 8速AT | 8速AT |
販売価格(2014年) | 511万円~ | 551万円~ |
主要スペックを比較してみるととても似ていることがわかります。
とくに車重に関してはほぼ同等で、
一般的な「ディーゼル車は重い」という概念は当てはまりません。
ライバルのW205系ベンツC200とC220dはけっこう乗り味も違いますし、
あきらかにC220dはフロントヘビーな印象ですが、
BMWの320iと320dにはそれほどの違いは感じられません。
これはF30系BMW3シリーズの特徴の一つだと思います。
ベンツのC220dはC200より約100万円ほど高いですし、
車重も100㎏近く重いですね。
多少、燃費が良くても初期費用が違うのでお得かどうかわからないです。
その点、BMWの320iと320dはかなり接近したスペックなので迷いますね。
これはクルマの好みで選ぶ必要がありそうです。
ディーゼルらしくない320d
BMW320dの一番の特徴はディーゼルエンジンモデルらしくないところです。
具体的にはベンツやアウディのディーゼルエンジンほどガラガラ音がしません。
他のディーゼル車から乗り換えるとちょっと新鮮な驚きを感じそうです。
もちろんアイドリング時は豪快にガラガラと音を発しますが、
一旦走り出してしまうとディーゼル感がどんどん消えていきます。
感覚的には時速15Kmくらいになるとガソリン車と違いがわかりにくくなって、
あまりクルマに詳しくない人だとディーゼルエンジンと認識できないんじゃないかと思います。
この感覚はベンツC220dなんかにはない走行感だと思います。
動力性能の比較
カタログスペックの違いではなく、実際に走ったときの違いはどうでしょうか?
クルマの動力性能というとすぐに0~100km加速だとか0~400m加速のデータが出て来ますが、
いつもそんな全開走行をするわけではありません。
常識的なアクセル開度で走行したときの違いはどうでしょうか?
この点において320dはかなりのスプリンターだといえます。
軽くアクセルを踏んだだけでグングン前に出ていきます。
とにかくトルクが強大で、気をつけないとかなりのスピードが出てしまいます。
この「勝手に速度が出てしまう」みたいな感覚はガソリン車の320iにはありません。
街中でゴーストップを繰り返すような道路だと、
320iが320dについていくのはちょっとしんどいかも知れません。
正確にいうと320iが絶対性能で320dより遅いわけではないのですが、
かなり意識してアクセルを踏み込まないと置いていかれます。
ただ、これが高速道路になるとちょっと事情が変わります。
例えば90kmくらいで巡行しているとします。
そこから加速して追い越しをかけるときの反応とスピードの伸びは320iのほうが優れています。
強大なトルクを生かして街中のゴーストップで快走を見せた320dですが、
高速巡行中からの追い越し加速はそれほど鋭くありません。
ギアをキックダウンさせても大きく速度は伸びないですし、
徐々に加速していくような感じです。
私も実車で何度も経験してますが、とにかく速度が伸びないのです。
これはあきらかにガソリンエンジンの320iのほうが反応も鋭く伸びも良く快適です。
この伸びの鈍さが嫌な人は320dを買うと後悔するかも知れません。
極端な例えですが、500馬力くらいある空荷の大型トラックで加速してるような感じです。
間違いなく加速はしてるんですが、快適な加速ではありません。
中古車価格の比較
この両車の中古車相場はどうでしょうか?
同年式で同じくらいの走行距離、同等の装備のクルマ同士で比較してみると大きな差はないようです。
正規ディーラーや専門店などからサンプルとして何台か抽出して価格を比較してみましたが、
誤差範囲くらいの差しかありませんでした(2022年8月現在)。
ただ、中古車相場は在庫状況もあって刻々と変化しますので、
たまたま極上車ばかりが市場に出ていると高値になりやすいです。
今回は2014、2015、2017年式で走行距離は5万Km前後までを条件とし、
グレードはMスポーツで揃えて比較してみました。
この年式を選んだのは単に市場に中古車の台数が多かっただけでとくに意味はありません。
結果は以下のとおりです。
年式 | BMW320i Mスポーツ | BMW320d Mスポーツ |
2014年式 | 平均価格 206.8万円 | 平均価格 210.5万円 |
2015年式 | 平均価格 220.9万円 | 平均価格 225.6万円 |
2017年式 | 平均価格 318.5万円 | 平均価格 259.6万円 |
なかなか同条件のサンプルが市場にないため、
走行距離は0~5万km前後と幅ができてしまってますがそこはご理解ください。
また、2014年式はまだ正規ディーラー認定中古車店でも取り扱いがあるため、
これがサンプルに加わると平均価格を押し上げます。
(やはり正規ディーラー車は高いです。)
逆に走行距離7~8万Km以上の中古車は一気に価格が下がっています。
気持ち良く乗るためには消耗したパーツを交換しなければなりませんが、
そういった高額整備が迫っているクルマが多いためと思われます。
これらのクルマは160万円前後で手に入りますが、
おそらく早々に30~50万円くらいは整備でお金が必要になりそうです。
(そのため平均価格からは抜いています。)
また、2017年式320iの平均価格が一気に高くなってますが、
これは正規ディーラー認定中古車が多かったという事情によります。
その中に新車のような400万円近い中古車があったため一気に平均価格を引き上げてしまってます。
このクルマを除くと平均268.8万円ほどでしたので、実質相場はほぼ互角といえます。
維持費の違いはどうでしょうか?
燃費の差は大きい
ガソリンエンジンの320iは当然ながらハイオクガソリンが必要ですが、
320dは安価な軽油で動かすことができます。
しかも平均燃費も確実に320dのほうが良く、毎月の燃料代は確実に320dが有利です。
ただ、オイル関係費用はディーゼルエンジンのほうがやや高くなります。
以前、私が約2年間所有していた320iの平均燃費は11.8Km/ⅼ、
友人が3年ほど乗っていた320ⅾは14.2Km/ⅼでした。
これは所有期間全体の平均なので市街地走行も高速走行も含んだ総平均燃費です。
私の320i Mスポーツは新車購入して売却するまでに走った約2.1万kmの平均で、
やや高速走行が多かったと思います。
街乗り中心だとおそらく9km/lくらいになるんじゃないでしょうか?
友人の320dは街乗りと高速が半々くらいで、一度の走行距離はやや長めでした。
いずれにしてもまったく同じ走行条件での比較ではないので参考値にしかならないと思いますが、
実戦的な平均燃費データにはなるように思います。
整備費用は同等?修理費用は?
では整備費用はどうでしょうか?
BMW正規ディーラーや専門店における両車の基本整備料はほぼ同等です。
とくに故障や交換するパーツがなければ基本の整備コストはそれほど変わらないと思います。
但し、エンジン関係のパーツ交換や調整費用などは当然ながら異なって来ます。
ディーゼルエンジンで怖いのは高圧噴射ポンプやコモンレールの故障でしょうか。
これらはガソリンエンジンにはないもので、
ディーゼルエンジンのウィークポイントになりやすい箇所です。
壊れると約15~20万円くらいの修理費用が発生します。
もちろんガソリンエンジンにも壊れたら高いパーツはありますが、
危険度はディーゼルエンジンほどではないと思います。
ちなみに故障発生頻度はどうでしょうか?
正規ディーラーや専門店によるとどこもそれほど多くの故障入庫を受けていないようです。
これはまだクルマが新しく、データが取れる状態にないということのようで、
あまり壊れないと断言できるわけではないようです。
ただ、BMWに限った話しではありませんが、ディーゼルエンジンの場合、
あまりにも回さな過ぎてエンジン内部の汚れが酷いクルマが多いそうです。
たまにはスポーツモードでガソリンエンジンのように少し回してやるといいのではないでしょうか?
もちろんエアコンのコンプレッサーやオルタネータといったパーツの故障リスクは両車同等です。
売却時の下取り価格
いつかはクルマを乗り換えることになると思いますが、
その場合の下取り価格の差はどうでしょうか?
これに関しては年式やコンディションが同等であればほとんど変わらないようです。
今後、ガソリン車とディーゼル車の人気バランスが崩れるようなことがあれば要注意ですが、
今のところそれほど変化はなさそうです。
ただ、クルマのEV化が進み、内燃機関のクルマが高騰する事態が起きないとも限りません。
そうなると、ガソリンエンジン車のほうが人気が出る可能性はありそうです。
両車比較のまとめ
320iと320dですが、現時点においては人気も同等で、
中古車の市場価値も同等のようです。
購入費用だとか売却時の下取り額など、
売買に関する部分は総じて同等という評価でいいのではないでしょうか?
問題は月々の維持費です。
保険や税金に関しては大差なさそうですが、
燃料代は確実に320dのほうが安く済みます。
月に1,000km以上走行される方だとかなりの差になりますのでしっかり計算してみましょう。
仮にリッター3kmほど320dが有利と仮定すると以下のような差が生まれます。
1,000km走行に必要な燃料消費量(予想値)
320d:リッター約14kmとして約71.5L(軽油1L:約130円として総額約9,295円)
320i :リッター約11kmとして約91L(ハイオクガソリン1L:約165円として総額約15,015円)
その差額は毎月約5,720円になります。
これが年間だと約68,640円です。
さらに実際の320iはリッター8~9kmくらいまで落ちる可能性もあるので、
そうなると年間差額は13~14万円にもなってしまいます。
ここまで開かないとしても、年間8~10万円くらいの差は生まれそうです。
ではクルマとしての魅力や楽しさはどうでしょうか?
これに関しては個人の考え方次第ですが、
実用車として購入するのなら320dのほうがメリットは大きいように思います。
ただ、運転して楽しく気持ち良いのはやはり320iではないでしょうか?
もしBMWらしい走りを楽しみたいと思うなら、
私は320iを選んだほうが幸せだと思います。
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