あまりご存知ない方もいますが、2025年7月頃にETC深夜割引が大きく変わります。
(2025年5月28日に実施時期未定で延期が発表されました。)
世間では今回の深夜割引変更を「改悪」と捉えている方が多いですが、
簡単に現在の割引制度と変更後の違いを比較して要点を整理してみます。
ETC深夜割引の見直し延期決定!
2025年5月28日、NEXCO3社は2025年7月実施予定だった深夜割引見直し延期を発表しました。
2024年にも一度延期になっており、これで2回目の延期ですね。
実施時期は現時点で未定となっており、早期の実施は困難と考えているようです。
理由は2025年4月に発生したETCの大規模障害の影響としています。
ただ、あくまでも延期であり見直しが中止になったわけではありません。
今後の動きを注視している必要はありそうですね。
ETC深夜割引の現状と変更後の簡単比較
変更前(現状)のETC深夜割引
割引対象車両 | すべての通行車両が対象 |
割引対象日時 | 0時~翌4時 |
割引対象道路 | NEXCO3社管轄の高速自動車国道と一部の一般有料道路及び宮城県道路公社の仙台松島道路 |
割引対象外道路 | 京葉道路・第三京浜道路・横浜新道・横浜横須賀道路・関門トンネル・安房峠道路 |
割引率 | 一律30%割引 |
変更後のETC深夜割引
割引対象車両 | 変更なし |
割引対象日時 | 22時~翌5時 |
割引対象道路 | 変更なし |
割引対象外道路 | 変更なし |
割引率 | 最大30%割引 (ただし長距離逓減制拡大などあり) |
こうして表にしてみるとほとんど変わらないように感じられますが、
実際は極めて重要な部分に割引システムの変更が潜んでいます。
2025年7月頃見直し実施→延期へ
今回の深夜割引変更は2025年7月頃から実施されると発表されてましたが、
既報の通り2025年5月28日に延期が発表されました。
7月頃の実施はなくなりましたが、現状の見直し案には無視できない改悪点が存在します。
とても重要な問題なので予定されている変更内容をそのまま記載します。
ちなみに大きな変更点は以下になります。
割引適用時間帯が現在の0時~翌4時が22時~翌5時に拡大される
割引適用時間帯の走行分だけが割引対象となる
割引は後日還元型に変更される
割引の上限距離が設定される
約5年間ほど激変緩和措置が実施される
長距離逓減制(ていげんせい)の拡充
上記変更点の中には要注意なものとそれほど重視しなくてもいいものもあります。
次に問題となる要注意な改悪点を整理します。
これがETC深夜割引変更の改悪点
対象時間拡大の罠


一見すると0時~4時が22時~翌5時までと割引対象時間が拡大されていいように思えますが、
ここに大きな落とし穴があります。
現在は0時~4時の間に対象道路を走ってさえいれば高速を下りる時間に関係なく割引対象ですが、
変更後は22時~翌5時の走行分だけが割引対象になってしまいます。
つまり5時を過ぎると通常料金になってしまうわけです。
(22時・5時の前後2点のETC通信記録を元に平均速度を算出して位置が推定される。)

割引が後日還元となる
現在はインターチェンジを下りる時点で割引された金額で精算されてますが、
変更後は一旦正規料金を払ってから後日にポイント還元される形に変更されます。

ETCマイレージサービスへの登録が必須
割引が後日還元なので還元を受けるためにETCマイレージサービスに登録する必要があります。
何もしていないと一旦払った正規料金のままということです。
(またはETCコーポレートカードを使用する。)
ETCマイレージサービスは簡単に登録できるので必ず登録しましょう。
登録にはETCカードとETC車載器管理番号が必要です。
ETCを使っても自動的に割引されなくなるので注意しましょう!
変更後は上限距離が設定される

変更後は22時~翌5時の時間帯の走行分だけが割引対象となるため、
交通法規を無視した速度で走って距離を稼ごうとするクルマが現れる恐れがあります。
それを防ぐためETCの通信記録から平均速度を推定して上限距離が設定されます。
上限距離は以下のように設定されます。
車種区分等 | 上限距離 |
---|---|
軽自動車等・普通車・中型車・乗合型自動車 | 利用1時間あたり105km |
大型車・特大車(乗合型自動車以外) | 利用1時間あたり90km |
つまりガンガンに時速150kmくらいで爆走しても上限までしか割引されないということです。
約5年間の激変緩和措置とは?

どんな制度も大きくシステムが変更されるときは移行期間が設けられます。
一般のドライバーにはあまり関係ないかも知れませんが、
いつも夜に長距離走行するトラックなどは大いに関係します。
ただ、一般車でも22~23時台に高速を走るクルマは多少の割引を受けられそうです。
1000km以上走行するクルマは全走行区間に30%割引が適用される
22時台に高速を下りた車両は対象時間・区間のみ20%割引が適用される

割引がわかりにくい
今回の割引システム変更後は割引対象と内容がホントにわかりにくいです。
これまでは難しく考えなくても0時~4時にインターから高速に入っていればよかったので、
自分の走っている道路が割引対象の道路かどうかだけが要注意点でした。
しかし、変更後はインターに入った時間や下りた時間、走った距離も考えないといけません。
さらに事前にETCマイレージサービスに登録が必要だったり、
割引自体も後日還元なので、忘れた頃にやっと割引されるという感じですね。
また、それ以上に厄介なのは次のようなケースでしょうか…
現在は午前3時50分くらいに眠い目を擦りながら高速に入って、
すぐにSA/PAなどで仮眠休憩してから日中に数百km先の目的地で下りても割引でしたが、
変更後は1時間10分後の午前5時には割引が終了となってしまうところです。
大きく割引を受けようと思うと前日夜の22時過ぎにインターから入り、
深夜や明け方にがんばって運転して走らないと安くなりません。
規則正しい生活を送っている人だと夜中に長距離運転するのは過酷ですよね。
長距離逓減制の拡充あり
これは今回実施される深夜割引の変更とは関係ないですが、
長距離逓減制(ていげんせい)が拡充されて割引率がアップします。
これは同時に実施される大きな変更点なので記載します。
現在は利用距離100~200km未満は25%割引で200km以上が30%割引となってますが、
変更後は400km以上の走行に対して長距離逓減の割引率がアップされます。
たくさん距離を走るクルマだと大いに関係します。
必ず覚えておきたい変更ですね。
400~600km:40%割引
600~800km:45%割引
800km以上:50%割引
主に関係がありそうなのは長距離トラックなどでしょうが、
長距離走行でのクルマ旅をされる人にもメリットとなります。
ただ、現行の深夜割引(一律30%割引)を使った料金と比較すると割引される額は下がります。
深夜割引を使わず純粋に日中走行で長距離を走れば変更後のほうが安くはなりそうです。
思いっきり長距離を走れば…ですが。
深夜割引変更でよくなりそうなところ
長距離トラックには朗報?
今回の変更で恩恵を受けやすいのは一般車より長距離トラックなどだと言われてますが、
とくに同じような夜間帯を定期的に走ってる深夜長距離トラックにはメリットになりそうです。
その反面、不規則に各地を走る回る大型トラックなどは恩恵を受け難そうに思います。
それどころか走り方によってはほとんど割引を受けられないかも知れません。
ただ、いつも23時50分くらいに高速を下りていたトラックだとこれまでは割引なしでしたが、
変更後は22時~0時までの走行分は割引の対象になります。
これは同じような走行パターンの一般車も同様です。
地味にありがたい割引の拡大ではあります。
トラックの待機問題が解消される?
現在は深夜0時前になるとインターチェンジ付近に大量の大型トラックが待機しますよね。
みんな深夜割引が開始される時間を待っているわけですが、
同じように高速本線上でもSAなどで下りる時間を調整してます。
トラック業界でいうところのいわゆる「片足適用」待ちですね。
これを迷惑だと非難する人もいますが、ちょっと待てば30%割引なので、
その当事者になれば同じように待機しちゃう人が多いように思います。
実は目立たないだけで普通の一般車でも時間待機してるクルマなんてたくさんいますね。
変更後は対象時間の走行だけが割引対象なので、待機問題が多少は緩和されそうです。
少なくとも割引対象時間が明確化されたことでいくらか待機車両は減りそうです。
まとめ
この割引システム変更は大半の人にとってデメリットのほうが多くなりそうです。
確かに割引時間帯が拡大されるので拡大された時間分は安くなりますが、
しっかり距離を走る人だと現在の一律30%割引の代替にはなりえないですね。
とくにこれまでは0時~4時に少しでもかかっていれば全走行区間で割引されましたが、
それが完全になくなってしまいます。
とりあえずインターに入って「ガッツリ寝て昼間に走行しよう」作戦が使えないわけです。
これはクルマで長距離移動や車中泊旅なんかしてる人には大打撃ですね。
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の深夜割引の見直しは一旦延期となりましたが、白紙撤回されたわけではありません。
今後も注視する必要がありそうですね。
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