
出典:FCAジャパン
人気のFIAT 500ですが、外車…しかもイタリア車ということもあって、
維持費や故障を心配される方が多いです。
「買いたいけどすぐ壊れそう」とか、
「修理費用が大変なんじゃない?」とよく聞きます。
本当のところはどうなんでしょうか?
たくさんの方から聞かれますので、実際に発生したトラブルや、
7年乗っていて感じた印象を書いてみます。
- FIAT 500 のグレードをかんたんに整理しましょう
- FIAT 500 TwinAir Loungeはちょっと特殊なクルマ
- 個性的なデュアロジックトランスミッション
- デュアロジックはすぐ壊れる? 不調からの故障発生まで
- 正規ディーラー修理の恐怖? 噂通りの高額見積り
- デュアロジックに本格的なトラブル発生!
- クラッチOH及びデュアロジック交換実施
- デュアロジックOH修理を売りにしている業者の実態
- 一般的な消耗品交換は大した金額ではない?
- FIAT 500に多い定番故障を経験! サーモスタット交換
- デュアロジックトラブルで有名な走行中のギア抜け
- デュアロジックのギアが入らないときの対処法
- コンディションの悪い中古車は注意要
- まとめ
FIAT 500 のグレードをかんたんに整理しましょう
まず最初にFIAT 500のグレードを見てみましょう。
フィアット社はたくさんの記念限定車を販売してますが、
ここでは2007年式から始まる3代目モデル(日本導入は2008年式から)の
基本ラインナップについて整理します。
- FIAT 500 1.4 (直列4気筒SOHC16バルブガソリンエンジン)
- FIAT 500 1.2 (直列4気筒SOHC8バルブガソリンエンジン)
- FIAT 500 1.3 (直列4気筒SOHC8バルブディーゼルターボエンジン)
- FIAT 500 TwinAir(直列2気筒SOHC8バルブガソリンターボエンジン)
この中で最も見かけるのはFIAT 500 1.2とFIAT 500 TwinAirではないでしょうか?
両車にはそれぞれPOP(ポップ)とLounge(ラウンジ)という二種類のグレードがあります。
現行モデルではCULT(カルト)とDOLCEVITA(ドルチェヴィータ)
というグレードに進化してますね。
私が所有するのはTwinAir Lounge(ツインエアラウンジ)というグレードで、
購入当時は最も装備の整ったクルマでした。
ちなみに1.4というモデルは初期に存在したグレードですが、
少々トラブルが多いことや、回転半径が大きく乗り難いこともあって、
あまり好んで乗っている人はいないような気がします。
ディーゼルの1.3もあまり見かけないですね。
FIAT 500 TwinAir Loungeはちょっと特殊なクルマ
私のFIAT 500は2015年式のTwinAir Lounge(前期型)で、
現在の走行距離は約86,000Kmとなっています。
このグレードは0.9Lの2気筒ターボエンジンを搭載しており、
FIAT 500の中では最上位のエンジングレードです。
当初は1.2POPというモデルを買うつもりでしたが、
やはりFIAT 500を買うならツインエアが面白そうということでこれに決めました。
スペックを見てもあまり国産車にはないエンジンだとわかりますが、
実際、乗り味は独特で、個性があることから人気モデルとなっています。

ちなみこのクルマは前期型のかなり末期に生産された車両のようで、
内装の一部やシートに後期モデル用が使われているという過渡期モデルでした。
こういうことはイタリア車ではよくあることらしいですが、
ちょっと珍しいといえば珍しいクルマのようです。
個性的なデュアロジックトランスミッション
このクルマにはデュアロジックトランスミッションが搭載されています。
なかなか面白いトランスミッションですが、
如何せんトラブルが多いと言われています。
構造的にはマニュアルトランスミッションに
自動化されたシングルクラッチ機構を搭載したもので、
いわゆるAMT(オートメーテッドマニュアルトランスミッション)と
呼ばれるトランスミッションの仲間となっています。
走らせるには多少のコツが必要と言われますが、
実際は普通のAT車を走らせるのとそんなに変わりません。
慣れないと低速時にギクシャクしてしまいますが、
心配しなくてもこれはすぐに慣れて普通に走れるようになります。
問題はこのデュアロジックに動作不良が起きるトラブル報告が多いことでしょうか。

出典:FCAジャパン
デュアロジックはすぐ壊れる? 不調からの故障発生まで
うちのクルマの場合、初めての異常は55,000Kmを過ぎたあたりで起きました。
逆に言うとそれまでは何の問題もなく、
あっけなく壊れるとか、すぐ壊れるという印象はありません。
しかも走行不能になるようなトラブルではなく、
少々反応が悪いかな?という程度の症状でした。
整備士さんによると、油圧制御にやや問題があるという診断で、
該当パーツを交換する修理を受けています。
ちなみに修理費用は8万円くらいでした。
ただここで特記しておきたい話しがあります。
正規ディーラー修理の恐怖? 噂通りの高額見積り
実は正規ディーラーではデュアロジック全体のアッセンブリ交換修理が必要と言われ、
工賃含めて諸々28万円くらいの見積りが出ました。
普通ならそのまま修理を受けてお支払い…となるのでしょうが、
私はフィアット以外にドイツ車を一台持っており、
セカンドオピニオン感覚でよく知るポルシェ整備士さんに見てもらったんです。
すると…
「油圧機構の動きが悪くなってます。少々高い修理になりますが…」と言われましたが、
工賃込み8万円の見積りが出て来ました。
修理内容はデュアロジック内部のメカニカルユニットOH(オーバーホール)でした。
もちろん高い見積りには違いないですが、
なんと、その差額20万円です!
わかりやすく言うと内部の傷んだパーツだけを交換する修理でした。
もちろん正規ディーラーでの全交換修理は取りやめです。
ただ、もちろん本当はどっちの修理がいいのか聞きました。
すると、他の箇所も経年の傷みが進んでいることは間違いなく、
デュアロジック全体を交換するほうが安全ではありますとのこと。
つまり正規ディーラーの修理方針は理に適っているわけです。
ただ、動きの悪いパーツを交換するだけで、
まだ3~40,000Kmくらいは走れるとの診断でしたので8万円で修理しました。
同じくらいの走行距離のクルマであれば、
部分的なパーツ交換やオーバーホールで修理できる可能性は高いです。
正規ディーラーはこういう修理をしないので何かの参考になれば幸いです。
決して正規ディーラーの悪口ではありませんが、
アッセンブリ交換しかしない方針はどうなの?とは思ってしまいます。
なお、デュアロジックを交換しなければならない本格修理はこの31,000km後に訪れます。
デュアロジックに本格的なトラブル発生!
先の修理以降、約三年半トラブルなく快調に走っていたこのクルマでしたが、
2022年1月にこれまで見たことのないエラー表示が大挙出ました。
そのときは一時的な現象だと思い、あまり気にしなかったんですが、
その数時間後、エンジンをかけようとしたところセルがまったく動かず…
バッテリーが弱っているような挙動ではなく、
完全放電してしまったかの如くピクリとも動きませんでした。
このクルマは油圧が低下しているとセルが回りませんので、
このときは焦らずエンジン始動のプロセスを最初からやり直したところ、
何事もなかったかのように普通にエンジンがかかり走行もできました。
その後はとくに異常もなく快適に走れていたのですが、
二週間経った頃に再び同じ現象が発生。
今度はエンジンはかかるものの、まったくギアが入らなくなってしまいました。
(ギアを入れる対処法)
クラッチOH及びデュアロジック交換実施
私のFIAT 500にいよいよ本格的なトラブルの兆候が現れたため、
安全のためにもフィアット専門の整備士さんに診てもらうことにしました。
最初は正規ディーラーへお願いするつもりでしたが、
ちょうどイタリア車専門に整備されている腕利き整備士さんをご紹介いただいたため、
そちらで各部をチェックしていただきました。
訪れてみると工場内ではフェラーリやマセラッティなどが整備を受けていて、
FIAT 500なんか見てもらえるのか?と焦りましたが、
普段は500で溢れてますと聞いて一安心。
一通りチェックしてもらったところ、
デュアロジックに油圧抜けが起きていて正常に動いていないことが判明。
クラッチの消耗具合は開けてみないとわからないそうでしたが、
86,000Kmほど走行していることを考えると、
仮にまだ大丈夫であったとしてもこの機会に交換を薦められました。
ちなみにデュアロジックのクラッチミートを心配される方が多いですが、
意外なことに下手な人間が繋ぐより遥かに上手いです。
そのためクラッチディスクもかなり長持ちするようで、
平坦な道を中心に丁寧に乗られたクルマだと、
20万Km未交換という実例もあります。
私のクルマもまだクラッチ交換の必要がない程度の摩耗状態でした。
ただハウジング部などクラッチディスク以外の傷みが進んでいたことから、
この機会に一式交換をしています。
費用はクラッチ交換とデュアロジック交換で約40万円でした。
さすがにこの数字は高いと感じられるかも知れませんが、
どんなクルマでもクラッチとミッションを交換したらそれくらいにはなります。
86,000Km走っての交換なので、特別高い金額ではないと思ってます。
補足ですが、今回もデュアロジックの全交換ではなく、
部分的なパーツ交換修理も可能ではありました。
クラッチのOHもまだしばらくは大丈夫そうでした。
そちらの修理を選べば費用は約26万円で済みましたが、
前回と違って他の傷みも進んでいるため、
気持ち良く乗るためにも新品に交換したというわけです。
デュアロジックOH修理を売りにしている業者の実態
ちょっと話しが逸れますが、上に書いたデュアロジックOHをしてくれる業者に関し、
注意喚起という意味も込めてここに記します。
デュアロジック内部の傷んだ箇所だけをOHする業者ですが、
ネットで検索するとたくさんの業者が出て来ます。
しかし、中にはとても雑な作業をしている業者も複数存在します。
うちのクルマの場合、たまたま優良業者の伝手があったのでお願いしましたが、
実績のわからない業者であればお願いしなかったと思います。
フィアット専門店から信頼されているOH業者というのは、
そもそもOHの実績が豊富で、作業方法や工程も評価されています。
残念な話しですが、いい加減な業者もいますので十分ご注意ください。
当たり前の話しですが、業者自身のHPには良いことしか書いてありません。
「アッセンブリ交換〇〇万円 それが 半額で修理可能」
などと、クルマの状態を見てもいないのに、
安易に仕事を引き受ける業者は危険です。
一般的な消耗品交換は大した金額ではない?
クルマである以上、避けられないのが消耗品交換です。
FIAT 500の場合、デュアロジック以外に厄介なところはほとんどなく、
一般的な消耗品交換くらいで元気に走ってくれます。
各パーツの価格も国産車と大差なく、とくに心配する高額パーツもありません。
ただイタリア車ではあるためパーツが輸入品となり、
純正パーツの中には多少高額なものもあります。
しかし、それらも社外品パーツの流用で安価に交換可能です。
一例を挙げればワイパーです。
純正品を正規ディーラーで交換すればそれなりに高いですが、
ボッシュやミシュランなどが安価な対応品を販売してくれており、
これらを自分で交換すれば大した費用にはなりません。
日常のランニングコストは国産車と大差ないと思います。

FIAT 500に多い定番故障を経験! サーモスタット交換
クラッチとデュアロジック交換して息を吹き返した我が愛車でしたが、
その直後にオーバーヒートを起こしました。
原因はサーモスタットのヒーターホース接続部破損による冷却水漏れでした。
これは定番トラブルの一つで、ホースの接続部が樹脂製のため割れやすいのが原因です。
この部品はアルミ製の対策品も販売されてますので心配は無用ですが、
純正品を使っている場合は要注意ポイントの一つです。
交換費用は工賃含めて10,000円くらいで済むと思います。
私の場合は車検直後だったため、無償で交換修理していただけました。
今回は純正新品パーツが使われましたが、
数年後に次の交換時期が来たら対策品のアルミ製にしようと思ってます。

出典:AUTOCARJAPAN
デュアロジックトラブルで有名な走行中のギア抜け
デュアロジックのトラブルで一番有名なのは走行中のギア抜けではないでしょうか?
これはクルマが何らかの異常を検知するとギアをニュートラルに入れるため起きるのですが、
安全確保のためとはいえ加速中にギア抜けなんかするとかなり怖い気がします。
実際は減速して停車しようとする寸前にスポンと抜けることが多いようですが、
中には5速ギアでの高速巡行中にキックダウンさせようと強くアクセルを踏んだら
4速へキックダウンせずニュートラルになってしまったとか、
急ブレーキをかけたときに抜けるようです。
どちらにしてもあまり気持ちの良いものではありません。
この有名なトラブル…実は私のクルマでは発生したことがありません。
ただ、他のクルマでこの症状を経験したことはあります。
ギアが抜けるとアラーム音が鳴ってびっくりするかも知れませんが、
対処法を書いておきますので参考にしてください。
- アラーム音が鳴っても慌てずシフトレバーを操作して「+」に入れてみる
- 一旦停車し、一度Nに入れてから入れ直してみる
これでギアが入り走行可能になるケースが多いです。
但し、アラーム音が鳴った場合、いきなりすぐ操作してもダメです。
一寸待って、落ち着いて「+」に入れてください。
クルマが惰性で走っている状況で操作するのは難しいかも知れませんが、
落ち着くことが一番です。
できれば惰性走行中ではなく、路肩などへ停車してから対処するほうが安全です。
デュアロジックのギア抜けは物理的な故障の可能性もありますが、
多くは一時的な油圧不足から起きているようです。
油圧が回復すれば正常に戻りますので慌てず対処しましょう。
このギア抜けですが、暑い夏季は少なく、寒い冬季に発生しやすいようです。

出典:FCAジャパン
デュアロジックのギアが入らないときの対処法
上のギア抜けとセットで起きることもありますが、
ギアが入らなくなったときの対処法も紹介しておきます。
すべてのケースで有効かどうかはわかりませんし、
あくまでも一つの対処法としてお読みいただければ幸いです。
- キーを一段捻りACC電源オンの状態にする
- エンジンはかけずにシフトレバーをNから動かして1速に入れる
- ギアが入ることを確認したらそのままエンジンを始動する
たったこれだけです。
ウソのようにギアが入って走行可能になります。
この現象に遭遇すると、みなさん焦って何度もエンジンを始動・停止させるようですが、
それを何度やってもギアは入らないことが多いです。
しかし、一旦ACC電源だけオンにした状態でシフトレバーを動かすと簡単にギアが入ります。
もし本格的な故障でなければこれで大丈夫だと思います。
しばらく様子を見ましょう。
ただ症状が頻発するようならトラブルが起きている可能性が高いので、
その場合はすぐ整備工場に持ち込んだほうがいいと思います。
コンディションの悪い中古車は注意要
これをお読みいただいている方はFIAT 500の購入を検討されている方が多いと思います。
FIAT 500は安ければ50万円前後で中古車が買えますが、
普通に考えてその価格のクルマがキチンとメンテンスされていたとは思えません。
安いクルマに手を出すといきなり高額修理が必要になる可能性があります。
どんなクルマにも言えることですが、
キチンと整備されているクルマにはそれ相応の価格が付いています。
相場価格より著しく安いクルマを購入する場合は覚悟が必要です。
そして、ネットでよく聞く「500はすぐ壊れる」という話しの大半は、
こういう整備状態の悪い中古車を買ってすぐ壊れたというケースではないかと思います。
まとめ
FIAT 500を中古車として購入する場合、激安のクルマには手を出さず、
多少高くても正規ディーラーや専門店扱いのクルマをおすすめします。
しかし、それ以上にクラッチやデュアロジックの整備履歴が明確なクルマがおすすめです。
そこを注意すればどこで購入したクルマでもそれほど心配は要らないと思います。
また、デュアロジックも故障しやすい印象を持たれたかも知れませんが、
実際はそんなに壊れるものではありません。
私のクルマも7年間乗って二回トラブルが起きただけです。
しかも路上で走行不能に陥った経験はありません。
確かに国産車のようにはいかないと思いますが、
定期的な整備を怠らなければそれほど恐れる必要はないと思います。
ブログ村にはさまざまな情報が溢れています。
是非、訪れてみてください!

にほんブログ村
コメント