最近は大型台風の襲来やゲリラ豪雨で浸水被害を受けてしまうクルマが増えてますが、
実際に被害を被ったクルマはどのように処理されるんでしょうか?
今回は台風や豪雨などで全損被害を受けたクルマのその後についてご紹介します。
被災車両の実例を検証
ジムニーの場合
2018年6月に西日本を中心に豪雨被害が発生してますが、
このジムニーはこの災害のときに被害を受けて廃車となっています。
被害車両・・・2017年式ジムニーシエラ
被害状況・・・完全水没・流出(廃車)
被災場所・・・自宅ガレージ
補償状況・・・車両保険で救済(但しカスタム費用の約100万円分は損失)
このクルマは典型的な豪雨被害で水没しているので、
単独の被災ではなく、周囲一帯のクルマが逃げ場なく沈んでいます。
そのため荒天を警戒して避難すれば水没回避できたのでは?という状況ではなく、
オーナーはクルマどころか自宅も浸水被害を受けてますし、
クルマは濁流によって約100mほど離れた場所まで流されています。
車両保険による対応
完全水没事案のため、免責なく保険額全額が支払われており、
3段階等級が下げられる一般の事故等と違って1段階下げで済んでますが、
保険会社の対応を受けられるまでにある程度の日数を要しています。
また、車両全損時臨時費用として、保険金額の10%の支払いを受けられているので、
被害金額だけに限って言えばそれほど大きな経済的損失はなかったそうです。
ただ、このジムニーは約100万円ほどかけてカスタムを施しており、
当然ながら趣味で施したカスタム費は全額損失となっています。
また、クルマを買い替えるまでに相当な時間を要しており、
その間は不便な生活を余儀なくされたそうです。
アウディA4の場合
2023年9月に発生した台風13号による被害でクルマの下半分ほどが水に浸かり、
エンジンに浸水して水没判定を受けています。
被害車両・・・2016年式アウディA4 2.0TFSIクワトロ(B9系)
被害状況・・・エンジン浸水で水没判定(廃車)
被災場所・・・自宅ガレージ
補償状況・・・車両保険で救済
このアウディはクルマの下半分ほどが水に浸かり、車内に浸水したことと、
エンジンに水が入り故障しており、保険会社から水没判定を受けています。
幸い、このクルマも車両保険に加入していたおかげで救済されますが
オーナーはこのクルマに深い思い入れがあったため、
費用がかかってもなんとか修理で復活させられないか保険会社と交渉しています。
しかし、状態を確認した正規ディーラーから修理不能の判定が出され、
大切な思い出も失ってしまいました。
こういう被災者さんって実はかなり多いんじゃないでしょうか?
パーツを取り外して売却
このクルマは保険会社の許可を得ていくつかの後付けパーツを取り外してますが、
完全水没ではなかったことからかなりのパーツを救出できたそうです。
これらの救出パーツは新しいクルマ(2020年式アウディA4認定中古車)に移植したり、
中古パーツとして売却しています。
現行のアウディA4(B9系)は2016年から現在まで販売されてますが、
2020年の秋にマイナーチェンジが施されています。
ただ、オーナーはあえてマイナーチェンジ前の水没車と同じモデルを探しており、
これにはアウディディーラーもクルマ探しなどでかなり尽力してくれたそうです。
(経営会社の違う別アウディディーラーに交渉してクルマを取り寄せてくれたそうです。)
クラウンアスリートの場合
このクラウンはたまたま外出先で駐車していた場所が悪く、
不幸にして水没してしてしまった最悪の事例です。
2019年夏に発生した台風21号に伴う記録的ゲリラ豪雨時に有料駐車場で被災し、
たまたま駐車場内の低地に停めていたため、わずか30分ほどで水没してしまいました。
その水の溜まる早さは驚異的で、あっという間にクルマの下半分くらいまで浸水したそうです。
また、ドアパンチを避けるため入口から遠く離れた低地に駐車したことが災いし、
冠水が始まり駐車場に駆け付けたときには早くもクルマに近づけなかったそうです。
これは辛いですよね。
しかも、普段は仕事用にリース契約しているサクシードに乗っているそうですが、
この日は車検受けのため自家用のクラウンで出かけていて悲劇に見舞われてしまいました。
(自宅ガレージに駐車していたサクシードは無事だったそうです。)
被害車両・・・2016年式クラウンアスリートG-T
被害状況・・・クルマ下半分水没(水没判定廃車)
被害場所・・・有料駐車場
補償状況・・・車両保険で救済(約90万円のカスタム費用分は損失)
保険会社とトヨタディーラーの迅速な対応により被害は最小限で済んだそうですが、
新車で買って3年乗った愛車は失われてしまいました。
豪雨による被災であったため、免責不要で等級下げも1段階で解決できてますが、
新車で買ったクルマを中古車へ買い替えることになってしまってます。
(車両新価保険特約には加入してなかったため、新車買い替えはできなかったそうです。)
ちなみに同型の認定中古車を手に入れるまでに4ヵ月ほどかかっており、
やはりしばらく不便な生活を強いられたそうです。
なお、元愛車に装着していたお気に入りのタイヤとホイールは再利用できており、
新しく中古購入した同型クラウンアスリートに装着しています。
また、このクルマはその日の夕方に車検のためディーラーへ入庫予定でしたが、
もし入庫後の被災であったならば本人の保険を使う必要はなかったと思われます。
このタイミングの悪さもちょっと不運だったのかも知れません。
保険対応の実態
今回の被災車両はすべて車両保険に加入していたため最悪の事態は避けられてますが、
中には全額自己負担の損失に見舞われた方もいたはずですし、
当然ながら車両保険に加入していなければクルマの廃車まですべて自費で捻出せねばなりません。
保険会社の対応に感じた印象
・被災原因が明確なため対応が素早かった
・被災車両が多いためか手続き開始まで少し待たされた
・手続き完了後の保険金支払いは早かった
・被災時の車両保管状態だけはかなり詳しく聞かれた
・契約者側の瑕疵を追求するような嫌な対応は皆無だった
通常の事故時のような現車確認や詳細な写真チェックなどはなかったようで、
一旦、水没と判定されてからの動きはめちゃくちゃ早かったそうです。
むしろ通常の接触事故などでクルマを修理するより簡単に保険金支払いが決まったようで、
こういう広域被災のときは保険会社もそれほど時間をかけていられない印象を受けたそうです。
決して保険会社が確認を手抜きしてるという意味ではないですが、
一件一件にそんな時間はかけてられないのかも知れません。
但し、被災時の車両保管がどんな状態だったのかはしっかり聞かれたそうです。
水没被害の場合は1等級ダウン
車両保険を使うと過失内容によって翌年の等級が下がってしまいますが、
どの保険会社も水没被害の場合は1等級ダウンが普通です。
以下が1等級ダウンとされるもので、ほぼ本人に過失がない場合に適用されます。
水没被害
火災や爆発事故
盗難被害
クルマへのいたずら被害
飛び石被害
飛来物や落下物による被害
比較的多いクルマのトラブルに飛び石被害や車両盗難がありますが、
この場合も1等級ダウンで保険対応可能です。
また、車両保険には一般型とエコノミー型がありますが、
こういうケースでは一般型でないとほぼ保険対応は受けられません。
また、車両保険にはいくつかの特約が別途設定されています。
保険会社によって多少の違いはありますが、
こういった特約がかなり有効なのであらかじめ確認しておいたほうが良さそうです。
上で紹介したクラウンなどはまだクルマが新しく(新車購入から3年しか経っていない)、
「車両新価保険特約」を契約していれば新車購入可能な保険金を受け取れたそうです。
この車両新価保険特約(新車特約)を実際に使った場合、
定められた条件を満たせば新車購入額相当の保険金を受け取れますが、
翌年の保険等級が3等級下がって事故有係数が適用されてしまいます。
確実に翌年の保険料がアップしてしまうので注意が必要です。
買取店の実態
「水没車買取り優遇」といった広告を展開している買取り専門店があります。
こういうお店は査定0円でも諦めないで連絡くださいと書いてますが、
その実態はどうなんでしょうか?
買取り専門店や解体屋さんはクルマをパーツ単位で売却して利益を得ますが、
実際は高く買い取ってくれるクルマとそうでないクルマが存在します。
クズ鉄にしかならないクルマとパーツ単位で商品になるクルマでは価値が違うのは当然です。
問題はプロでもなければ「価値あるクルマ」か「無価値のクルマ」かがわかりにくいです。
ただ、もともと査定0円だったクルマなので仮に無価値なクルマであっても、
普通の中古車店に(有料で)引き取ってもらうくらいならお願いするほうが得策です。
私も査定0円のクルマを解体屋さんに約10万円で引き取ってもらえたことがありますが、
この10万円を得るのに使った労力はたった一本の電話だけです。
(実際は指定された何枚かの写真を撮影してメール添付しています。)
すべての廃車買取り店が値段をつけてくれるとは限りませんが、
諦めずに交渉すれば水没車であってもいくらかのお金にはなりそうです。
あとがき
今回は水没被害を受けてしまったクルマのその後についてまとめてみました。
幸いにも車両保険に未加入で大きな金銭的被害を被ったという方はいませんでしたが、
被災者の中には大きな損害を出してしまった人だっていたと思います。
基本的に車両保険というのは災害規模が巨大すぎる地震被害などではほぼ補償されませんが、
最近多発している豪雨被害などの場合は救済されるケースがほとんどです。
(実際はそれぞれの保険契約の内容によります。)
私は保険会社や共済組合の回し者ではありませんが、
やはり安心なカーライフを送るために車両保険って必要なんじゃないでしょうか?
最後までお読みいただきありがとうございました。
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