最近のバッテリーはいきなり寿命を迎えることが多く、
そのため交換時期の判断が難しくなっています。
今回はバッテリーの寿命と交換時期の目安、
バッテリー上がりを起こしてしまったときの対処法をご紹介します。
バッテリー交換の目安
バッテリー交換の目安は使用開始から2~5年です。
カーバッテリーは乗り方や使用環境によって大きく劣化具合も異なり、
交換時期の目安も幅ができてしまいます。
もちろん5年以上使えてしまうことも珍しくありません。
さすがに2~5年も幅があると自分のクルマがどうなのか判断が難しいです。
ではバッテリーメーカーはどう考えているでしょうか?
バッテリーはメーカーや製品によって多少異なりますが、
一般に購入日から18か月くらいの保証がついています。
そしてメーカー推奨の交換時期は使用開始から3~6万kmと記載されていることが多いです。
安全に使うためにはこの走行距離を目安に交換するのがいいわけですが、
一年で3万km走るクルマと1万kmしか走らないクルマではバッテリー劣化も異なります。
ただ上限値として最大で6年6万kmと考えれば一定の線引きにはなるのではないでしょうか?
もしそれ以上使っているのなら、例え何も支障を感じていなくても交換をおすすめします。
また、アイドリングストップ機能があるかないかも大きく交換時期に影響を与えます。
アイドリングストップ車には専用のバッテリーが搭載されてますが、
その機能を使っているかいないかでも大きく影響を受けます。
(最近はアイドリングストップOFFにしてる人が多いと思います。)
当然ながらアイドリングストップ機能を使っているクルマのほうがバッテリー負荷が大きく、
劣化も進んでしまうため製品寿命も短くなります。
バッテリー劣化の兆候
以下のような症状が現れていたら危険な状態です。
最近のバッテリーは限界ギリギリまで普通に使えてしまうことが多いため、
突然バッテリー上がりを起こしてしまいます。
出先で立往生しないためにもしっかり検証してみましょう。
エンジンがかかりにくい
よく元気にセルモーターが回っているので大丈夫と考えがちですが、
ここでいう「かかりにくい」というのはセルモーターの状態ではなく、
実際にエンジンが点火するまでの時間と考えてください。
初爆が瞬間的に起きていたエンジンなのに、
最近は一寸待ってから初爆するようになったという状態は危険シグナル点灯中です。
ライト類が暗くなった
これはバッテリー上がりの兆候を見極める重要ポイントなんですが、
残念ながら人間の目では正確に把握するのが難しいと思います。
徐々に暗くなって来てるヘッドライトの状態なんてわかるものではありません。
まして昨今のLEDライトは判断しにくいです。
例えば照度計のような物で正確に測ってみると数値として判断できますが、
毎日計測して数値を確認するなんてのは現実的ではありません。
もし、人間の目でもわかるくらい違和感を感じたらすでに危険シグナル点灯中と考えましょう。
電動ドアやパワーウィンドウの開閉速度が遅くなった
これはモーター音が聞こえるので比較的判断しやすいポイントなんですが、
頻繁に窓の開け閉めや電動ドアの開閉をしている人じゃないと感じにくいです。
ただ、少しでも遅く感じたらバッテリー劣化を疑いましょう。
パワーウィンドウモーターから回転ムラがあるような音が出ていたら危険です。
電圧が安定していない可能性があります。
バッテリー電圧を計測する
バッテリーは劣化が進むと電圧が下がって来ます。
電圧を計測して判断するのが安全確実です。
正常なバッテリーは12.5V~14V
(走行発電中は13.5V~14.5V)
(エンジン停止中は12.5V~13V)
この範囲内なら基本的に大丈夫です。
バッテリー電圧の測り方は直接バッテリーから電圧計で計測するのが理想ですが、
簡易的にOBD2コネクタやシガーソケットから計測することもできます。
(あくまでも簡易的な方法で、正確には計測できません。)
但し、この電圧計測というのは現時点のバッテリー電圧を計測しているに過ぎません。
劣化したバッテリーはこの数値が安定していません。
何度か計測して常に同じような数値で安定しているか、
測るたびに数値が変わっていないか見極めましょう。
アイドリングストップ機能でテストする
これはプロの整備士さんがよく簡易的な見極め法として使っているやり方です。
そもそもアイドリングストップが機能しなくなっていたらバッテリー劣化は進んでいますが、
その前段階で劣化が起き始めていると復帰が早くなり始めます。
もしアイドリングストップから再始動までの時間が短くなっていたら危険な兆候です。
例えばまだ信号待ちで止まっているのに勝手に再始動してしまうような感じです。
そのような症状が見られたら整備士さんにバッテリーをチェックしてもらいましょう。
適切にバッテリー交換の判断をしましょう
劣化の兆候が感じられたらできるだけ早く交換したほうが安全です。
「まだ使えるからもったいない」と考える人がいますが、
昔のクルマと違って現代のクルマは急にセルが回らなくなることは珍しくありません。
もう一度書きますが、ついさっきまで元気に回っていたセルモーターが急に動かなくなります。
それが最近のクルマによく見られるバッテリー上がりの症状です。
あまりに急に発症するのでバッテリー以外のトラブルと思ってしまう人もいるほどです。
ときどき「最近のバッテリーは急に使えなくなることはない」と書いている記事も見かけます。
これはバッテリーの品質が向上した結果、ギリギリまで電圧を保ってくれることを指していますが、
残念ながら現実の自動車整備の最前線ではこのような考えはありません。
バッテリー上がりをしてしまったときの対処法
他のクルマから電力を分けてもらう
ブースターケーブルによって他のクルマから電力を分けてもらいましょう。
使用するブースターケーブルの最大電流値には注意してください。
目安は以下のようになります。
軽自動車・小型乗用車(50A)
普通乗用車(80A)
大型乗用車(100A)
大型トラックなど(120A)
もちろん上位互換はありますので軽自動車に120Aのケーブルを使うのはまったく問題ありません。
その逆はダメです。注意しましょう。
以下のようなケースは危険です。
50Aのケーブルを使って軽自動車から大型乗用車に給電
そもそも軽自動車から大型乗用車に給電するのはあまり現実的ではありませんが、
緊急時でも上記のような軽自動車用のケーブルを使っての給電は危険です。
短時間なら大丈夫ですが、長時間電流を流すと発火する危険があります。
(通電させると素手では触れないくらいケーブルが熱くなります。)
経験者ならわかると思いますが、エンジン始動するまでに20~30秒くらいかかることもあります。
軽自動車用のケーブルで無茶な給電はしないようにしましょう。
もちろん100Aくらいのケーブルを使えば大丈夫です。
ブースターケーブルでの給電方法
ブースターケーブル製品には安全な接続方法が書かれています。
よく読んで間違えないよう適切に接続すれば大きな危険はありません。
ただ、うっかり接続順や接続場所を間違えると危険です。
自信のない方はロードサービスを要請するか、
手慣れた方に手伝ってもらいましょう。
ブースターケーブルはすべての製品でプラスが赤ケーブル、マイナスが黒ケーブルとなっています。
接続順は以下のようになります。
- バッテリー上がり車のプラス端子に赤いケーブルを接続
- 給電車のプラス端子に赤いケーブルを接続
- 給電車のマイナス端子に黒いケーブルをつなげる
- バッテリー上がり車のバッテリー本体から離れた金属部に黒いケーブルを接続する
バッテリーを接続したら約5分ほど待機します(給電車側から少しバッテリー充電させます)。
もちろん給電車はエンジンをかけたままです。
アイドリングではなく2,000回転くらいに少し吹かしたほうが安全です。
これをしない方が多いですが、バッテリー上がり車のバッテリーを少し充電するほうがいいです。
そうしないと一度エンジンがかかってもすぐにストンと止まってしまうことがあります。
この時間も考えたら非適合なケーブルを使っての給電は危険です。
また、上記の4の金属部というのはエンジンブロックなど、
できるだけバッテリーから離れた場所が理想です。
これは万一火花が散ったときにバッテリーから発生した水素ガスに引火する可能性があるためです。
電気というのは電圧の高いほうから低いほうへ流れます。
バッテリー上がり車の電圧は低くなっているので火花が散りやすいのです。
尚、ハイブリッド車から普通車に給電するのは危険です。
ハイブリッド車には200Vほどある駆動用バッテリーと12Vの補機バッテリーが搭載されています。
補機バッテリーからなら給電できそうな気がしますが、
実際に給電しようとするとハイブリッド車側のシステムに高電圧が流れてしまい危険です。
最悪の場合は故障してしまいます。
その逆に普通車からハイブリッド車に給電するのは問題ありません。
ロードサービスを要請する
もっともベーシックな方法ですが、場所や時間帯によっては救援到着まで時間がかかる可能性があります。
もし通行車があれば呼び止めて給電依頼するほうが現実的だと思います。
そのためにも自身で適切なブースターケーブルを装備しておくと安心です。
ジャンプスターター機器を使用する
最近はジャンピングさせるためのスターターバッテリーが適価で販売されています。
これを自分のクルマに常備しておくと安心ですが、
こういった製品は定期的な充電が必要になります。
案外それが面倒で肝心なときにスターターバッテリーが放電状態だった…なんて話しは多いです。
マメな管理が必要なので、自分向きの製品かよく考えてから購入しましょう。
まとめ
ついつい事前対処せず、動けなくなるまで放置してしまいがちなバッテリー問題ですが、
厄介な場所や状況で立往生しないためにも以下のように感じたら潔くバッテリーを交換しましょう。
- なんらか劣化の兆候を感じたことがある
- すでに6年以上、または6万km以上使用している
- 信頼する整備士さんから交換を勧められた
とくに6年以上使っているようなバッテリーは危険です。
たまたま運よく動いている状態といって差し支えなく、
仮に支障を感じていなくてももう交換しましょう。
健康健全なバッテリーで走っていると安心感から運転にも余裕が生まれます。
クルマの必要経費と考えて早め早めに交換しましょう。
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