クルマの車高を変化させることができるパーツとして知られているのが車高調です。
この車高調にはメリットとデメリットがありますが、それはどんな点でしょうか?
今回はそんな車高調の良い点、悪い点のまとめと、
どのくらいの費用がかかるのかを検証してみたいと思います。
車高調にはいろんなタイプがある
車高調の正式名称は「車高調整式サスペンション」といい、
文字通りクルマの車高を調整することができるサスペンションです。
車高調を装着すると乗り心地が変わったり、クルマの運動性能が変化しますが、
カッコ良くするためのドレスアップパーツとしても定番で、
大半の方は走りより見た目を重視して導入しているのではないかと思います。
そんな車高調にはどんな種類があるでしょうか。
ネジ式車高調
ネジ式車高調はサススプリングの下にある調整用ロワシートのロックナットを緩め、
目指す位置にはめ込んで車高を調整するタイプです。
ネジ式車高調のメリットは比較的自由に高さ調整が可能なところで、
価格も安価な製品が多く、希望する車高に設定しやすいです。
しかし、あまりやり過ぎると乗り心地が悪化してしまうので注意が必要です。
しかも、プリロードのかかり過ぎから跳ねやすくなってショックアブソーバーを傷めやすいです。
プリロードとはバネにかかる初期荷重のことで、バネの縮み具合のことを指しています。
フルタップ式(全長調整式)車高調
フルタップ式車高調はショックアブソーバーの下にあるロワブラケットを上下に動かすことで車高の位置を調整します。
この車高調のメリットは極端に車高を下げたとしても一定のサス可動範囲を残しており、
ある程度良好な乗り心地を実現しているところです。
ただ、このタイプは性能の良さに比例してパーツ価格がやや高額で、
コスト重視の方には向きません。
また、かなり車高を下げられるものの、
下げ過ぎて走行性能を悪化させているクルマも散見します。
Cリング式車高調
現在の車高調のメジャー製品はネジ式かフルタップ式ですが、
Cリング式車高調というタイプの製品もあります。
昔はこの形式が一般的でしたが、現在は少数派になっています。
このタイプはショックとバネが一体式になっていて、
ショック本体に刻まれた溝にCリングをはめ込むことでロワシートの位置を調整する構造となっています。
このCリング式車高調は比較的パーツ価格が安く、
構造も簡単で種類も多いことから入手しやすい製品となってますが、
調整できる高さが決められていて好みの高さに調整できないというデメリットもあります。
また、3つの中では一番調整作業も厄介です。
車高調のメリット
車高調はかなりメジャーなドレスアップパーツとなってますが、
意外とメリット・デメリットを知らずに装着している人も多いようです。
車高調のメリットとはどのようなものでしょうか?
好みの車高に調整できる
車高調なので当たり前ですが、最大のメリットは自分好みの車高に調整できるところです。
また、自分が希望する高さに調整してカッコ良くカスタマイズすることもできます。
大半の方がそれを求めて装着してるものと思いますが、
その調整値を自分好みに設定できるところが魅力なんだと思います。
ダウンサスの場合は自由に高さを調整することができません。
乗り心地を調整できる
意外に思われる方もいますが、車庫調には乗り心地を調整できるメリットもあります。
クルマにとって乗り心地はとても重要ですが、それ以上に見た目が大事という方もいます。
しかし、あまりに乗り心地が悪いと走るのがストレスになってしまうこともあります。
いくら見栄え重視のクルマでも乗るたびに疲れてしまうようでは厳しいです。
車高調はそのバランス点を調整できるメリットもあります。
車高調はサスペンションの硬さや減衰力を調整して車高を調整しますが、
同時にその作業によって乗り心地も変えることができます。
つまり自分好みな状態に調整できる幅を持っているということです。
走行特性を調整できる
サスの硬さを調整できるということはクルマの走りも変化させられることになります。
これは車高調装着の大きなメリットの1つです。
つまりロールを少なくしたり、その幅を調整したり、
クルマの前後・左右の揺れ幅を調整できるわけです。
基本的に車高調は純正より硬いスプリングを使っていることが多く、
その硬さを利用してサスペンションの動く量を少なくして車体を安定させるわけですが、
その動く量を調整することでクルマの挙動も変化させることができます。
この幅を上手く調整すれば純正サスよりコーナリングスピードを速くすることも可能です。
車高調のデメリット
車高調装着のメリットを強調して来ましたが、もちろんデメリットも存在します。
それはどんなところでしょうか?
装着する前にデメリットについても把握しておきましょう。
パーツ代や取付工賃が高い
クルマのアフターパーツの中にはかなりお金のかかるものがありますが、
その一つが車高調だといえます。
どんなに安い製品でも10万円くらいはします。
また、大掛かりなパーツであることから自分で簡単に装着とはいきません。
中には設備の整った自前のガレージで装着される方もいると思いますが、
大半の方は整備工場で取り付けてもらうことになるのではないでしょうか?
つまり高額なパーツ代だけでなく、取付工賃も必要となるわけです。
乗り心地が悪化する恐れがある
車高調には乗り心地を良くできるメリットもあると書きましたが、
それは調整機能のついた車高調の場合です。
中には調整機能が省かれていたり、調整幅が少なかったりして乗り心地が悪くなる製品もあります。
一律の機能ではありませんので製品購入時に確認しましょう。
基本的にはアライメント調整が必要
車高調によって車高を変えるとホイールアライメントの調整が必要になります。
基本的には車高を変えれば都度アライメント調整が必要と考えておいたほうがいいのですが、
実は必ずしも必要ではないケースもあります。
これはセッティングしてみないと何ともいえないところです。
このアライメントが適正な状態になっていないとクルマの挙動が不安定になったり、
タイヤの片減りなどが起きてしまいます。あまりに酷いと真っ直ぐ走らなくなります。
自分でアライメント調整できる方ならいいですが、
多くの方は整備工場で調整してもらうことになると思います。
また、サスペンションだけでなく、タイヤ・ホイールの調整が必要になるケースもあります。
車高調関係の費用とは別に、2~3万円程度の整備費用を準備しておいたほうが良さそうです。
余談ですが、車高調を取り付けた日にアライメント調整もしてしまう人がいます。
同時にやってしまうほうが効率がいいものですが、
本当は後日に調整するほうがクルマにはやさしいです。
実は装着して少し走行すると僅かながら装着状態に変化が起きてしまいます。
また、その車高で大丈夫かどうか少し検証してからのほうがいいこともあります。
下げ過ぎてしまったので少し上げ直すなどというのはよくある話しです。
二度手間を避けるためにも試走後にアライメント調整することをおすすめします。
車体底部を損傷する可能性がある
これは説明するまでもない話しですが、車高を落とせば下回りが地面に接触する危険が出て来ます。
フロントスポイラーなどを装着していればそれが傷つく可能性もあります。
ノーマルの車高でもギリギリ擦らないという起伏に富んだ道路はいくらでもあるものです。
これまでより走り難くなることは覚悟しなければなりません。
視界の悪化と高さ制限に注意
車高調は一般に車高を下げるためのものと思われがちですが、
中には車高を上げる人もいます。
車高を上げると視界が広がるメリットがある反面、
クルマの四隅に死角ができてしまいます。
また、車高を上げることで高さ制限に引っかかるケースも出て来ます。
下げる場合と同様に、上げ幅も常識の範囲内に収めないと運転に支障が出ることがあります。
車高調導入にかかる費用
車高調の装着を検討している人が一番気になるのはお金の問題だと思います。
昔と思うと随分安くなった車高調ですが、
おおよそどれくらいの費用を見ておけばいいのでしょうか。
車高調本体の価格
車高調の価格はピンからキリまであります。
有名メーカーの製品から無名メーカーの製品までさまざまなので価格も相応の幅があります。
一般的な相場としては10~20万円前後でしょうか。
もちろんオーリンズのような30~50万円前後するような高級品も珍しくありません。
大手カーショップなどでは高価な製品から安価な製品まで揃えています。
自分のクルマに適合する製品の中から予算に応じて選びましょう。
ただ、意外とご存知ない方もいますが、車高調というのは消耗品です。
乗り方にもよりますが、通常は3~5年前後使用すると寿命を迎えます。
サーキット走行などされる場合は1年くらいで寿命となります。
もちろん多くの製品がオーバーホールは可能ですが、
その間はクルマに乗れなくなってしまうので、
現実的には買い替えとなるケースがほとんどです。
車高調は半永久的に使用できるパーツではありませんので、
そのあたりも含めて予算に合った製品を選びましょう。
そして中古品は十分注意して購入しましょう。
すでに使い込んで劣化の始まったパーツの可能性もあります。
私ならオークションやフリマで販売されている中古品には手を出しません。
取付や工賃について
整備工場にパーツ持ち込みで作業してもらうと3~5万円くらいの取付工賃が必要だと思います。
ドレスアップパーツの取付を専門にやってないような整備工場にお願いすると、
「まぁ、こっちの都合で作業していいなら1万円でいいよ」といってくれるケースもあるようですが、
そういう整備工場でも2万円くらいは見ておいたほうがいいと思います。
オートバックスなどのカーショップだと本体や工賃をお得にセットにした商品が販売されています。
ネット通販で本体を安く買って持ち込みで取付してもらうより安いこともあるので確認してみましょう。
また、車高調はめちゃくちゃ装着が難しいように思われがちですが、
やってみると実際はそれほど難しくありません。
一般的な自動車整備工具とインパクトレンチがあればあっけないくらい簡単に装着できます。
私も初めて挑戦したときはあまりに簡単なので驚いたものです。
この簡単さを知ってしまうと3~5万円とか払うのがもったいなく感じられてしまいます。
尚、足回りは高トルクで締めつけてあるボルトばかりなので、
インパクトレンチのような電動工具がないとヘトヘトになってしまいます。
但し、簡単といってもオイル交換をするほど簡単ではないので、
もし挑戦されるなら経験のある友人などに手伝ってもらいましょう。
平坦なガレージをお持ちで、ジャッキとウマがあれば装着は可能です。
(ウマは必須です。たまにジャッキアップだけで作業する人がいますが、これは危険です。)
それから上記したようにアライメント調整の費用は別途見ておきましょう。
アライメント調整費用は2~3万円という整備工場が多いですが、
中にはその半額くらいでやってくれるタイヤショップなどもあります。
まとめ
車高調には3つのタイプがありますのでよく調べてから購入しましょう。
価格の差や調整幅の違いなど、それぞれにメリットとデメリットがあります。
最近は見た目重視で車高調を取り付ける人が多いですが、
あまり極端に上げ下げしないほうが後悔しないことが多いようです。
すぐ再調整となる人が後を絶たないとも聞きます。
お金もかかりますし、簡単には元に戻せないドレスアップなので、
本当に必要かどうかしっかり自問自答してから装着しましょう。
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