中古車を買う場合はそのクルマの相場を調べて購入検討されると思いますが、
平均相場よりやや安く売られているクルマがあったら気になりますよね?
こういうクルマには何か問題があるのでしょうか?
今回は実際に店頭価格158万円で販売されているBMW320iのコンディションを調べてみました。
購入を検討されている方の参考になれば幸いです。
検証するクルマの紹介
今回は実際にお店で販売されているクルマを使って状態を調べてみました。
協力してくれた店舗はBMWやアウディを中心に取り扱われている老舗の欧州車専門店です。
クルマは2013年式BMW320i スポーツ(F30)で、
通常の業者向けオークションで仕入れたクルマだそうです。
お店では現状渡しを条件に販売されているクルマで、
機関部に大きな改造は施されてませんが、
サスペンションなどは社外製品に交換されています。
検証車両のスペックは以下となっています。
車種:BMW320i スポーツ(Mスポーツではありません)
年式:2013年式正規ディーラー車
走行距離:83,000Km
修復歴:なし
主な改造箇所:KW(カーベー)車高調、レイズ製19インチホイール、レムス製マフラーに換装
整備記録簿:あり(一部売却時に個人情報保護から削除された項目あり)
内外装評価:オークション評価で4.0
店頭販売価格:現状渡し158万円(保証付帯希望の場合は別途整備納車要)
このクルマの見た目はとても158万円に見えないくらい綺麗な状態です。
オークションにおける内外装の評価点は4.0ですが、主観では限りなく4.5に近いと感じました。
尚、このクルマは2022年10月現在、関東某県にて一般ユーザー向けに販売されています。
本記事の主旨は158万円で販売されているクルマの中身を調べることが目的であるため、
あくまでも一つのサンプルとしてお読みいただけたら幸いです。
すべての同価格帯のクルマのコンディションを検証しているものではありませんので、
そのあたりのご理解とご了承はお願いします。
中古BMW320i スポーツの相場
まずこのクルマの基本的な相場を知らねばなりませんが、
残念ながら人気のMスポーツに比べて「スポーツ」というグレードは市場に少なく、
正確な店頭相場を把握することはできませんでした。
過去の相場情報から認定中古車だと約180~210万円、
一般中古車販売店だと約140~200万円くらいで販売されていたようで、
158万円という価格が異常に安い個体というわけではなさそうです。
年式や走行距離を考えたら平均的な価格なのかも知れません。
検証方法について
クルマのコンディションを正確に見極める必要があることから、
一人ではなく二人のBMWに詳しい整備士に各部を点検してもらい、
それぞれ点数化してもらうとともに、
交換整備をしたほうがいい箇所を指摘してもらいました。
点数は新車を10点として減点法で出してもらうようにしています。
できる限り二人の感覚に違いが生じないようチェック項目を数値化して臨みましたが、
二人同時に行ってしまうと評価を無意識に揃えてしまう恐れがあるため、
あえて別日にクルマを診てもらうようにしています。
整備士A…元BMW正規ディーラー整備士で、現在は自身で整備工場を経営しています。
整備士B…元ベンツ正規ディーラー整備士で、現在はBMW専門店で整備士をしています。
各チェック結果一覧
一般的にチェックしたほうがいいと言われているところを中心に、
このクルマで気になるところなどを指摘してもらいました。
但し、入念に細かくチェックしているというわけではありませんので、
一般的な整備点検の要領で調べたものとなります。
整備士Aの評価 | 整備士Bの評価 | |
外装板各部クリアランス | 10 | 10 |
ドア開閉状況 | 10 | 10 |
塗装コンディション | 6 | 5 |
ゴムモールコンディション | 6 | 6 |
ホイールコンディション | 7 | 6 |
室内異臭発生状況 | 4 | 3 |
エアコン稼働時の臭い | 4 | 4 |
各部スイッチの状態 | 8 | 7 |
シートコンディション | 6 | 6 |
内装パネルコンディション | 4 | 5 |
ステアリングコンディション | 9 | 9 |
ブレーキの状態 | 5 | 5 |
直進性チェック | 7 | 8 |
灯火類チェック | 10 | 9 |
電装パーツ稼働状態 | 9 | 9 |
マフラーコンディション | 8 | 8 |
エンジン始動チェック | 9 | 8 |
ATシフトショック | 9 | 8 |
排煙の状態 | 9 | 9 |
バッテリーコンディション | 3 | 3 |
各ペダル類の状態 | 5 | 5 |
タイヤの状態 | 3 | 2 |
錆の発生状況 | 6 | 6 |
エンジンルームの状態 | 5 | 4 |
ウィンドウ(ガラス)の状態 | 6 | 5 |
上記は新車を10点として採点してもらったものです。
チェックする前は総じて5点くらいなのではないかと思ったそうですが、
158万円にしては意外とコンディションは良さそうとの寸評でした。
とくにボディモノコックのコンディションは良好で、
新車と比べてもほとんど劣化が見られない良い状態でした。
(板金修理などの痕跡が一切ないことも含みます。)
ただ、実際には注意すべき点が何点かあるようです。
以下にまとめます。
塗装コンディションについて
全体的に磨けばかなり綺麗になりそうと評価されてましたが、
若干、クリア層が薄くなっているように感じたそうです。
これまで何度か磨きをかけているようです。
ただ、9年落ちのクルマとしてはかなり綺麗な状態です。
異臭について
車内全体にタバコ臭とケア用品臭が染みついており、
内装パネルの張り替えなどをしないことにはこれを取り除くのは困難との評価でした。
(表面クリーニングだけで消せる臭いではないとのこと。)
エアコン稼働時に漂っている臭いも原因は同じで、
過去オーナーに喫煙者がいる可能性が高いです。
また、内装パネルの評価点が低いのもこれが原因です。
ブレーキの状態
ブレーキは早々にローターとパッドの交換が必要で、
乗り方にもよりますが、現状で走れるのはあと約1万km少々との診断。
ブレーキパッドの残量は約5mmです。
(近々高額整備が必要)
バッテリーの状態
搭載バッテリーは既に4年ほど経過しており、近々交換をしたほうが良さそうな状態です。
できれば購入時に新品交換したほうが良さそうで、
正規ディーラーで交換したら7万円前後はかかってしまいます。
専門店等で交換しても3~4万円くらいはかかりますね。
バッテリーは消耗品なのでやむを得ないと思います。
ペダル類の状態
走行距離8万kmを超えているクルマなのでペダルのゴム類は相応に摩耗しています。
これは交換要という話しではなく、走行距離相当の傷み具合が確認できたということのようです。
これが異常に減っていると走行距離改竄を疑う必要があります。
タイヤの状態
タイヤは交換時期が迫っています。
BMWディーラーは残溝3mmで交換を推奨しますが、
すでにその線に達しています。
近々、4本とも交換が必要です。
(近々高額整備が必要)
整備士視点で見た要注意点
走行距離8万kmを超えているので予防整備をしたほうが良さそうなところがありそうです。
これは購入してすぐ必要な整備というわけではありませんが、
早めに手を打っておかないと痛い出費になってしまう可能性があります。
各種センサーの交換
ウォーターポンプ交換
フューエルポンプ交換
サスペンション交換(KW車高調はもう寿命寸前)
各フィルター交換
ATF交換
ゴムパーツの交換
この中で高額整備になりそうなのは足回り関係だと思います。
このクルマにはKWの車高調が組まれてますが、
すでに初期の性能は失われています。
整備記録簿から装着後4万kmほど走行しているようで、
できれば購入時に交換またはOHしたほうが良さそうです。
また、各種センサーは一度も交換されていないようで、
走行距離から判断すると一式交換したほうが安心できる状態です。
センサー交換は軽く10万円をオーバーする整備になるため、
場所や交換数によっては高額整備になってしまいます。
これもある程度は覚悟しておいたほうが良さそうです。
ちなみにこのクルマは8.3万kmの距離を大きな故障なく走って来たことがわかっており、
基本的なコンディションは良好なクルマのようです。
このクルマは専門店扱いの中古車ということもあって、
安価な割に全体的なコンディションは良好でした。
お預かりできたのはたった2日間だけでしたが、
買ってすぐ壊れそうなクルマでもなく、
現時点で不調なところもなさそうなことはわかりました。
ただ、そう遠くない将来に本格的な整備は必要で、
ある程度の費用はかかりそうです。
まとめ
今回は安価な中古BMWのストック状態を整備士に診てもらいましたが、
結論からいうと現状はとくに問題なさそうでした。
ただ、前オーナーが手放した理由の一つが近々の高額整備を意識したからと思われ、
消耗品交換を中心にお金のかかる整備が迫っていることは間違いなさそうです。
現実的には158万円で買ってそのまま数年走れるというわけではなさそうで、
近い将来に30~50万円くらいは整備費を覚悟したほうが良さそうです。
こういう安価な価格で販売されているクルマを買うのが正解なのか、
最初から200万円くらい出して予防整備されたクルマを買うほうが正解なのかは難しいところです。
ただ、確実にいえることはセンサー類の交換は行わないにしても、
少なくともタイヤやブレーキは確実に交換整備が迫っています。
がんばって自分で交換するとしても、パーツ代だけで30万円前後はかかってしまうと思います。
こういう避けられない高額整備が迫っているという点は考慮したほうが良さそうです。
150万円くらいの中古BMW購入を検討されている方の参考になっていれば幸いです。
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