FIAT 500にはいくつかのエンジンバリエーションが用意されてますが、
その中であまり評判が良くないのが1.4Lエンジンを積んだモデルです。
単純な疑問として1.4Lモデルの何が悪いんでしょうか?
今回は生産開始初期に存在したFIAT 500 1.4について特徴などを検証してみます。
FIAT 500 1.4の特徴
現在の三代目チンクェチェントの登場初期に用意されていたホットモデルが1.4ですが、
ツインエアと入れ替わるように姿を消して10年以上の月日が流れました。
もうそれくらい時間の経つクルマなんですが、
今もこのクルマを大切に維持されている方はたくさんいます。
かなりお金をかけて個性豊かにカスタマイズを施されている方も珍しくないですね。
中にはあえて1.4を探して購入される方だっているクルマなんですが、
一方で「絶対買っちゃダメ」とか、「すぐ壊れる」という悪評も多いです。
私自身は決して1.4を粗悪で買わないほうがいいクルマだとは思ってませんが、
そういう声がたくさん聞かれることは紛れもない事実です。
では次に買わないほうがいいとされる理由を検証してみましょう。
買わないほうがいい理由
単純に古い
冒頭で述べたとおり、1.4は初期に存在したクルマなので古い中古車しか存在しません。
そうなるとオーナーに愛情を注がれてしっかりメンテナンスされてるクルマを除き、
中古車として出回っているクルマの大半は古く傷んだクルマが多くなってしまいます。
現行の三代目フィアット500は大雑把に分けると前期型と後期型になりますが、
厳密に分けると前期型、中期型、後期型という分け方が一般的ですし、
正確にはさらに細かく仕様が変更されて改良進化しています。
この中で1.4は完全なる前期型モデルに分類されるクルマであるため、
ツインエアや1.2と違って仕様の古いモデルしか存在しないクルマになってしまいます。
そういう意味では「古くて危険なイタリア車」になってしまうのかも知れません。
もともと壊れやすい
FIAT 500は年々改良されて進化を続けてますが、
どうしても登場初期のモデルは不具合が多いです。
古いクルマだから傷んでいるという以前に、元々あまり品質が良くありません。
これは初期の1.2も同じです。
残念ながら1.4はそれに当たるモデルなので後年のモデルに比べて壊れやすいです。
デュアロジック一つ取っても初期物は信頼性が低いです。
(デュアロジックは既に年式や走行距離から交換されてる可能性大だとは思いますが…)
コンディションの悪い中古車が多い
FIAT 500はデュアロジックのような少々厄介なパーツを組み込んだクルマといえます。
デュアロジックを交換すると何十万円という費用が発生しますが、
30万円くらいで売られている中古車に高額な納車整備を期待するのは難しいです。
実際、店頭に置いてある古い1.4の多くは整備状況が良好とはいえない状態で販売されています。
比較的新しいツインエアや1.2だときっちり整備されて店頭に並んでいるクルマが多いですが、
1.4はそこまで手を入れずに現状販売されている中古車のほうが多いです。
1.4のオーナーさんには申し訳ないですが、
費用をかけて整備しても不人気で売れないことが多いモデルなので、
販売店もお金をかけて整備してまで売ろうとしてません。
「もしお好きなら自分で直してください」みたいな売り方がされてます。
それゆえに状態の良い「当たりのクルマ」を引ける確率はかなり低そうです。
取り回しが悪い
FIAT 500は小回りが利いて運転しやすいクルマですが、
それはツインエアや1.2の話しであって、1.4は取り回しの悪いクルマです。
最小回転半径は5.6mもあって、ちょっとしたミニバンより大きいです。
ツインエアなどに乗り慣れた方だと何かおかしいんじゃないかと勘違いしちゃうかも知れません。
それくらい小回りの利かないクルマです。
ちなみにツインエアや1.2の最小回転半径は4.7mですが、
この90cmの差は一度も切り返さずに転回できるか、
二回くらい切り返さないといけないかくらいの差があります。
これは大げさな表現ではなく本当にそれくらい違います。
装備が悪い
初期のFIAT 500は後年のモデルほど装備が良くありません。
もともと装備の良さを売りにしてるクルマではありませんが、
それでもまだマシになったのは中期型くらいからです。
1.2なども初期のクルマと後年のクルマでは別物と思えるくらい装備内容が異なります。
最近のFIAT 500と同じ感覚で買うと絶句してしまうかも知れません。
最新のフィアットでも「え~?」って思う人が多いですからね。
本当に買わないほうがいいのか?
FIAT 500 1.4でよく聞かれる要注意ポイントを並べてみましたが、
要するに「古いクルマ」だということがわかります。
では本当に買わないほうがいいクルマなんでしょうか?
現実的に良質車を探すのが難しい
どんなメーカーの中古車でも古くなって商品価値が下がると正規ディーラーは扱わないですし、
有力な専門店も避ける傾向にあります。
それはフィアットも同じです。
ということは古い1.4を有力なフィアット販売店から買うのは難しくなってしまいます。
残念ながらこれは厳しい現実として受け止めないといけません。
つまり買わないほうがいいのではなく、買いたくても良質なクルマが手に入りません。
しかも、1.4に関してはフィアット自身が早々にモデル落ちさせてしまい、
新登場したツインエアを大々的に宣伝して1.4を過去モデル扱いしたこともあって、
最近の若いディーラーセールスマンだと1.4に触ったことのない人も珍しくありません。
正規ディーラーなどはツインエアまでの過渡期に存在した過去モデルとして扱ってますね。
ただ、そんな1.4を大切に乗り続けている姿はカッコいいですね。
確かに信頼性は後年のモデルのほうが高いですが、
自分で手をかけて仕上げる楽しみがあることも間違いありません。
普通のフィアットファンと違って、旧車マニアの間で1.4は人気あるものです。
スポーツモードは快適
1.4Lエンジンは排気量が大きいため、当然ながらパワーやトルクは強力でした。
このエンジンはやや高回転型でエコに走らせると眠い印象が強く、
クルマが重いこともあって当時から悪いインプレッションが多かったものです。
しかし、スポーツモードにすると激変するエンジンでもあって、
燃費性能を多少犠牲にすれば今乗っても快適な走行を見せてくれます。
というよりかなり気持ち良いと思うんですが…
この1.4の走行感覚は後に販売されるABARTH 500とちょっと似たところがあって、
決してどうしようもない悪いエンジン(クルマ)ではないと思います。
これを体感してわかっている方は今でも「1.4Lは良い」と語ってますし、
後年のネガティブな情報だけに触れた方はやや悪い評価を下している印象です。
ただ、デュアロジックと相性が良いかというと…難しいかも知れません。
小回り問題は致命的な欠点ではない
最小回転半径が大きいクルマだと街中で乗りにくいのは間違いありませんが、
ただ、それは狭い駐車場などで切り返さないといけないとか、
極端に回り込むような狭い道だとちょっと苦労するという類のもので、
普通に道路を走っている限りはとくに問題になることはありません。
常にハンドルの切り角いっぱいまで回してクルマを走らせるなんてそうないはずです。
これは同じように指摘されるアバルトモデルなんかにも当てはまりますが、
確かに小回りは利かないかも知れませんが、少々オーバーに語られてる部分はあります。
著しく支障があるほど小回りの利かないクルマだったら誰も買いません。
アバルトも欠陥車になってしまいます。
ただ小回りの利くツインエアなんかに慣れてしまうと乗り難いとは思いますが…
激安車ばかりだが…
中古車情報を調べてみるとわかりますが、この1.4Lモデルは激安車ばかりです。
20万円とか30万円なんて価格で売られています。
普通に考えてコンディションの良いクルマではないでしょうね。
しかし、実はクルマの内外装は意外と綺麗なクルマも多いです。
ボディの綺麗なクルマを格安で買って、
機関部の整備にお金をかければ平均的な1.2より安くFIAT 500に乗れそうです。
私は個人的にはツインエアをおすすめしますが、
あの2気筒エンジンの振動や少々騒がしいエンジン音が苦手な人だっています。
フィアット好きな人の中にはあのカタチが好きなんであって、
エンジンなんてどうでもいいと考える方だっています。
そういう人にとって1.4は安く楽しめる可能性を秘めたモデルなんじゃないでしょうか?
まとめ
今回は何かと評判の悪いFIAT 500 1.4を検証してみました。
結論からいうと決して買っちゃダメなクルマではありませんし、
私のような古典的なフィアット好きにはむしろ好ましい一面もあります。
私は今から買っても全然問題ないクルマだと思います。
ただ、これから買う中古車として考えるとリスクが大きいのは間違いなく、
普通に毎日乗れるフィアットを求めているなら避けたほうが無難かも知れません。
1.4Lモデルには厳しい話しになってしまいますが、
一部のマニア以外はツインエアや1.2のほうを好む傾向があるので、
どうせお金をかけるならそれらのモデルに使うほうが健全にはなりそうです。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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