sskobaの雑記
ティーゲル戦車? ティーガー戦車?
ティーゲル戦車と言えば有名なドイツのタイガー戦車ですね。
このティーゲル…最近はやたらとティーガーと呼ばれたりしてますが、
どうやらティーゲルをティーガーと発音するようになったのは最近のことのようです。
もっとも最近と言っても数十年前からそう呼ばれているようで、
ドイツ語の通訳をしている知人に聞いたところ、
80年頃あたりから語尾を英語チックに発音するのが流行り出したので、
この戦車をティーガーと呼ぶようになったのもその頃ではないか?と言っておりました。
まぁ、日本語にも流行りや廃れがあるように、ドイツ語もそれは同じらしいです。
当時のドイツ軍将兵はティーガーとは発音していない
私が子供の頃に読んでいた戦記物でティーガー戦車と書いていた本はありませんでした。
多分、その表記が見られるようになったのは80年代あたり…時期は合致してるように思います。
そこでちょっと興味あって調べられる範囲で調べてみました。
当時のドイツ政府関係者やドイツ軍将兵がなんと呼んでいたのか。
当時の戦時ニュースなどの映像チェックですね!
ティーゲル戦車は大量に戦時ニュースで取り上げられているので、
少数兵器の割には膨大な映像資料や写真が残されています。
それらを片っ端から確認したところ、やはり当時の発音は…
ティーゲル戦車
でした!
ティーゲルをティーガーと発音するのが悪いって話しではないんです。
動物のトラを現代のドイツ人がティーガーと呼ぼうがどうでもいいことなんですが、
第二次大戦時に存在した戦車の呼び名としては、
ティーガー戦車よりティーゲル戦車と呼ぶほうがしっくり来るのかなって話しです。
こういうのを時代考証って言うんですかね。
![タイガー1型重戦車](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/04/tiger1.jpg)
王虎と呼ばれる戦車の登場
余談ながらティーゲル戦車の後継戦車として有名なのがティーゲル2型戦車ですが、
こちらも最近はケーニヒスティーガーなどと呼ばれてますね。
これも昔はケーニヒスティーゲルって呼ばれてました。
![キングタイガー ティーゲル2型](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/04/kingtiger1944.jpg)
このケーニヒスティーゲル…
これはこれで正しくはケーニクスティーゲルなんて感じに発音するのがしっくり来るようですが、
このケーニクスティーゲル(キングタイガー)という呼び名自体、実は正式なものではなく、
前線でこの戦車に遭遇しておったまげたアメリカ兵たちが、
ニックネームとして勝手にキングタイガーと呼んでいたのがドイツ軍に逆輸入され、
ドイツ語読みされてケーニクスティーゲルと呼ばれるようになったとか…
この呼び方、当時のドイツ軍兵器廠は認めてなかったそうですが、
前線部隊などでは日常的にケーニクスティーゲルと呼ばれていたそうです。
それくらい違和感なくこの逆輸入名がドイツ軍将兵たちに浸透していたんでしょうね。
ちなみイギリス軍やカナダ軍将兵の多くはこの戦車をロイヤルタイガーと呼んでいたそうです。
おまけ ポルシェ製砲塔なんて存在しない?
ティーゲル2型戦車には二つのプロトタイプが存在しており、
一つはヘンシェル社が、もう一つはポルシェ社が車体開発を担当しています。
よく勘違いされてますが、搭載する砲塔はともにクルップ社が開発しており、
たまに「初期生産型はポルシェ製の砲塔を搭載…」などと書かれている文献を見かけますが、
ポルシェ車体用にクルップ社が開発したポルシェ用砲塔を、
ヘンシェル社が開発した車体に搭載したというのが正しいですね。
つまりポルシェ社が設計・開発した砲塔というわけではないようです。
昔は完全に「ポルシェ製砲塔」と言われてましたね。
![TIGER2 キングタイガー ティーゲル2型 ポルシェ砲塔](https://sskoba.com/wp-content/uploads/2022/04/tiger2-100.jpg)
また、現在では多くの文献でティーゲル2型戦車のポルシェ砲塔型を前期型、
ヘンシェル砲塔型を後期型と区分しているようですが、
当時のドイツ軍ではそのような区分けはなかったというのが正しいようです。
後年語られるようになった便宜上の区分でしょうね。
ただ、当時のドイツ軍将兵もポルシェ砲塔型を極初期生産型とは呼んでいたようですね。
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