近い将来、高速道路や有料道路のSAやPAの駐車スペースが有料化されそうですが、
実際に有料化されたらどんな問題が起きるんでしょうか?
そして、今から有料化への流れを変えることは難しいんでしょうか?
有料化が提言された
高速道路のSAやPAの駐車場不足が問題となっているのは多くの方がご存知だと思いますが、
その状態を打破するために関係各位は将来的な対策を検討しています。
すなわち「高速道路SA・PAにおける利便性向上に関する検討会」が発足し、
日本高速道路保有・債務返済機構やNEXCO西日本、NEXCO中日本、
NEXCO東日本と外部有識者がこの問題に対処するために解決策を検討した結果、
将来的にSAやPAに予約制の導入や有料化が提言されました。
この話しは多くの方が一度くらいは聞いたことがあると思います。
現在はその方針に沿ってさまざな社会実験や検証が行われており、
その動きは着々と「有料化」に向けて進んでいるように思えます。
有料化の原因
トラックの長時間駐車問題
かつて日本の物流の主役は鉄道でしたが今は完全にトラックです。
しかも年々そのトラックは増え続けています。
高速道路を走行する車両の中でも一番駐車スペースの確保が困難になっているのが大型車です。
大型トラックなどは一般車と違って超長距離を日常的に走行して荷物を運んでいるので、
必然的に休憩を取る時間と場所を必要とします。
(430規制と呼ばれ、4時間走行したら30分の休憩が必要です。)
さらに荷受け、荷おろしの時間が決められることが多いので、
時間調整に追われるのも毎日のことです。
そんな現状もあってトラックの駐車スペースはいつも満車状態です。
駐車スペースに停められないので道路にまで溢れてますよね。
(普通車が堂々と大型車の駐車スペースに停めてたりしますしね…)
とにかく大型車の駐車スペースは慢性的に不足しているのが現状です。
増設しても増設しても追いつかないイタチごっこになってますね。
相乗り問題
昔から問題視されていたのが「相乗り問題」ですね。
相乗り行為によって駐車スペース一台分を長時間占有してしまいます。
この相乗り問題は姫路SAの状況が全国的に報じられて有名ですが、
実は同じような問題が高速道路のSAやPAでも発生しています。
ただ、姫路バイパスと違って有料道路である高速道路では相乗り駐車の絶対数は少なく、
問題ではあるものの、目くじらを立てるほど利用状況を悪くしてる原因ではなさそうです。
有料化で発生が予想される問題点
利用者の減少
道路有料化の社会実験をすると有料道路の利用者が激減することが判っています。
その実験では周辺一般道に大量のクルマが流入したそうです。
普通に考えてSAやPAが有料化されれば同じような現象が発生しそうです。
提言では都市部の混雑するSA・PAから順次有料化すると明記されているので、
その周辺にある無料のSA・PAなどが激混み状態になりそうですね。
多くの方がちょっと距離を走ってでも有料施設より無料施設に向かいそうです。
休憩を取らないクルマが大量発生する?
もう一つ懸念されているのが休憩を取らないクルマの大量発生です。
人間誰しも有料施設というのは必要なとき以外は利用しないものです。
実際の提言では「普通車は2時間以上の駐車を有料対象とする」とか、
仕事で長距離輸送に従事している大型トラックは「10時間まで無料」など、
細かく規定した上で実施する方向となっているので、
「5分ほどトイレ利用したら100円かかった」みたいな事態にはならないと思います。
SAやPAでの飲食事業者の収益構造崩壊?
長距離を走るドライバーだと仮眠休憩を兼ねて食事…というのは珍しくありません。
結果として2時間以上の駐車をして有料になってしまう可能性があります。
そうなると厄介な問題が起きそうです。
すなわち「食事のため〇〇SAを利用して30分で出庫」して、
その後、60分ほど走って郊外の無料PAで休憩なんてことになりかねません。
そんな二段階に分かれた休憩取得はドライバー全員が嫌でしょうし、
そこまでしてSAで食事しないクルマも現れそうです。
するとSAなどの飲食店は利用者が減り、ビジネスモデルが根本から崩壊しそうです。
件の提言にはこのあたりへの配慮というか、実効性について触れていないのが気になります。
有料化される時期は?
まだ検討段階?
「予約制や有料化の提言」は将来的な解決策として提言されているので実施時期は未定です。
ただ、有料化実現のために各関係機関が動いていることは間違いなく、
最初は混雑の激しい大都市近郊のSA・PAから有料化し、
順次、東名や名神といった基幹道路のSA・PAを次々と有料化させるものと思われます。
この流れから東名、新東名、名神、新名神のSA・PAは有料化確実と考える人が多いですね。
その他の解決策
既存のSA・PAの駐車スペースを拡大するのは簡単ではありませんが、
使っていない高速バスのバス停などに小規模な簡易休憩スペースを設置したり、
新しく用地を取得して新規にSA・PAを建設したり、
現在の駐車スペースを立体式の多層駐車場にするなどの検討もされています。
しかし、普通に考えて実現するためにはどれも莫大なお金が必要で、
その資金を捻出しないことには実現できるものではなさそうです。
どう転んでも有料化に向かいそうな気がしますね。
本音は儲けたい??
この有料化問題ですが、NEXCO各社はできるだけ早く実現したがっているように思えます。
傍から見てると利用者の利便性向上のためというより、
単純に利用料徴収によって収益アップを狙っているように感じます。
近年、大きなSA・PAはどんどんお金をかけて魅力的な施設に生まれ変わっています。
中には温泉が併設されるなど、まるで観光施設みたいに立派なところもありますね。
そういうSA・PAにはたくさんの人が集まってますが、現状、駐車場は無料です。
NEXCO各社も今は公団ではなく企業なので、はっきり言って儲けたいはずですし、
利益を追求してもなんらおかしくないです。
「集客してお金を落としてもらう」なんてことは当たり前の発想ですよね。
世間は今でも「道路公団」と思ってますし、高速道路を公共サービスと考えてますが、
実態は異なっているというのが現実の姿でしょうか…
ただ、2005年の道路公団民営化後のNEXCO各社の業績は基本的に悪くないです。
旧道路公団時代の有利子負債を順調に返済してる優良企業であることは特記しておきたいです。
有料化の回避は可能なのか?
では、もう有料化を避けることはできないんでしょうか?
現在の状況は有料化を回避するための方法が模索されているようには思えません。
それどころか有料化させるための障害を除去することに必死な印象です。
非常に厳しく残念な話しではありますが、今は有料化に向かってまっしぐらという雰囲気で、
今からこの流れを変えるのはかなり難しそうです。
利用者にとっては通行料も取られ、休憩するにもお金がかかるなんて勘弁して欲しい話しですが、
有料化の回避は困難
と言わざるを得ない気がします。
それは債務に追われて高速道路を維持するのが困難だからなのではなく、
現在のNEXCO各社が「普通に儲けたい」と考えているからじゃないですかね?
まとめ
日本の高速道路は少なくとも2115年までは有料状態が続くことが決定していますが、
道路の通行料だけでなく、SAやPAの有料化も避けられないのが現実そうです。
そもそも高速道路を無料化するのが困難なことは多くの方が理解しています。
利用者はすでに通行料を払っているんだからそのお金で設備を整えてくれと言いたいですが、
それも含めて「適正な有料化」ならば納得してお金を払えるんじゃないですかね?
あくまでも適正ならば…ですが。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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