ウクライナに侵攻してるロシア軍が苦戦してることは投入されてる兵器からもあきらかで、
ここへ来てついに超クラシックなT54/55まで動員され始めています。
当時のソ連軍がこのT54/55を配備した1950年代というのは、
フランス軍がドイツから鹵獲したパンテル(パンサー)戦車を使っていた時代です。
そんな戦車が現代の戦闘に使えるんでしょうか?
前線ロシア軍戦車の変遷
侵攻が開始された当初のロシア軍はT90やT80、T72といった現用戦車で揃えてましたが、
戦闘が長期化し、戦車の損失が激しくなった頃から雲行きがおかしくなり始めます。
少し前にT62のような1960年代の旧式戦車が再配備されて戦場に姿を現しましたが、
それでも戦車不足を補えないようで、さらに古いT54/55を持ち出したカタチです。
1950年代の戦車なんて聞くと博物館の遺物と思ってしまいそうですが、
実は第三世界の国々では今でも現用兵器として運用されており、
身近なところでは北朝鮮軍の爆風号と呼ばれる戦車がT55ベースの戦車だったりします。
その総生産台数は10万台以上といわれており、現在も世界中で運用されている戦車です。
ただ、先進国の軍隊で現用配備している国など皆無で、
ロシア軍が第一線に登場させているのは異様な事態と考えるのが自然ですね。
戦車は近代化改修で蘇る
戦車のような兵器は問題なく稼働し、兵装が機能すれば兵器として運用することは可能です。
T54/55も多くの戦車がさまざまな近代化改修を受けて戦闘強化されており、
ロシア軍が再配備する車両もレストアと近代化を図ったうえで戦場に投入されそうです。
ただ、もともとロシア軍が保管していたT54/55は当時のオリジナル車両であると考えられ、
第三世界の国々で改修に改修を重ねて戦闘強化された車両より戦闘力は低いと見られています。
さらにT54/55はソ連製より東欧諸国でライセンス生産された車両のほうが品質良好であり、
ウクライナの戦場に投入される同戦車の戦闘力については未知数ですね。
ウクライナ軍も旧式戦車を投入
実はウクライナ軍もT55戦車をスロベニアから供与され保有しています。
ただ、ウクライナ軍が保有するT55はM-55Sと呼ばれるスロベニアで近代化改修を受けた車両で、
ベースこそT55戦車で間違いないものの、
その中身はかなり現用戦車に近づけた仕様のものとなっています。
T55戦車は専門的には第一世代戦車に分類されますが、
M-55Sは第2.5世代戦車並みの戦闘力を有すると見られており、
ロシア軍が再配備するT54/55とは完全に別物ですね。
また先日、ドイツがレオパルト1のウクライナへの供与を決定したと報じられました。
供与されるのはレオパルト1の最終型に近いA5と呼ばれる車両で、
中には近代化改修によって44口径120mm滑腔砲を装備した車両も含まれそうです。
戦車砲だけに限っていえば現代の最新戦車と遜色ない仕様の車両ですね。
このレオパルト1、確かに現在のNATO各国軍が使うような戦車ではありませんが、
相手のロシア軍はもっと古い旧式戦車を登場させてるので無双の強さを発揮する可能性はあります。
このレオパルト1はドイツ、オランダ、デンマークなどが保管していた車両となりそうで、
その供与台数は100両以上になりそうです。
もちろんウクライナにはもっと新しいドイツのレオパルト2やイギリスのチャレンジャー2、
アメリカのM1エイブラムス戦車なども供与が決まってますし、
フランスのルクレールやイスラエルのメルカバ戦車なども供与されそうな情勢です。
これらの戦車もそれぞれの最新スペックではなさそうですが、
旧式戦車と呼ぶのは失礼な現用戦車ですよね。
ロシア軍は戦車が枯渇?
すでにT54/55戦車まで引っ張り出したロシア軍ですが、
実は最新戦車が完全に枯渇したわけではなさそうです。
広い国土を防衛するための配備戦力はまだ相当数各地に残っており、
それらの部隊には最新のT80やT90戦車が残っていることが確認されています。
しかし、それら残存の最新戦車までウクライナの戦場に投入するわけにはいかないため、
T62やT54/55を持ち出しているものと推測されます。
それにしてもT54/55を投入しなければならないほど戦車不足が深刻なロシアですが、
実際にこれら旧式戦車を戦闘配備しようと思うと単に車両だけではなく、
戦車砲に用いる砲弾なども必要となります。
その点はどうなんでしょうか?
しかし、これらに関しても膨大な砲弾の備蓄があるといわれており、
一定の戦力化が可能だと見られています。
つまり多少なりとも戦力として戦場に投入することは不可能ではないようです。
最新戦車の生産や修理が困難なロシア軍
ロシアの兵器産業は世界的に見ても巨大な一大勢力であり、
地球上各地にロシア製の兵器は溢れています。
しかし、ロシア製兵器の大きな弱点は先端パーツの多くが国外からの輸入品に頼っていることで、
先端パーツの国内自給率はかなり低いと見られています。
現在は西側諸国からの経済制裁によって必要なパーツの入手が困難な状態であり、
兵器生産したくてもできない窮地に陥っていますね。
戦車に関してもパーツ不足から最新鋭戦車の生産や補修・修理ができないようで、
倉庫に眠っていた旧式戦車を引っ張り出して改修するくらいしか術がないんだと思います。
そんな状態なので軍に残った数少ない新鋭戦車をこれ以上失うわけにはいかず、
今後も旧式戦車を次々と戦場に投入するものと思われます。
それにしてもこんな旧式戦車に無理やり搭乗させられて、
西側諸国から供与されたレオパルト2などと戦わされる兵士はたまったものじゃないでしょうね。
旧式戦車は装甲車の代用?
ロシア軍による旧式戦車の再登場を面白おかしくネタにしてる投稿が多いですが、
本職の専門家の見方はちょっと違っているようです。
実際は戦車だけでなく装甲車なども枯渇気味であるため、
こういう旧式戦車を装甲車の代用として実戦配備していると分析してますね。
これが正しければT55戦車が対戦車戦闘の最前線で使用されるようなことはなく、
あくまでも火力支援や拠点防衛用としての運用に限定されるんだと思います。
但し、戦場ではそんな悠長なことは言ってられないので、
嫌でも新鋭のレオパルト2やチャレンジャー2、M1エイブラムスなどと戦闘になるかも知れません。
不幸にしてそんな戦車と遭遇してしまったらみんな戦車を捨てて逃げ出すんじゃないでしょうか。
逆立ちしても勝ち目なんてないですからね。
なにしろT54/55どころか、T80やT90も大量に乗り逃げされてるのがロシア戦車の現実です。
あとがき
つい最近SNSへ投稿された情報によると、
T54/55戦車よりさらに古いIS3重戦車まで貨車で運搬される様子が掲載されてました。
IS3なんて第二次大戦中に開発された重戦車で、
戦闘対象はドイツのティーゲル(タイガー)戦車やパンテル(パンサー)戦車だった戦車です。
さすがにこれはフェイクニュースだと言われてますが、
それくらい現状のロシア軍が戦車不足に悩んでいるということでしょうか。
ただ、こういう旧式戦車でも防衛陣地での移動砲台として使用することは可能なので、
砲弾さえあれば本当にIS3重戦車が配備されても不思議ではないかも知れませんね。
「年内にT34中戦車も登場するだろう」
最近ではそんなことまで言われています。
さすがに現実的に考えてT34戦車なんて現代の戦闘に使えるはずもなく、
近代化改修もしようがないので完全にネタだと思いますが、
あの天下のロシア軍がそんな風に茶化されているんですよね。
いろんな意味で戦争の虚しさを象徴してると思います。
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