日本では簡単に銃を所持することはできません。
しかし、想像以上に多くの銃が一般家庭から発見され押収されています。
中には「どうやってそんなの手に入れたの?」という驚きの銃もあります。
今回は一般人が所有していて警察に押収された珍しい銃器をご紹介します。
MG34機関銃
MG34といえば第二次大戦で旧ドイツ軍が使用した世界初の汎用機関銃です。
7.92mmモーゼル弾を使い、毎分800~900発もの発射速度を誇る殺傷力の高い機関銃で、
当然ながら一般人が簡単に入手できる代物ではありません。
というか銃社会のアメリカでも一般人が持ってていいような銃ではありません。
ドイツ軍の使った機関銃だとMG42も有名ですが、
こちらは使用弾薬をNATO弾に変更されて現在もNATO各国軍で使われており、
そういう意味で珍しさはやや薄い印象ですが、
MG34は本当に珍しく、発射機構を破壊した無可動実銃でも超希少品となっています。
そんなMG34を実弾射撃可能な実銃として所持していた一般人がいました。
その人物は埼玉県の会社員男性で、インターネットを使って世界中から部品を収集し、
時間をかけてコツコツと組み立てて完成したそうです。
しかも二丁も所有しており、その内の一丁は完成して実弾射撃可能だったというから驚きです。
恐ろしいことに実弾を発射したくなったその会社員が弾薬を密輸しようとしたことで発覚し、
実弾が発射される前に神奈川県警が押収しました。
MG42は戦後になるとモーゼル弾からNATO弾に口径変更され、
名称もMG1と変更されて生産が続きました。
更に大量に残った旧ドイツ軍のMG42もMG2と名を変えNATO弾用に改修されており、
戦後も大量に現用機関銃として再配備されています。
現在では各部をリファインした新型のMG3というタイプも登場し、
多くの国で実戦配備されています。
また、正式採用はされませんでしたが、
戦後のアメリカ軍でも真剣に採用が検討されたほど優秀な機関銃でした。
南部14年式拳銃
この銃は旧日本軍が使用していた拳銃で、
数多くの実銃がまだ日本国内に眠っているのではないかと言われています。
中には銃と一緒に大量の実弾が保管されているケースもあり、
誤って発射されたり、盗まれて犯罪に使われたりしたら大変なことになります。
しかし、この銃は旧軍の軍人が密かに保管していたものが多く、
犯罪目的で所持されているケースは意外と少なかったようで、
この銃を使った犯罪事件もそれほど起きてはいないようです。
ただ、戦後数十年が経過し、保管していた当人が亡くなると事情は変わります。
多くの場合は遺品整理していた家族が発見して警察へ届け出ますが、
中には気づかれず違法な保管状態が続いてしまうこともありますし、
発見された場合でも貴重な銃ということで警察へ届け出ない人もいるようです。
中には闇の世界へ売却された銃もあったかも知れません。
現在の日本ではこういう銃はほぼ例外なく廃棄処分されてしまうため、
一部、違法と知りながら隠して保管を続ける人もいるようです。
余談ながらアメリカでは歴史的価値のある銃としてかなりの高値で取引されており、
決して販売目的ではないものの、そういう意味でも警察へ提出しない人もいるようです。
旧日本軍の場合、小銃や機関銃は軍の装備品ですが、
拳銃は将校や将官が個人装備として自腹で購入されたものが多く、
終戦時も供出されず密かに保管された銃がたくさんありました。
支給品ではなく自分で買ったものだから…という理由ではなく、
軍人の誇りとして供出しなかったのかも知れません。
MP38、MP40短機関銃
この銃もかつて旧ドイツ軍が使っていた有名な短機関銃です。
もともと世界的に人気が高く、銃(短機関銃)の所持が認められている国では所持者も多く、
さらに東側の軍隊や北欧の軍隊では80年代まで実戦配備されていたので残存数は多いです。
それどころか現在も第三世界の国の軍隊や武装組織などが現役で使っています。
最近だとウクライナの戦場で親ロシア派民兵が使っているのが確認されています。
また、この銃は戦後に製造された類似の派生品もあり、
本物を再現したレプリカ実銃も製造されていることから、
第二次大戦でドイツ軍が使用した本物以外も多数流通しています。
そのため日本でも不正に所持され押収された銃が多く、
判明しているだけでも数十丁が戦後の日本で押収されています。
現在もマニアに保管されている銃が一定数あるんじゃないかと言われています。
StG44自動小銃
これも旧ドイツ軍の銃ですね。
現代的なアサルトライフルの原型となった銃で、
戦後、このドイツ軍の銃を参考にしてアメリカのM16や旧ソ連のAK47などが製造されました。
StG44自体も大量に現存していて、今でも第三世界の軍隊や武装組織では現用として使われています。
そのためこの銃を不正入手して保管していた一般人もいて、
日本の警察に押収されて事件化したケースがあります。
ニュースになった事件では山形県在住の男性が無可動実銃として購入した物を改造し、
発射可能な状態に復元して保管していました。
この男はStG44だけでなく、M1ガーランドやワルサーP38、ルガーP08など、
主に第二次大戦で使用された銃を多数所持していたことから、
典型的なガンマニアであったと言われています。
押収された銃は合計20丁にもなりました。
ちなみにこの銃は少し前に自由シリア軍の武器庫から500丁発見されるなど、
実際に戦闘用の装備品として保管されていることも多く、
今でも実戦兵器として何の問題もない性能を有していることが知られています。
また、純粋にコレクターズアイテムとしても大人気で、
アメリカでは状態の良いオリジナル品なら300~500万円近い値で取引されているようです。
また、この銃に関するニュースとしてはアメリカで犯罪者のクルマから押収された際、
押収した警察があまりに歴史的に貴重な銃だったため廃棄処分せず、
アメリカ海軍の博物館に寄贈しています。
もともとその銃は本来の所有者家族が戦争中にドイツ軍から捕獲したもので、
貴重な銃として大切に保管されていた物だったそうです。
そのような希少な銃を寄贈されたアメリカ海軍は大喜びで、
本来はその博物館の展示主旨に合っていない物だったそうですが、
オリジナルを保ったまま現在も展示保管されています。
アメリカ国内では大変高価な希少品なので嬉しかったんだと思います。
まとめ
日本で銃器の押収というと暴力団などの犯罪絡みの事件が多いですが、
中にはガンマニアが密かに密輸したり改造して発射可能に改造した銃が押収されることもあります。
そういう銃の多くは歴史的に有名な銃が多く、
犯罪組織が銃を所持して警察に押収されるケースとは微妙に銃の種類も違うような気がします。
とくに第二次大戦で使われていた歴史的な名銃が多い印象で、
そういうガンマニアは最新の自動小銃やマグナム拳銃なんかより旧日本軍の銃とか、
旧ドイツ軍の銃などに価値を見出すようです。
ただ、当たり前の話しですが銃の所持は日本では違法であり、
そんな物をコレクションすることは許されません。
ましてMG34などが犯罪に使われれば警察でも対応に苦慮してしまいます。
こんな物の違法所持が許されていいわけはなく、
どうしても所有したいなら完全に無可動化されたオブジェで我慢して欲しいものです。
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