日本の警察にはSATと呼ばれる特殊部隊が組織されています。
このSATとはどんな組織なんでしょうか?
今回は簡単にSATの実態や組織、装備の内容や特徴を解説します。
SAT(特殊急襲部隊)とは?
SATは警察の特殊部隊の中で強力な銃火器を所持する犯人の制圧を目的とした部隊です。
その正式名称はSAT(Special Assault Team)と呼ばれています。
前身は警視庁第六機動隊内に編成されたSAP(Special Armed Police)で、
1996年に組織改編されて新しくSATとして生まれ変わりました。
このSATはドイツ国境警備隊の特殊部隊であるGSG‐9の全面協力を得て部隊化されたことから、
一般に同部隊を手本に誕生したといわれています。
装備に関してもGSG-9の装備を参考にしたことは有名です。
また、SATは国際特殊部隊競技会で優勝経験もあり、
世界各国からその能力は高く評価されています。
SAT部隊の編成地は?
現在の編成地は東京都、大阪府、北海道、千葉県、神奈川県、愛知県、福岡県、沖縄県の8都道府県で、
それぞれの都道府県警察の警備部に配置されています。
部隊の所属先は警視庁の場合は警備部警備第一課、大阪府警は警備部警備課に所属しますが、
その他の道県警察では機動隊に所属しています。
SATの指揮系統は?
各地のSATは8つの都道府県警察の警備部に所属していますが、
実際の運用指揮は警察庁警備局警備第二課が行います。
つまり警察庁の指揮下で統一した指揮系統を持つ全国対応可能な大規模組織ということですね。
その隊員総数はかつて200名規模でしたが、現在は約300名規模となっています。
SATの装備品は?
強力な武装組織との戦闘も想定していることから、
装備する銃火器は軍隊並みに強力なものとなっています。
自動拳銃、サブマシンガン、自動小銃、狙撃ライフル、特殊閃光弾、ヘリコプター等を装備し、
防御面でもNIJレベルIIIAレベルの防弾面付防弾ヘルメット、防弾アーマーを装備するなど、
軍隊の特殊部隊並みの装備を有しています。
(NIJレベルIIIAは9mm拳銃弾~44マグナム拳銃弾程度に対して有効と言われ、
追加装甲を装備することで軍隊の使用する5.56mm小銃弾などにも対応可能と言われています。
但し、SATやSITは追加装甲の装備はしていないようです。)
また、必要に応じて迷彩服や冬季迷彩服を着用することもあり、
こういった特殊任務用の被服が装備されていることも確認されています。
SITとの違い
警察の特殊部隊というと刑事部に所属するSITも有名です。
SIT(Special Investigation Team)の正式名称は特殊事件捜査係といい、
全国都道府県警察の刑事部捜査第一課に配備されています。
警視庁や愛知県警などではSITと称されますが、
大阪府警ではMAAT(Martial Arts Attack Team)と呼ばれるなど、
各地の警察ごとにその名称が異なるのが特徴です。
SITが犯人の説得や交渉による事件解決を第一とするのに対し、
SATは火力による犯人制圧に主眼を置いています。
SIT | 刑事部所属 | 身代金目的の誘拐事件や人質立てこもり事件において、 人質や犯人の確保を最優先とする特殊部隊。 |
SAT | 警備部所属 | テロ事件やハイジャック事件において、 犯人の制圧を最優先とする特殊部隊。 |
交流ある各国特殊部隊
SATは世界各国の特殊部隊と共同訓練するなど、幅広い交流を持っています。
確認されているだけで以下の各部隊と交流しています。
ドイツ国境警備隊特殊部隊GSG-9
イギリス陸軍特殊空挺部隊SAS
フランス国家憲兵隊治安介入部隊GIGN
イタリア国家警察治安作戦中央部隊NOCS
オーストリア連邦憲兵隊対テロ特殊部隊EKOコブラ
SATはこれらの部隊以外とも合同訓練や情報交換などを行っておりますし、
もちろん自衛隊や海上保安庁の空挺部隊や特殊部隊などとも合同で訓練を行っています。
また、イギリス陸軍特殊空挺部隊SASは世界最強の特殊部隊と評価されており、
そんな凄い部隊とも交流を持っているのが日本警察の特殊部隊です。
まとめ
2007年に愛知県長久手町(現在の長久手市)で人質立てこもり事件が発生し、
愛知県警SATの隊員が銃撃を受けて殉職する悲劇がありました。
この当時はまだSATとSITの連携が効率よく行われていたとは言い難く、
この事件以降、両部隊は合同訓練を行うなど、その組織的対応能力を向上させています。
現在ではSATとSITが情報をしっかり共有して任務遂行してますね。
今回は警察の特殊部隊について簡単に解説してみました。
日本警察の特殊部隊について少しでもご理解いただけたら幸いです。
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