自分の大切な愛車をどんな人がどんなやり方で整備しているのか考えたことはあるでしょうか?
今回は自動車整備の舞台ウラをちょっと覗いてみようと思います。
中には驚愕の事実があるかも知れません。
愛車の整備をどこに頼んでますか?
自動車整備と聞くと真っ先に思い浮かぶのは正規ディーラーでしょうか?
それとも街の整備工場?カーショップなどもありますね。
自動車整備は整備士資格を持った人が行うものですが、
整備士資格がないと触れないブレーキなど、
重要な「特定整備」以外は資格のない人が触ることもあります。
例えばオイル交換などです。
世の中にはさまざまな種類の整備工場がありますが、
そこではどんな人たちが作業しているのでしょうか?
正規ディーラーの整備士
自動車メーカーの看板を掲げる正規ディーラーですが、
ここでは基本的に整備士資格を持ったスタッフが作業に携わっています。
但し、確実に全員が資格を持った整備士ばかりというわけではありません。
まだ未資格の見習いさんも普通に在籍しています。
したがって「正規ディーラーは本職の整備士ばかりだから安心」というのは違います。
ただ、正規ディーラーの見習いさんは修行中の若手ということで、
多くのスタッフがやがて資格を取得して正メカニックとなっています。
街の自動車整備工場の整備士
街の「〇〇自動車」という看板を掲げる整備工場はかつて正規ディーラーなどで経験を積んで独立した整備士が開業しています。
多くの方がベテラン整備士で、腕も確かな整備士が多いと思います。
ただ、全整備士がそうかといえばかなり怪しくなって来ます。
その整備工場の規模にもよりますが、社長以外は経験値の低い若いスタッフが多いと思います。
カーショップの整備士
大手カーショップにはたくさんの整備スタッフが在籍していますが、
経験豊富な整備士は一部と思ったほうがいいです。
しかもカーショップの整備士は汎用パーツの取付作業などが中心なので、
本格的な整備には携わった経験のないスタッフが多そうです。
仮に経験豊富なスタッフがいたとしても、
カーショップの作業ピットでは本格的な整備は難しく、
工具や機器類も整備工場ほどは置かれてないと思います。
ガソリンスタンドの整備士
ガソリンスタンドにもメカスーツを着たスタッフが何人かいますが、
そもそも整備士資格を持ったスタッフはほとんどいません。
あくまでもガソリンなどの販売が主業務なので当然です。
簡単な調整整備くらいなら対応できますが、
本格的な整備は厳しいのが現実です。
カーショップの作業ピットと同様で、
本格的な工具や機器類はまず置いてないです。
自動車整備のウソ、ホント?
自動車整備には都市伝説的な逸話がいくつもあります。
有名なものをピックアップしてみましょう。
トルクレンチを使いこなしている?
自動車整備に欠かせない工具であるトルクレンチですが、
実際の自動車整備の最前線では重要なところだけに使われていることをご存知でしょうか?
プロ整備士は必ず規定トルクに締め上げていると思っているなら大間違いです。
クルマには大量のボルトやナットが使われており、
整備マニュアルにもきちんと規定トルクが明記されています。
しかし、ボルトすべてを規定トルクで締めているかといえばそんなことはありません。
そんな整備をしていたら今の100倍以上時間がかかってしまいます。
大半のボルトが長年の経験と勘で締められているのが実情です。
整備士界ではこれを「テルクレンチ」と呼んでいます。
(「テ」はもちろん「手」を表しています。)
ただ、優秀な整備士になるとこのテルクレンチの精度が高く、
下手な安物トルクレンチより遥かに正確だったりします。
整備士の世界で経験値が極めて重要なのはこのテルクレンチからも明らかだと思います。
オイル交換は正確無比に行われている?
自動車メンテナンスの基本中の基本の一つがオイル交換です。
多くの方がなんらかのお店に依頼していると思いますが、
裏側はかなり酷かったりします。
作業が安心かどうか以前に、本当にきちんとしたオイルが使われているのか怪しいお店もあります。
自分でオイルを選んで購入し、その場で交換してもらうカーショップなら大丈夫ですが、
街の整備工場などでは工場内に置いてある適当なオイルをぶち込んでいるのは珍しくありません。
個人経営の整備工場にそんな多種多様なオイルの在庫なんてあるわけありません。
せいぜい汎用性の高そうなマルチグレードオイルが数種類置いてある程度です。
大昔のように補充しただけで「オイル交換済み」と称して客に請求する悪質業者は減ったと思いますが、
今でも絶対ないとはいえません。
ではカーショップなら安心でしょうか?
カーショップやガソリンスタンドでは経験値の低いバイトスタッフがオイルをこぼしながら作業しているなんてのは日常的な光景です。
正規ディーラーでは比較的しっかりと作業が行われていると思いますが、
そのかわりメーカー指定オイル以外はまず使われません。
特別な高性能オイルを入れたくても不可能です。
自分でオイル交換される方ならご存知だと思いますが、
エンジンオイルは投入して少し時間を置かないと正確にレベルゲージに反映されません。
きちんと交換作業する場合、オイル交換後にエンジンを回して暖気し、
再度オイル量を計測してオイル量を調整して交換完了としますが、
そこまで神経を使って作業してくれているかどうか外部からはわかりません。
部品の代用は日常的?
自動車整備に欠かせないのが交換部品ですが、
確実に正規の部品が使われているでしょうか?
これは部品にもよりますが、整備の最前線では多くの代用部品が使われています。
モノタロウなどを見れば「純正部品の代用に使う商品」などというページが普通に存在します。
実はこんなのは当たり前の話しです。
ボルト一本に至るまで純正部品にこだわっていたら整備なんてできないと言っても過言ではありません。
正規ディーラーのようなところは(高価な)純正部品を揃えて整備しますが、
一般の整備工場では代用部品が多用されています。
ただ、代用部品だからダメなんてことはありません。
中には純正部品より遥かに精度の高い代用部品だって存在します。
プロは有名メーカーの工具しか使わない?
自動車整備に欠かせないのが工具です。
工具には有名な一流品が多数存在します。
工具マニアと呼ばれる人もいるくらいディープな世界でもあります。
ではプロの整備士はどんな工具を使っているでしょうか?
結論からいうとプロは「自分の使いやすい工具を使っている」となります。
整備工場を訪ねると誇らしげに「スナップオン」や「KTC」などのキャビネットが置かれていますが、
実際に使っている工具は必ずしもスナップオンやKTCとは限りません。
もちろんプロは極端に粗悪な工具は使いませんが、
強度や精度に優れ、使いやすければ無名メーカーの工具だって使ってます。
ベテラン整備士ほど長年のキャリアで使い込んだ「自分の愛用工具」を持っています。
おそらくそれらの工具メーカーはバラバラだと思います。
まとめ
自動車整備のウラ側というのは少々オーバーな表現ですが、
世間で思われているほど完璧に綺麗に作業されているわけではありません。
また、正規ディーラーだろうが、カーショップだろうが、
どこへお願いしても結局は作業スタッフのスキルに依存しているのが実態だと思います。
だから「当たり外れ」はどうしても起きてしまいます。
外れを引かないためには自分で信頼する整備工場を探し出し、
常にそこへ依頼するような流れを作り上げることが重要だと思います。
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