フィアットのツインエアエンジンは寒冷時にアイドリング不調を起こすことがあります。
寒い季節…その日最初のエンジン始動時に起きる不具合です。
以前もこの問題に触れてますが、今回あらためてこの問題にスポットを当ててみます。
この症状にお悩みの方がいらっしゃれば是非お読みください。
最初は焦るアイドリング不調
フィアットのツインエアエンジンに発生するこの不具合は珍しくないです。
かなり多くのツインエアエンジン搭載車がこの症状に見舞われている可能性が高く、
私の身の回りだけでも2025年現在で5台ほど存在しますね。
もちろん多少の症状違いや発生頻度の差はありますが…
このアイドリング不調については過去の記事にまとめてますので、
まず最初にそちらをお読みください。
今回はその続編的な内容となります。
放置してる人が多い不具合
この一見厄介な不具合ですが、実は放置してる人が多いです。
最初はみんな故障したと慌てるんですが、すぐに慣れてしまいます。
多くはその日最初のエンジン始動時だけの問題だからです。
もちろんクルマ(エンジン)によって症状の大小や過多はあるんですが、
軽症のクルマだと稀に発生する程度ですし、エンジンが暖まると症状は消えてしまいます。
この症状はその日最初のエンジン始動時に発生しますが、
一度エンジンをかけて走行してしまえばもうその日はまず再発しません。
中には発生頻度の高いクルマ(エンジン)もありますが、
やはりアイドリングが乱れるのは最初のエンジン始動時だけです。
暖気によってエンジンが暖まるとウソのように症状は消えてしまいます。
海外のコミュニティサイトでも「俺のチンク…冬の朝は機嫌悪いんだよな」なんて書かれてます。
同じ症状だと思われます。
本当に不調なクルマは頻繁にアイドリングが乱れます。
そして朝一番のエンジン始動時だけでなく、エンジン始動ごとに発生します。
そうなるとまともに走行できないですしストレスも溜まります。
不具合がそのレベルに達してるならすぐ整備工場へ入庫しましょう。
マルチエア故障など、本物の故障・不具合の可能性が高いです。
オーナーさんや整備工場の反応
この不具合が発生したクルマのオーナーや整備工場によく見られる反応をまとめてみます。
オーナーさんの反応
故障したと焦りまくる
ネットで情報を集めまくる
乗るのが怖くなってしまう
まずいきなり慌てなくても大丈夫です。
別記事にも書いてますが、めちゃくちゃ発生してる症状です。
自分のクルマだけの問題と思わないことが重要です。
そしてネットで情報を集めると嫌な情報にも触れてしまいます。
「修理に40万かかった」みたいな怖い話しですね。
この問題に慣れてる人はわざわざネットに情報なんて上げてない人のほうが多いです。
それくらいフィアットあるあるの不具合なので珍しくもないからですね。
整理すると以下のような印象です。
フィアット慣れしてないオーナーさん
⇨ めちゃくちゃ焦って頭を抱えてしまう
フィアット慣れしてるオーナーさん
⇨ お!とうとう自分の愛車にも来たか!!
そんな感じでしょうか。
整備工場の反応
クルマの専門家ではないオーナーさんが困惑するのは仕方ないですが、
問題なのは整備工場も適切でない対応するところが少なくないことです。
まったくフィアット慣れしてない整備工場
⇨これは重大トラブルだ!修理見積りしますね
中途半端にフィアット慣れした整備工場
⇨あ~有名なトラブルですね!マルチエア交換しましょう
フィアット慣れした整備工場
⇨ちょっと様子見してみて問題なさそうなら放置しましょう
これ、ウソじゃなくリアルな話しです。
正規ディーラーは二番目の対応が多いですが、
実は正規ディーラー整備士は放置してるオーナーが多いことは知っています。
ただ、メーカーの看板も背負っているディーラーは「放置しましょう」とは言えないですね。
そこはオーナー自身が「大人の理解」をする必要があります。
世間にはちょっとでも修理方針に不満があるとクレーマー化する客がいます。
整備工場もそういう面倒な客だと様子見なんて提案できないので、
高いお金がかかってもすぐにパーツの交換修理を提案しますね。
物事に対して冷静に対応や対処できない人は結局損してしまうかと…
ディーラースタッフや整備士さんたちだって人間です。
短気で物わかりの悪い客とは早々に縁を切りたいものです。
不具合発生時の状態と対処
この症状に初めて遭遇した人は「故障だ!」と思って焦ってしまいますよね。
私も初めて発生したときは焦るというかクルマを動かせないと思って困ってしまいました。
だから慌てふためく人の心情はよく理解できます。
多くの方からこの不具合にどう対処してるのか聞かれますので、
今回はそのあたりを細かく書いてみます。
寒い日のエンジン始動時
寒い日の朝一番にエンジンをかけると次のような状態になります。
(寒い日でもまったく発生しないときもあります。)
私のクルマの場合はアイドリングが500~1,200回転くらいで激しく上下動します。
アクセルを煽ってないとたまにエンストしてしまうこともありますね。
そのため軽くアクセルを踏みながら暖気させます。
エンジン回転数としては1,500回転くらいを維持するイメージでしょうか。
少々厄介なのは早朝だと喧しいところですね。
ツインエアエンジンは1,500回転くらいでもちょっと煩いです。
この状態を30秒から60秒くらい続けます。
ちなみに発生頻度としては10回に9回くらい症状が出る感じでしょうか。
ただ、ちょっと暖かくなると一気に発生頻度は下がるので、
3月あたりの寒くない日だと症状が出ないこともあります。
それもこの不具合の特徴の一つですね。
本当にマルチエアユニットが壊れているクルマは朝一番のエンジン始動時だけでなく、
常にエンジン回転が安定せず挙動がおかしいです。
ちなみに暖気せず走り出すと…
普通に動きますが、信号待ちなどでアイドリングが乱れて少々気になります。
まずエンストすることはないですが、エンジン回転が下がって止まりそうにはなりますね。
そして、そのまま1分も走れば正常に走行できるようになります。
普通にエンジンが暖まりますからね。すると症状は消えてしまいます。
だからこの症状が出てるクルマのオーナーさんでも暖気せず走り出す人もいます。
最初はちょっと不快なんだけど走り出しちゃうって感じですね。
エンジンをかけ直すと安定する?
この症状はエンジンが暖まってなくてもすぐ再始動させると症状が消えちゃうこともあります。
私はもうこれに慣れちゃったので30~60秒くらい暖気させてますが、
なんらかの事情があって一度エンジンを切って再始動させることがあります。
例えば家に忘れ物をしたときなんかですね。
するとなぜか二回目のエンジン始動時は症状が出なかったりするんです。
もちろんエンジンはまったく暖まってません。
この不具合はマルチエアの油圧不足が関係してる可能性が高いんですが、
残念ながら明確な原因がよくわからないんですよね。
エラーマーク点灯

エンジンが正常に作動しないとエラーを示すランプが点灯します。
(アイドリングが乱れていても点灯しないときもあります。)
この点灯は診断機でチェックすると点火不良が原因となってます。
多くは2番シリンダーですね。
私は簡易診断機AUTEL社のAL319をフィアットに積んでますので、
これを接続してサクッとエラーを消してしまいますが、
実はわざわざ消さなくても普通に走行していればそのうちに消えます。
エラー情報は履歴として残りますが、走行自体に支障はありません。
だからほとんどの場合、難しく考えずそのまま走行し続けても困ることはありません。
(私はエラー履歴を消しちゃってますが、あえて残すほうがいい場合もあります。)
ちなみに本当に故障してるとエラーを消してもすぐ再点灯します。
私は念の為、消して再点灯しないか確認してるんですが、
エンジン始動時だけの問題ならとくに気にしなくても良さそうです。
こんな些細なエラー消去でも整備工場でやってもらうとお金がかかります。
正規ディーラーなんかだと作業工賃として1万円くらい請求されたりします。
時間を使ってプロに作業してもらってるので当然ではありますが、
ちょっともったいないとは思いますね。
多少は自動車整備に関する知識が必要なので万人に勧めるわけではありませんが、
この程度(の問題)なら自分で診断機を使って消してもいいと思います。
AUTEL AL319
私はもう少し機能豊富なAUTEL製診断機をガレージに置いてますが、
フィアットには小型軽量なAL319を積んで走ってます。
不具合の確認と様子を見るためのエラー消去程度に使うならベストな機種です。
もっともこれを使うことなんてほとんどないですが…
暖かくなっても不調なら整備工場へ
この寒い季節特有の不具合をなぜ春を迎えるこのタイミングで書いたのかといえば、
あらたにこの症状に見舞われて苦慮されている方がいるのではないかと思いましたし、
そういう方に春が来て気温が上がると収まる可能性があることを伝えたかったからです。
この不具合は一般にマルチエアユニットの交換修理が提案されます。
マルチエアユニットの交換修理は約40万円前後かかります。
大切な愛車が不調だと気分も沈みますし修理代だって心配です。
しかし、もしかしたら春が来て暖かくなったらその症状は消えてしまうかも知れません。
いや、正確にいえば修理するに越したことはないんですが、
多くの方と同様に「放置」でいけるかも知れないのです。
ただ、あきらかに気温が上がり暖かくなったのに症状が続く場合は危険です。
その場合はお金を持って整備工場へ駆け込んだほうがいいかも知れません。
厳しい話しですが、それもまた現実です。
この症状でマルチエアユニットを交換したオーナーさんもいますが、
交換から4年たった今年の冬にまた同じ症状が再発しました。
暖まれば正常に動くことがわかったので今のところ「放置」してますね。
あとがき
どんなクルマにも固有のクセみたいなものはあります。
とくにイタリア車とかフランス車なんかは多いですよね。
フィアットも例外ではありません。
決して不具合を放置していいなんて思ってませんし、
お金がかかっても直してあげるのがオーナーの愛情だとは思いますが、
少なくともこの問題に限っていえば「放置」してる人が多いのも事実です。
おそらく多くの整備工場は「直すべき」と言うでしょうが、
高度にフィアット慣れしてる専門店の中には「放置」を勧めるところも多いです。
そういう事実もあることを知っていただけたら幸いです。
ちなみに私のFIAT 500はこの症状をもう3年くらい放置してますが、
別に何も困らずこの冬も乗り越えられそうです。
そして、私の身近にはもう7年もこの不具合を放置してる猛者がいますが、
そのクルマも元気に春を迎えそうですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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